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欅坂46メンバーそれぞれの魅力…‥リーダー向きの守屋、コメディエンヌ織田、クールな志田

2016年09月03日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

(c)「徳山大五郎を誰が殺したか?」製作委員会

 徳山の遺体を校庭に埋めた翌日、私立欅学園3年C組の教室に死んだはずの徳山大五郎が現れる。前回の第6話はそんな衝撃的な幕切れだったが、大方の予想通り嶋田久作の一人二役による別人だということがすぐにわかる。徳山の双子の兄である大四郎が、弟の危機を察知してはるばる淡路島から上京してきたのである。


 物語も終盤に差し掛かってきた『徳山大五郎を誰が殺したか?』。第7話はそんな兄弟の絆を通して、嫌われ者だったはずの徳山大五郎の人となりを知る。いわばようやく訪れた嶋田久作をフィーチャーした回ということになるだろう。だからと言って彼のような大俳優を今更取り上げる必要もないだろう。この緩衝材的な役割を果たした第7話は、欅坂46のメンバーがそれぞれのグループごとにバランス良く描かれていた印象を受ける。


 「学校の秘密」を探りに来た大四郎を徳山に成りすまさせるために、彼女たちが普段の徳山の特徴を教え込むシーンは、これまでのひんやりしたドラマの雰囲気をすべて覆す。それぞれのグループに分かれて集まっているが、全員がひとつのことに集中して、団結力の強さを改めて窺うことができよう。これまでも、徳山の遺体発見時や、長濱ねる裁判の時など、決して温かいベクトルではなく結束してきた彼女たちだが、今回は楽しそうな表情を浮かべてひとつになる。まさに、教室に貼られている「一蓮托生」の言葉に当てはまる雰囲気だ。


 毎回、各メンバーの特徴を紹介してきているが、今回は改めて守屋茜のグループに注目しようと思う。鈴本美愉と尾関梨香についてはすでに紹介済み(参照記事:欅坂46、“顔芸”の鈴本美愉と“ポンコツ”の尾関梨香 『徳山大五郎』はコメディリリーフが面白い!)だが、残りの3人はまだだったはずだ。本当は菅井友香のグループにそろそろ取り掛かれると思っていたが、彼女たち5人については次の第8話で取り上げることにする。


 グループのリーダー格である守屋茜といえば、欅坂46きっての運動神経の持ち主。ただ劇中ではそれを発揮する機会があまりないだけに、Sキャラで姉御肌という性格面を生かした、クラスの表向きのリーダー(渡邉理佐が実権を握っているが)という役柄は実に適している。時折トゲのある言葉で菅井のグループを刺激したりするが、第4話で刑事が来た時にうろたえるメンバーを冷静な言葉で説得するなど、その行動力には頼りがいを感じる。


 それに対して織田奈那は、鈴本・尾関と同様にコメディ要素を担っているが、台詞と動きの両方で笑いを誘う。『欅って、書けない?』などでも常にいじられている彼女。第1話で自分の背中にナイフを刺すシチュエーションを演じてみせたり、第4話では刑事が教室にこないように再び着替えようと言い出したり(今回も大四郎を教室から出すために脱ぎ始めようとする)、とにかくズレた行動が張り詰めた空気を和らげるのだ。


 そして守屋の右腕的な存在として志田愛佳が配されているのも興味深い。クールなキャラでイメージ付けされ、ややミステリアスな雰囲気を漂わせる彼女は、劇中でもそのイメージを崩さない。台詞が少なく、性格的な特徴が出てこないながらも、すらっとした出で立ちに、首に常にヘッドホンを掛けている見た目はやはり目立つ。渡邉理佐と同様、欅坂46からモデル業に進む可能性を持つひとりだろうか。


 普段あまりしゃべらないが、いざという時に声を発する志田。『欅って、書けない?』ではスイーツを賭けた「大声選手権」で予想を超える大声を披露したり、別の回ではお化け屋敷で怯えたりと、大きな声で喋るだけでギャップを生み出す。そのギャップが劇中でなかなか見られないだけに、今回の「Go!」という掛け声とポーズは、志田推しのファンが待ち望んだソロカットであろう。


 一方で、その「大声選手権」で犬の遠吠えレベルの大声を出した守屋。冷静さという共通点はあっても、その表出の仕方が正反対な二人のコンビネーションは絶妙だ。素のキャラを活かした設定だからこそ、この組み合わせが映えるのだろう。このふたりの冷静さと、鈴本・尾関・織田の3人の突き抜けたコメディ演技のバランスが、彼女たち5人の行動に妙に説得力を与え、ドラマ全体にメリハリをつける重要な役割を果たしているというわけだ。(久保田和馬)