2016 SUPER GT 第6戦「45th INTERNATIONAL SUZUKA 1000km」(8/27-28)
鈴鹿サーキット(1周5.807km)
入場者数:予選26,500名、決勝34,000名 合計60,500名
8月28日(日)、夏の3連戦最終章でシリーズ天王山となるSUPER GT第6戦「45th INTERNATIONAL SUZUKA 1000km」の決勝が行われ、クラス最後尾15番グリッドから不撓不屈に勝利を狙っていったDENSO KOBELCO SARD RC Fは、スタートを担当したヘイキが序盤ランキング1~3位を争うライバルとの直接対決で1号車を攻略するなどまずは11位へ挽回。
次の平手は安定したペースで走行し雨が振り出し様子を見て59周目にヘイキと交代。滑りやすいコンディションの中、ヘイキが上位を猛追したが、平手のピットイン時の速度違反で痛恨のドライブスルーペナルティ。その後セーフティカーが導入され解除後すぐにピットインし、交代した平手は挽回を期して119周まで全力で追い上げた。
次に3度目のステアリングを握ったヘイキは激しい通り雨のなか、バランスの良さを活かして毎周5秒単位でギャップを削り取り、1つ順位を上げ8位でラップを重ね、147周目に最後のバトンを平手に託す。平手は薄暗くなった中でハイペースで猛追を続け通り雨のチャンスも活かして7位とのギャップを9秒近く削ったところで惜しくもチェッカー。我慢のレースをチームワークでつないで健闘を見せる8位フィニッシュを果たし、タイトル挑戦へ貴重なポイントを獲得した。
ドライバーポイントでは4点を獲得(計41点)、チームポイントでは6点を獲得(計55点)となり、シリーズランキングは3位となった。次の第7戦は10月8日(土)・9日(日)にチャン・インターナショナル・サーキット(タイ)にてシリーズ唯一の海外戦として開催される。
前戦富士では8位フィニッシュでランキング2位を堅守したDENSO KOBELCO SARD RC F。夏の3連戦最終章でシリーズの天王山となる第6戦は鈴鹿サーキットが舞台。通常より大量得点が狙えるため、タイトル争い生き残りを懸けた正念場となる。
公式予選はノックアウト方式(Q1、Q2)で、決勝は12時30分スタートのシリーズ最長1000km(173周)で争われる。約6時間の長丁場に及ぶ連続スプリントバトルは、運や天候に左右される場面が多く、難題克服に立ち向かえる総合力がチームに要求される真夏の伝統の一戦。ドライバー交代を伴うピットストップは最低5回が義務付けで、ウエイトハンディは現獲得ポイントの倍の数値となる74kgを搭載する。
7月に当地で行われた公式テストではウエット路面では4番手タイムをマークする雨中の速さを見せたDENSO KOBELCO SARD RC F。今回のこの1戦はタイトルを争う上で落とすことのできない重要な一戦となり、昨年の鈴鹿では速さを見せたものの不運に泣き、運に左右されるとはいえ走りの相性は良い鈴鹿。公式ポスターに描かれるなど期待も高く、またチームの本拠地から近いため応援団も大挙して訪れ、力強い声援も受ける。シリーズタイトル争い生き残りを懸けた天王山での大一番勝負の鈴鹿。タイトル挑戦への道筋を確かなものとするため、チーム一同、不撓不屈に勝利を狙っていった。
27日(土)午前中の公式練習走行は、気温29度/路面温度33度のドライコンディション。9時20分から混走セッションが開始され、まずはヘイキがミディアム系とハード系のタイヤのフィーリングをチェックした。まずミディアム系での最初のアウティングでは1分50秒246。次にハード系のタイヤを装着して1分51秒085に。続いて20周目から平手がミディアム系のタイヤを確認。
22周目にコースオフでリアウイング翼端板が脱落するアクシデントがあったが、タイム的にも走行後のタイヤ表面や減り具合などの要素を勘案した結果、重い重量ながらもミディアム系タイヤを決勝でうまく長く持たせられるかに重点をおいた準備を進めていった。
混走セッションではヘイキのマークしたベストで14番手に。10分間のGT500単独セッションでは、ヘイキがQFでは使用しない方のタイヤでアタックシミュレーション。5周目に1分49秒716の14番手タイムとなった。公式練習走行ではトータル32周を走行。またその後行われたサーキットサファリではヘイキが1周、平手が8周走行して準備を整えた。
■Q1:ヘイキが重い車両をねじ伏せ健闘するも15位
27日(土)天候は午前の曇り空から青空が見え始めて晴れとなり気温33度/路面温度44度の暑さに。14時50分からQ1が開始され、残り8分を切ったところでQ1アタックを任されたヘイキがコースイン。鈴鹿のコースの特性から重量が大きく響いており厳しい状況ではあったが、少しでも上位を狙ってヘイキがアタックを開始した。
ミディアム系タイヤをチョイスしていたが、モニター越しにも思うようにクルマが進んでいかない様子。アタックラップに集中して臨んだヘイキは、セクター自己ベストを更新していくが他車に遅れを取る厳しい展開に。
バランスは良いが中々前に進んでくれない重い車両をヘイキがねじ伏せて健闘を見せるも、他車が次々と1分47~48秒をマークしていき、トップから1.5秒落ちの1分49秒204のタイムで15位という厳しい結果となり、決勝はGT500クラス最後尾から逆襲を狙うこととなった。
■ウォームアップ走行
28日(日)決勝日は朝から雨のウエットコンディション。気温26度/路面温度28度のなか、決勝直前の11時08分から20分間のウォームアップ走行が行われ、スタート担当のヘイキがドライブ。3セットのウエットタイヤを皮むきを終始行い、そのままヘイキがチェッカーまで走行。決勝への準備を整えた。
