イタリアGPの木曜ドライバー会見は、もちろん地元フェラーリのドライバーふたりが中心。スパの大クラッシュから出場OKが出たケビン・マグヌッセンが前列中央に座りましたが、マックス・フェルスタッペンのドライビングの是非が大きな話題となっているだけに、自然と当事者であるふたりに質問が集中しました。
スタート直後の接触では分が悪いことを自覚しているセバスチャン・ベッテルは、最初は「起きたことは明らかだし、言うことはない。3台分のスペースは十分じゃなかった」と小さい声で答えていました。キミ・ライコネンも相変わらず何を聞かれても能面のような表情を崩さないため、前半は“場外”での動きも少ない会見でした。
しかし、徐々にベッテルの本領が発揮されていきます。記者からの「中国でもスパでもチームメイト同士で接触して他車も巻き込んだわけで、今回は慎重にいくのか?」という質問には「あなた、もう自分で答えちゃってるじゃない」と言って笑いを取り、「フェラーリでタイトル争いができないことに忍耐の限界では?」という質問には「僕は忍耐強い人間じゃないっていうか、むしろ真逆。我慢なんかしてないよ。それはチームのみんなも同じだ」とフェラーリとともに挽回のために努力していると主張。「成績が良くなれば質問も良くなるんだろうけどね」とチクリと皮肉を加えることも忘れません。
そして、フェルスタッペンとのイザコザについて「セバスチャンは29歳、キミは36歳ですが『自分のレースを台無しにしたことを恥じるべきだ』と10代の若者に言われて困惑していますか?」と聞かれると、ベッテルは苦笑いで道徳を語りはじめます。
「これは敬意の問題だ。僕らはレースをするためにここにいて、その情熱を共有している。誰かとうまくやれるにしても、うまくやれないにしても、それは重要ではない。大切なのは、お互いにリスペクトの気持ちを持てるかどうかだ」
こんな意地悪な質問も無表情で受け流すライコネンは「誰でも自分の意見を言う権利はある。僕は個人的に彼のことが嫌いなわけではないし、正しくないと思ったことを、そう言っただけだ」と我関せずのクールな意見を述べます。
「誰だってミスを犯す。ミスをした時は受け容れるべきだ。バカな行動をとったり仕返しをしたって、ロクな結果にはならないんだから」
やや論点は違ったとはいえ、やっぱりイタリアGPの主役はフェラーリ。できればコース上でも、そうあって欲しいものですが、それが容易ではないであろうことがわかっているからこそ、こういった話題で盛り上がってしまうのかも。早く、走りでティフォシを沸かせるフェラーリが復活してもらいたいものだと感じさせられた木曜会見だったのでした。