会社の中には社長室などに、自社の社訓やビジョンなどが書かれた紙を壁に貼るところもある。朝礼で社員が声に出して読むこともあるだろう。
しかし、「これはやりすぎでは?」と思わせる内容もある。2ちゃんねるに8月30日、「去ってほしい社員の条件」という貼り紙が投稿され、ネットで話題になっている。紙には去ってほしい社員の条件として、次の7つが書かれている。
1.知恵の出ない社員
2.言わなければできない社員
3.すぐ他人の力に頼る社員
4.すぐ責任を転嫁する社員
5.やる気旺盛でない社員
6.すぐ不平不満を云う社員
7.よく休みよく遅れる社員
スタジオジブリの鈴木プロデューサーが入手、ドワンゴ川上会長に譲られる
スレッドのタイトルは、「かつてスタジオジブリにあった『去ってほしい社員の条件』の貼り紙が厳しすぎるw」というもの。冒頭で紹介した貼り紙は、巨匠・宮崎駿氏を擁するスタジオジブリに貼られていたものだ。
この貼り紙には興味深いエピソードがある。漫画家の天久聖一さんが2015年に、朝日新聞の連載コラム「家庭遺産」で、この貼り紙に言及。記事では「ドワンゴ社員」という人物からの投書が紹介されており、それによるとこの紙は、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが、とある会社に行った際に拾ったものだという。
鈴木氏はこの紙をジブリの社内に貼ったというが、その後、ドワンゴ会長、川上量生氏に譲られ、同氏の会長室に飾られることになった。
ブラックな社訓は「自然にやる気が出せる職場環境を作れてない証拠」
2ちゃんねるでは意外なことに、この貼り紙について「全然普通」という声が少なくない。文字にすると「うわぁ」と感じてしまうが、「社会人としては当たり前」というのだ。たしかに、不平不満を言わずひたすら働き続ける社員は、会社としては嬉しいだろう。
しかし、当然のごとく「ブラック企業の洗脳のようだ」という声も出ていた。書いてあること自体は正論と認めながらも、紙にプリントアウトして社内に貼るという行為に違和感を抱く人も。
「社会人として当たり前っつーのは分かるが口で言うのと違ってこうやって明示されちゃうと会社内での義務感がハンパねーんだよな」
しかし、忘れてはならないのは、鈴木氏にしても川上氏にしても、その貼り紙を作った会社は結局潰れてしまった、ということを知った上で社内に貼っていた、という事実だ。ネットには、
「自然と各々がやる気を出し精力的に働いてるのが普通なのだから、こういうのを貼らないといけないほど自然にやる気が出せる職場環境を作れてない証拠」
という書き込みもあった。こんな貼り紙を貼るような時点で会社としては微妙、というのは間違いない。厳しい言葉を社員に投げることで、却って社員が委縮し、生産性が下がる、ということもあるだろう。逆説的ではあるが、これをあえて社内に貼ることで、反面教師として受け止めることもできそうだ。
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