ベルギーGPが例年に比べて気温が高くなり、さらにタイヤトラブルを恐れたピレリが大幅に高い最低内圧を設定したため、多くのチームがフリー走行のロングランでブリスターに悩んだ。
そのため、スパ・フランコルシャンではラップタイムに大きな影響を与えない範囲で、できるだけレスダウンフォースの空力パッケージにして、レースでのストレートでの攻防に備えるという通常の戦い方を、金曜日の夜に見直すチームが多く出てきた。
たとえばメルセデスはエキゾーストパイプを取り囲むようにリヤバンパーの上に設置しているモンキーシートウイングを変更。金曜日には、ダウンフォースよりも空気抵抗軽減を重視したタイプのラウンド形状(下記写真の青色矢印)のスペックを使用してきたが、土曜日からはダウンフォースを重視するスクエア形状(下記写真の赤色矢印)のスペックを投入してきた。
そんななか金曜日の空力パッケージとほぼ同じ仕様で予選とレースに臨んだのが、トロロッソ。前回のホッケンハイムリンクに持ち込んだ新フロントウイングをベースにしているが、空気抵抗軽減のアイデアは、今年のバクー・シティ・サーキットで開催されたヨーロッパGPで採用したものと、ほぼ同じである。アッパーフラップの一番上のフラップを大きくカットオフするというものだ(下記写真参照)。
今回、トロロッソはバクーのときよりも大きくカットしている。そのような努力をトロロッソがベルギーGPで行わなければならなかった理由は、トロロッソのパワーユニットが2015年型のフェラーリ製だからである。昨年型のパワーユニットは当然ながら、昨年の段階でトークンを使い切ってしまっているため、今シーズンはまったく改良することが許されていない。トークンを使用したホンダにコンストラクターズ選手権で逆転を許してしまった。