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【Interview】わずか30秒で指紋を検知する超高速認証システム「LIQUIDPAY」に大接近

2016年09月02日 08:51  Techable

Techable

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指を1本かざすだけで、個人を特定する指紋認証。企業の入室システムや、クレジットカード決済などに採用されているので、ご存知の人も多いだろう。

その中で今話題となっているのが、この「LIQUIDPAY」。決済にかかる時間は、わずか30秒。指紋照合を瞬時に行うため、多彩なサービスへの利用が可能となる。かつてない認証の高速化は、このシステムの大きな強みだ。

まずは、神奈川や静岡県内のホテル・旅館80施設で導入。訪日客のパスポート提示を指紋認証で代替するよう、今年度内にサービスを開始する予定だ。開発元のLiquid Japan、第一事業部長、佐藤 毅(さとう たけし)氏に、早速詳しい話を聞いた。
・世界初、1対nでの高速認証システム
Q1:「LIQUIDPAY」とは、どんなシステムなのでしょうか。
 「LIQUIDPAY」は、次世代の生体認証システムです。世界初の「1対n(エヌ)」での高速認証を生かして、さまざまな分野のサービスに適応が可能です。
Q2:このようなシステムを考案するに至ったきっかけについて、お聞かせください。
創業者メンバーが画像解析に焦点を当てた研究、(それに伴う)ビジネスができないかと、考えたことが始まりです。

今までの生体認証は1対1の領域で、本人確認がメインでした。日本ではキャッシュカードの中に静脈情報が入っていて、(中略)番号で個人を特定した後に、記憶認証で4桁のコードを入れます。さらに、本人かどうかの確認をするために、指をかざす行為が一般的です。

(中略)これを生体情報で支払いをできるところまで質を高めれば、いろいろな用途に展開できるのではないかということで、まずは決済と生体認証を組み合わせた領域で、サービス展開をしていくことになりました。
・由比ヶ浜の海の家で試験導入
Q3:メディアでは訪日客のパスポート代わりになるということで話題になっていますが、他にどのような利用法があるのでしょうか。
指紋を媒介にして、プラットフォームを構築することが可能なので、日々の買い物や移動の支払い、公共サービスやポイントカードの利用、免税手続き、マンションやホテル、民泊の鍵など、訪日・在住の方問わず、さまざまなシーンでご利用いただけます。

例えば、今月いっぱい由比ヶ浜の海の家で取り組んでいる指紋決済「LIQUIDPAY」では、お客さまに携帯電話番号の登録と同時に、指紋も登録していただくだけで、海の家での支払いが指紋でできるようになっています。実際に利用した金額は、後ほどSMSにメッセージ送付しますので、コンビニにて後払いしてもらう、という仕組みです。
Q4:今後の展開について、教えてください。
5~10年後には、カードや電子マネー、生体認証が、それぞれの利用シーンで求められるセキュリティーレベルに応じて、すみわけけされることと思います。カードやスマートフォン決済がなくなるとは思いませんが、生体認証を組み合わせなければならないシーンが、今後多々発生してくるでしょう。

ただし、一部では生体認証だけで買い物する空間が出てくると思われます。2020年に向けて、なるべく多くの方に登録いただき、日本でのシームレスなサービス提供ができるようにしたいと考えています。そのために、来期は登録人数10万人と、「LIQUIDPAY」設置5万か所を目標に、取り組む所存です。
指紋認証もここまできた!というのが、素直な感想。佐藤氏が言うように、カードやスマホによる決済が消滅することはないだろう。しかし、決済手段の新たな波が、すぐそこまで来ているのは、紛れもない事実だ。

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