■決勝スタート
第1スティント:ヘイキが11位まで順位を挽回
28日(日)12時30分決勝スタート前には雨が止み、うっすらと水が路面に残るハーフウエットに。気温27度/路面温度28度のなか、三重県警先導によるパレードランの後にGT500最後尾からDENSO KOBELCO SARD RC Fを駆るヘイキがドライタイヤで危なげなくスタート。滑りやすく難しいコンディションのなかで、序盤にランキング1~3位を争う1号車(13位)、37号車(14位)との直接対決が勃発。10周目に1号車を1コーナーで攻略するなど、ライバル勢の最初のピットインまでにまずは11位へ挽回してみせた。
第2スティント:平手が安定したペースで走行も痛恨のペナルティ
29周目にピットインを行い、確実な作業で平手を送り出す。交代した平手は戦略上の違いから13位の走行ながらも安定したペースで走行。スティント終盤となる54周目に他車がピットインするタイミングで雨が振り出して様子を見ながらピットインを延ばすことを選択。
落ち着いた頃の59周目にヘイキと交代すべくピットインを行った。だがこのピットインの際にピットロード入口で2km/hオーバーの速度違反となってしまっていた。
第3スティント:ヘイキが逆境に負けずにプッシュを続ける
滑りやすい路面のなか、ヘイキが上位を猛追したが、平手のピットイン時の痛恨のドライブスルーペナルティを65周目に消化。だが諦めないヘイキが懸命にギャップを削ていく。そして3回目のピットストップが始まった頃の88周目にセーフティカー(SC)導入される波乱が起こる。
まだピットインをしていないDENSO KOBELCO SARD RC Fは前とのギャップが離れてしまうと共に順位を争っていた車両が後ろに離れる微妙な結果となった。暫定3位の位置でSC隊列走行が続いた後、92周を終えSC解除後すぐにピットインを敢行し、平手にバトンタッチとなった。
第4スティント:平手が挽回を期して追い上げを図る
2度目のステアリングを握った平手は、挽回を期して追い上げていく。徐々に路気温も下がりコンディションが変化してきたが、失ったギャップを取り戻すべく懸命なドライビングをみせてギャップを削る。そして、タイヤのグリップダウンを感じた119周を終えヘイキと交代すべくピットに戻った。
第5スティント:激しい通り雨の中でヘイキが大きくギャップを削る
素早い作業でヘイキを送り出すと126周目あたりから激しい通り雨が降り始める。ウエットでのバランスの良さを活かしてヘイキは得意の雨の中でここがチャンスとばかりに毎周5秒単位でギャップを削り取る速さを見せる。大きく開いていた差を詰め8位と順位を上げ、ドライへと変化する難しい路面を安定したペースでラップを重ね、147周目に最後のバトンを平手に託した。
第6スティント:平手が9秒近くギャップを削るも惜しくもチェッカー
平手は薄暗くなったなかでハイペースで猛追を続けていき、13秒あった7位100号車との差を詰めていき、フィニッシュ直前の激しい通り雨のチャンスも活かしギャップを9秒近く削った。だが、視界に捉えてあともう少しのころで惜しくもチェッカー。我慢のレースをチームワークでつないで健闘を見せる8位フィニッシュを果たし、タイトル挑戦へ貴重なポイントを獲得した。
ドライバーポイントでは4点を獲得(計41点)、チームポイントでは6点を獲得(計55点)となり、シリーズランキングは3位となった。次の第7戦は10月8日(土)9日(日)にチャン・インターナショナル・サーキット(タイ)にてシリーズ唯一の海外戦として開催される。
■ヘイキ・コバライネン
「クルマのバランスはとても良かったけど重さが響いて立ち上がり加速やブレーキングに苦しみ、厳しいレース展開だった。途中で雨が降った時にはバランスの良さからペースが良くて、前とのギャップを大きく削れてチャンスになった。だから走りながらもっと雨が降ればと思っていたほど」
「それでもキッチリと走りきって、何とかチームワークでポイントを獲得できたことが次につながったと思う。ランキングは3位に落ちてしまったけど、あと3レース(タイ、もてぎ2レース)もあるし、ここからチームの底力が試される正念場。厳しい戦いが続くけど最後まで諦めずにタイトルを狙って行くよ」
■平手晃平
「自分の最初のスティントを終えて59周目のピットインの際に2km/hオーバーでドライブスルーペナルティを受け迷惑をかけてしまいました。その後は、挽回してやろうという強い気持ちを持ちつつも、空回りしないように冷静になって落ち着いたドライビングに努めました」
「我慢のレース展開でしたが何とかチームワークで巻き返して8位でフィニッシュできて、チーム力を感じられるレースになりました。ランキング3位となってトップとは15ポイント差と開いてしまいましたが、まだまだ諦めずに残り3レース、シリーズチャンピオン目指して頑張りますので、ご声援よろしくお願いします!」
■野田秀樹監督
「一発の速さを求めるには重量が重く無理がありました。決勝をいかに力強く走れるかの準備に集中し地味ながら粛々とやるべきことを進め、不安定な天候を落ち着いて見極め、できる限りの力を出し切った内容だったと思いますが、タイトル獲得へ向けては、まだまだ足りないものがあることに気付かされたレースでした」
「シリーズランキング3位へとポジションを1つ落とす事になり、とても悔しい。震えるくらい悔しいです。もっと強く、もっと熱く、もっと冷静に。監督としても更に挑戦し何があっても諦めず、スポンサー、サードファン、チームスタッフ全員で戦い抜きます。ご声援ありがとうございました」