おそらく、イタリアGP金曜日のフリー走行後、午後5時から開かれるドライバーズミーティングは、舌戦が繰り広げられるだろう。もちろん、その舌戦を繰り広げるのは、ベルギーGPでコース上で激しいバトルを演じたマックス・フェルスタッペンとセバスチャン・ベッテル、キミ・ライコネンのフェラーリ勢2人である。
たとえドライバーズミーティングでフェラーリ勢2人が詰め寄ったとしても、フェルスタッペンにペナルティが与えられることはない。にもかかわらず、ベッテルとライコネンがおそらくフェルスタッペンに対して何らかのアクションを起こすと思われるのは、フェルスタッペンのドライビングが単に危険なのではなく、フェルスタッペンがドライバーとしてやってはいけない報復とも思える行為をコース上でとったからである。
フェルスタッペンは「スタート直後の1コーナーの接触の原因を作ったのはフェラーリの2台。接触でフロントウイングとフロアにダメージを負って、レースが台無しになった」とチームのリリースで語っているが、レースディレクターのチャーリー・ホワイティングは単なるレーシングアクシデントと判断。レース審議委員会に審議をかけることはしなかった。
そのことが納得いかなかったのか、レース後、テレビカメラの前では過激なコメントを発していた。
「確かに僕のスタートはよくなかったけど、インに飛び込んたとき、僕はロックアップはしてなかった。なのに彼ら(フェラーリ勢)はどんどんこっちに寄せてきた。最終的にセバスチャンが僕とキミに向かってターンインしてきたんだ。あれでダメージを負って、レースが台無しになった。1コーナーであんなことをしてきた彼らに、簡単にポジションを渡すわけにはいかなかった」
もし、これが本当だとすれば、フェルスタッペンは1コーナーの接触の後、ただひたすら自分のレースの台無しにしたフェラーリ勢の走りを妨害するかのような走りに徹していたのではないかと考えられる。
レースではこれまで数え切れないほどのバトルや接触があった。しかし、それは純粋にポジション争いをした結果としてバトルや接触である。これはレースでは避けられないことだ。しかし、相手のレースを滅茶苦茶にするために玉砕覚悟でのバトルは、レースの基本的精神に反する。今回、フェラーリ勢およびレース関係者の何人かがフェルスタッペンに対して厳しいコメントを発しているのは、そのためである。
元チャンピオンのジャック・ビルヌーブは、こう言う。
「スタート直後の1コーナーの接触は、あれはレーシングインシデント。問題ない。でも、その後のフェルスタッペンの行為は危険行為だ。あれは絶対にやってはいけない」
そのうえで、レースディレクターとレース審議委員会の消極的な対応も厳しく断じた。
「若いドライバーを諭すには、ペナルティを科すしかないんだ。なぜ、審議しなかったのか、大いに疑問。特にライコネンには2度も危険な思いをさせたんだからね」
ドライバーズミーティングにはドライバーだけでなく、チャリー・ホワイティングら、FIAのメンバーも出席する。フェラーリ勢ふたりには、不満の矛先をフェルスタッペンだけに対してではなく、FIAのスタッフにも向けることを期待したい。