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TOYOTA GAZOO Racing WEC第5戦メキシコ 6時間公式練習レポート

2016年09月02日 15:51  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴組5号車トヨタTS050ハイブリッド
2016年9月1日(現地)
トヨタ自動車株式会社
モータースポーツマーケティング部

WEC第5戦メキシコ6時間公式練習
TOYOTA GAZOO Racing、初走行のメキシコ初日に厳しい洗礼

 9月1日、アウトドローモ・エルマノス・ロドリゲスでFIA世界耐久選手権(WEC)第5戦メキシコ6時間レースが開幕した。TOYOTA GAZOO Racingにとっては厳しい試練となったものの、明日に向けての手応えもつかめた初日となった。

TS050 HYBRID #5号車:(中嶋一貴、セバスチャン・ブエミ)
合同テスト:6番手(1分31秒159)、27周
公式練習第1回目:5番手(1分27秒901)、41周
公式練習第2回目:5番手(1分26秒714)、45周

TS050 HYBRID #6号車:(小林可夢偉、ステファン・サラザン、マイク・コンウェイ)
合同テスト:5番手(1分30秒790)、19周
公式練習第1回目:出走せず
公式練習第2回目:出走せず

 初サーキットでレースが開催される場合に設けられる合同テストが午前9時から始まったが、そのセッション中にステファン・サラザンが駆る#6号車がスピン、ピットウォールにヒットするアクシデントが起こった。

 この事故で#6号車はモノコックにダメージを被り、初日午後に予定されていた2回の公式練習を走ることができなかった。#6号車はモノコックを交換、2日目の公式練習3回目及び公式予選に間に合わせるべく修復作業を行っている。

 #6号車のアクシデントに加え、#5号車のドライバーの1人アンソニー・デビッドソンがメキシコのレース参加を見送った。デビッドソンは先月フランスのマニクールで行われたテストで負った肋骨の打撲が完治しておらず、参加を諦めざるを得なかった。

 午前中に行われた合同テストでは怪我の回復度を見るために数周ドライブをしたが、完璧な状態とは言えなかった。メキシコのレース参加を諦めた理由のひとつは、9月17日に行われる次戦オースティンに向けて傷を完治させるため。オースティンは高い気温が予想され、3人のドライバーが交替でドライブする必要があるからだ。

 ちなみにメキシコのレースは20度前半の気温が予想され、ドライバー2人で問題なく走り切れると読んだ。

 このふたつの不測の事態により、メキシコ6時間レースの初日はTOYOTA GAZOO Racingにとって非常に多忙な1日になった。#6号車のクルーはモノコックの交換に時間を取られ、#5号車は中嶋一貴とセバスチャン・ブエミの2人が2度の公式練習セッション中に可能な限りのデータ収集に励んだ。

 通常のセットアップ作業に加え、高地にあるメキシコシティならではの解決しなければならない問題があった。それは高地の希薄な空気によって減少したダウンフォースをいかに回復するかという難題。加えて冷却能力も減少し、パワートレイン、ブレーキの冷却が課題になってくる点だ。

 TS050 HYBRID #5号車はこの問題の改善を進め、その効果は3回行われたセッションで確認された。空力、メカニカル及びパワートレインのセッティングも満足のいくレベルが得られた。

 コースの状況は時間の経過と共に改善され、午前中のセッションが終わる頃にはコース上の埃や土は排除され、グリップ向上が確認された。しかし、公式練習2回目開始時に降った雨でコースのグリップは元に戻ってしまった。

 トータル4時間半に及ぶ走行セッションが終了して、TS050 HYBRID #5号車は1分26秒714のタイムを記録、5番手で初日を終えた。走行距離は113周・486kmに及んだ。

中嶋一貴:
 朝から夕方まで、3回のセッションをこなし、長い一日でした。多くの項目をテストし、多くのデータを収集しました。TS050 HYBRIDから最大のパフォーマンスを引き出すべく、これから収集したデータの解析を行う必要があります。

 私自身は新しいコースの初走行を楽しむことが出来ました。曲がりくねったレイアウトで壁も迫っていますが楽しいコースです。中盤の連続するコーナーの区間は特にチャレンジングです。

アンソニー・デビッドソン:
 せっかくメキシコに来たのにレースが出来ず残念ですが、正しい判断だと思います。今朝TS050 HYBRIDに乗ってみましたが体調は万全とは言えず、特に次戦オースティンも近いのでリスクは最小限に抑えなくてはなりません。

 ここメキシコでは2人のドライバーで6時間を走ることに問題はありませんが、次戦オースティンは非常に暑いなかでのレースなので3人で戦うことが必要です。参戦できずに今回のレースウィークを過ごすのはとても残念ですが、セバスチャンと一貴が良いレースを戦ってくれるでしょう。

セバスチャン・ブエミ:
 チームにとっては複雑な一日でした。#6号車のこととアンソニーの出場断念は残念です。しかし私と一貴が多くの周回を完了できたのは明るい材料です。車両の仕上がりには満足しています。コース路面は走り始めこそ滑りやすかったですが、その後改善していきました。

 今回出場する全員にとって初めてのコースであり、短期間に多くを学ばなくてはなりません。今日のところはまずまず問題ないので、ここからどこまで出来るかです。

小林可夢偉:
 我々にとってはとても短い一日になってしまいました。私はほんの僅かの周回しか出来ませんでした。新しいサーキットなのでもちろん充分とは言えませんが、このような状況からでも最善を尽くさなくてはなりません。

 明日の公式練習3回目は、我々にとってコース習熟と正しいセットアップを見出すために重要になります。とはいえ、チームメイトが多くの周回を重ねてくれたことは間違いなく助けになってくれるでしょう。我々は前向きですし、良いレースが戦えるはずです。

ステファン・サラザン:
 最終コーナーで、5速で縁石に乗り上げコントロールを失いました。私のミスです。今日は我々にとってコース習熟のためにも重要な一日であり、決して起こしてはならないミスでした。明日再び走れるようにすべく修復を続けているメカニックには大変感謝しています。これから全力を尽くし、多くのポイントを獲得すべくプッシュしていきます。

マイク・コンウェイ:
 今日は予定通りには行きませんでした。コースは走り始めはかなり路面が汚れていましたが、とても良いレイアウトです。ただ、想像以上に狭く、コーナー間の加速区間は限られます。これは、コース上の混雑によりクリアラップを取るのが難しいということを意味します。

 第1印象は悪くありませんが、クリアラップが取りにくいという意味で、予選はチャレンジングなものになるでしょう。