大詰めを迎えているF1イタリアGP開催交渉 2017年以降のイタリアGP開催について、イタリアGP直前の火曜日に記者会見を行うと発表していたモンツァだが、その期日である8月30日に発表はなかった。
多くの人々がいまモンツァの動向に注目しているのは、2017年以降のイタリアGP開催について、次にサイを投げるのはモンツァだからである。というのも、モンツァ側がバーニー・エクレストンへ年間1900万ユーロ(約21億円)で4年間の契約延長という提案をしていたものの、エクレストンは保留。逆にエクレストンはイモラ・サーキット側と交渉を開始。2017年からイタリアGPをイモラで開催することで合意したと、ハンガリーGP直前に発表した。
イモラは1980年にF1GPを初開催した後、イタリアGPがモンツァに戻った翌年からはサンマリノGPの名前で2006年までF1を開催していた歴史がある。
エクレストンがイモラとイタリアGPの開催に関して合意したにも関わらず、現在サイを握っているのがモンツァ側にあるというのは、モンツァでのイタリアGP開催の指揮をとっているのが、イタリア自動車クラブ(ACI/Automobile Club de Itally)会長のアンジェロ・スティッキ・ダミアーニで、イモラでのイタリアGP開催するのも、ダミアーニ会長の承認なければ実現しないからだ。
つまり、もしダミアーニ会長がイモラでのイタリアGPの開催をイタリア自動車クラブ会長として認めず、さらにモンツァの交渉役としてエクレストンからイタリアGP開催の合意を導き出せなかった場合、イタリアGPはイモラでもモンツァでも行われずに1950年から続いてきた歴史に幕を降ろすことになる。
なぜ、イタリア自動車クラブ会長がイモラではなくモンツァでのイタリアGPにこだわっているのか。それはモンツァでのレース運営を担当する会社「SIAS」(Societa Iniziative Autostradali e Servizi SpA)に不明朗な会計処理が発覚したため、モンツァがあるロンバルディア地方の自治体から資金を得るために、ACIがSIASに代わってモンツァでのグランプリ運営を引き継ぐこととなったからだ。
関係者によれば、不明朗な会計処理とは、膨大な額の使途不明金が発覚したのである。SIASが自治体からイタリアGP開催のために受け取っていた支援金に、幹部数名が手をつけてしまったらしい。そして、この情報を聞きつけたエクレストンが、モンツァ側にはまだグランプリ開催のために支払えるお金があると踏んだのだろう。イモラを使って、開催権料を引き上げてきたのである。
したがって、ACIのダミアーニ会長がモンツァでのイタリアGP開催の交渉役を引き受けた時点で、イタリアGPがF1から消滅する危機は脱していると、ACIに近いあるイタリア人関係者は冷静に話す。そして、こう続ける。
「あとは、金額だけ。その金額はACIにとって、決して高額ではないはず」