メルセデスのトト・ウォルフは、ライバルチームが来年度に照準を移していることに対し、自身のチームの支配がより強まるのではないかと語っている。
メルセデスは現在、3年連続となるダブルタイトルの獲得はほぼ確実という状態であり、ライバルであるレッドブルとフェラーリに大きく差を付けている。
レッドブルはドイツGPでダブル表彰台を達成し、そのギャップを縮めたが、メルセデスの近年のライバルのマシン開発傾向を見ると、差はさらに広がると予想している。ウォルフはドイツGP前のメルセデスのパフォーマンスに対し以下のように語った。
「風洞を使用したシミュレーションを行い、マシンに導入したパーツの仕上がりには本当に満足している。来シーズンを見据えての進歩に向けた正しいスロープの上にいると考えていた。しかし、他チームが我々より少し先に来シーズンに標準を合わせ、集中することで、今ある差は広がる兆候にある。我々はこれまで多くの進歩を見せてきた。おそらく来年もそれが止まることはないだろう」
メルセデスに対して真っ向勝負を挑んだフェラーリだったが、それが失敗に終わり、ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグが2人揃ってリタイアするような出来事が起きない限り、メルセデスが優勝に一番近いことは変わらないだろう。
ウォルフは、意気銷沈するライバル達は、おそらく今シーズンを早々に諦め、2017年の大幅なルール改正に照準を合わせてきたと感じている。
フェラーリは今シーズン、メルセデスの最大のライバルとしてスタートしたが、新しいシャシーさえ作れていない現状が明らかになっている。彼らは前進を止めた訳ではない。チーム代表のマウリシオ・アリバベーネは「チームは今シーズンと同時進行で来季の準備をする必要がある」と語っているが、それができているとは言えない状況なだけなのだ。
「SF16-Hには、その都度好不調が荒々しく変動するギャップがある。メルセデスの支配はフェラーリが伸び悩んでいる限り、終わる気配がない。フェラーリはいくつかのリスクを取りその差を埋めようと努力したが、それは叶わなかった」
フェラーリは大幅なアップデートを施したバルセロナ以来、困難な状況だとアリバベーネは語っている。
一方のレッドブルは一貫して成長を見せている。モナコからアップデートされたルノーエンジンが明らかな進歩を見せ、メルセデスに次ぐ2番手となった。メルセデスはプレシーズンからすでに幸先の良いスタートを切っており、W07のアップデートも一貫した進歩を見せ、休み明けもしっかりとしたアドバンテージを維持してきた。
ウォルフは、メルセデスの独壇場はレッドブルとフェラーリの猛追が作り出したものだという。フェラーリが大幅な改善を見せられていない間、レッドブルのマシン開発は順調に進んだ。
メルセデスとレッドブルのパフォーマンスの差は確実に縮まっている。しかし、全てのチームの注目が来シーズンへ徐々にシフトしている現状は、必然的に王者であるメルセデスに一息つく暇を与えることになるだろう。