8月29日放送の「バイキング」(フジテレビ)に3人の現役大学生たちが出演し、就活中の理不尽な体験を訴えていた。出演時間は限られていたが、話を聞くうちに何となく実力差のようなものが見えてきて興味深かった。
最初に衝撃告白をしてくれたのは、「露骨な学歴差別を受けた」というA君だ。大手企業のグループ面接を受けた際、「慶応、慶応、自分、法政、早稲田」という順番で質疑応答する場面があり、他の人は1人3分のところ「30秒で質問1つ」と言われてしまった。
これに対しA君は、もっと発言したいと要求したところ、他の人が退出を促されて面接担当者と1対1に。これはチャンスと喜んだが、相手からこんな冷たい言葉を投げられた。
「周りに慶応・早稲田いる中で、ちょっとキミ、控えた方がいいんじゃないか」
坂上忍も「そりゃSNS見るよ」と諭す
お前なんかの出る幕じゃないと、存在を否定されたのだ。「じゃあ、なんでそこに呼んだの?」という話である。こういうときは不利な条件を逆手にとり、30秒で印象を逆転させる言動に賭けるべきだったのかもしれないが……。
ブログに就活の不満を書いていたB君は、「SNSが選考対象になるのはおかしい」と不満を漏らす。友人から「企業に見られて、採用してもらえなくなるからやめた方がいい」と忠告され、しぶしぶ一部を削除した。
それでもB君は「自由な発言の場なのに」と納得いかない。冒頭のA君も、面接中に「SNSを見ていないと分からないようなこと」を聞かれ、「怖ッ」となったという。
しかしMCの坂上忍は、「チェックされて当たり前なんじゃないの」と冷めた意見。世界中の人が自由に閲覧できるSNSに投稿する以上、見られて当然と指摘する。B君が「就活の時期はみんなツイッターに鍵をかけることが多い」と明かすと、こう諭した。
「それもひとつのやり方。面接やオーディションのとき、みんな取り繕う。今まではその人を知るには直接会話するしかなかったけど、こういうのができたら、そりゃ見るよ」
SNSで社会人の人脈を作る東大生
自覚のなさを咎められたB君に追い打ちをかけたのが、東大生のC君だ。むしろSNSをチェックされていることを有効活用すべきと語る。自分の興味ある業界についてツイートしたり、海外の人に取材して記事を書いたりしているうちに、業界関係者から注目されて人脈ができたという。
「自分で発信していくことで、コネを作ることができた。SNSは使いようによって、良い(就活)ツールだと思いますね」
まったく鮮やかなである。ただ、これでB君は「そんなんじゃ駄目じゃん」みたいな目で見られることになり、ちょっと気の毒になった。
番組の様子から、C君は企業から引く手あまただった様子が伺える。そんな彼が不満を訴えるのは、他社の内定を断れと学生を脅す「オワハラ」だった。彼は個室に連れて行かれ、「今ここで契約書にハンコを押せ」と追い込まれたという。
こうした契約は効力がないそうだが、それだけ彼はその会社がどうしても離したくない人材だったのだろう。人材の優秀さを示す指標となるかもしれない。
就活勝者の現場体験には誰も敵わない
就活支援セミナーの講師を務める今井正彦氏は、経団連に入っているようなしっかりした大企業は企業モラルがあるので、「そういうのはたぶん書かせないですね」と解説。ところがここで現場の証言をぶっこんで来たのが、またしてもC君で、さらっとこう発言した。
「大小関係なく、オワハラをしない企業としてくる企業がありますね」
就活本を出し、就活塾の講師を務めている今井氏だが、真の就活勝者には敵わなかったようだ。マナーを強調しがちな就活塾だが、こういうC君の空気を読まないところが、かえっていまの日本の大企業に求められているのかもしれない。(ライター:okei)
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