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[Alexandros]が新曲「Swan」で見せる、ロックバンドとしての矜持

2016年09月02日 19:41  リアルサウンド

リアルサウンド

[Alexandros]『Swan』

 [Alexandros]が本日9月2日『ミュージックステーション』に出演する。番組内で披露するのは、8月24日にリリースしたニューシングルの表題曲「Swan」。波瑠が主演を務める火曜10時放送のドラマ『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』(フジテレビ系)の主題歌として書き下ろした楽曲だ。


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 [Alexandros]は、先月8月12日にもMステに出演し、「ワタリドリ」を披露した。同曲は2015年3月にリリースした楽曲だが、今年5月よりアサヒビールのCMソングに抜擢され、再び注目を集めている。発売当時はCD週間ランキングで初登場5位を記録し、[Alexandros]の名を世間に知らしめた楽曲であると同時に、今でも自身のツアーやフェスで披露することも多く、何千人、何万人規模の大合唱を招く、[Alexandros]屈指のライブアンセムでもある。


 ここ数年、[Alexandros]の躍進は凄まじく、ロックファンはもちろん、それ以外の多くの人々にアプローチをしている。アルバム『ALXD』以降にリリースした3枚のシングル『Girl A』『NEW WALL/I want u to love me』『Swan』の表題曲はすべてタイアップ曲。音楽メディアだけではなく、朝の情報番組やファッション誌等で特集を組まれたりと、あらゆる場所で彼らの名前を目にするようになった。特に、今回のように普段それほど頻繁にメディアに露出しているわけではないロックバンドが、2カ月連続でMステに出演するというのは、稀有なケースだと言っていいだろう。


 今回番組で披露される「Swan」は、流麗なメロディの美しい楽曲だ。日本の歌謡曲にも通じる、哀愁のある情緒的なメロディではあるが、テンポを落としたバラード調ではなく、あくまでロックソングにこだわったアレンジが施されている。


 「Swan」は、繊細な電子音とオートチューンのかかった歌い出しから幕を開け、全編において理性と激情を行き来しながら展開されていく。後半からは、エモーショナルに振り切れていくのだが、そこに至るまでは抑制の利いたアンサンブルで、「愛」という果てしないテーマをリリカルかつ抽象的な風景描写で綴られている。このサウンド・メイキングには、4人のバンド・アンサンブルの成熟と、川上洋平のメロディ・メイカー、そしてボーカリストとしての揺るぎない自信が感じられる。


 前シングル曲「NEW WALL」は、ピアノやストリングスのアレンジを大胆に取り入れ、ブライトで壮大なスケールを描いた楽曲だった。今作の「Swan」も含め、今の[Alexandros]は、ピアノやストリングス、ホーンも含めたサウンドの広がりを強く求めている。この1年間で、彼らがそういった新しい領域へと挑み続けているのは、武道館や幕張メッセ、大阪城ホールといった数万人規模の会場でワンマンライブを行うようになったという背景があるだろう。


 11月にはアルバム『EXIST!』をリリース予定、その後のツアーは国内15カ所に加え、香港、韓国、台湾でも開催。そしてツアーファイナルは、幕張メッセで2デイズ行われる。[Alexandros]は、常に“世界一”を標榜して活動を続けてきた。それは、国内でドメスティックな進化を遂げるのではなく、海外のシーンにも目を向けながら、新たな音楽に挑戦し続けることで、自分たちのバンド・スタイルを研ぎ澄ませてきた歩みでもある。ユニバーサルミュージックとグローバル契約を交わしたのが2014年。メジャーシーンに進出してからも、[Alexandros]は、ロックバンドとして独自の美学とスタイルを貫きながら、多くのファンを魅了し続けている。さらなるポピュラリティを獲得するため、自らをアップデートさせながらリスナーをエンターテインし続ける[Alexandros]の真骨頂を、この「Swan」で味わい尽くしてほしい。(文=若田悠希)