トップへ

Excellence Porsche Team KTR スーパーGT第6戦鈴鹿 レースレポート

2016年08月30日 22:01  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

Excellence Porsche
KTOUCH Excellence Motorsport

Excellence Porsche
911 GT3 R

2016 AUTOBACS SUPER GT
Race Report

Suzuka

­­August 27 / 28 2016

Naoya Yamano / Yuya Sakamoto

Qualify : 8th (1'59"230)
Race : 7th (160 Laps)

 SUPER GTの2016年シーズンは、シリーズの天王山とも言える、第45回インターナショナル鈴鹿1000kmを迎えた。1年の間で最長のレース距離で、暑さもあり最もタフなレースと言える。Excellence Porsche Team KTRは、7月に行われた公式テストでも好タイムを連発しており、今季最大のチャンスと意気込み、鈴鹿サーキットに乗り込んだ。今回もExcellence Porscheをドライブするのは、山野直也と坂本祐也のふたりだ。

 迎えた8月27日の鈴鹿は曇り。午前9時20分からの公式練習では、まずは山野からコースイン。Excellence Porscheのフィーリングを確認するべく周回を重ね、12周目にはベストとなる2分00秒565をマーク。16周をこなし坂本に交代した。坂本も10周を周回し、専有走行の時間帯にふたたび山野に交代。予選に向け確実な手ごたえを得て走行を終えた。

 迎えた午後2時30分からの予選Q1。14番手以内が通過できるQ1を突破したことは今季なかったこともあり、まずはQ1突破を目標に山野を送り出した。山野は2周を使ってタイヤを温めると、3周目には1分59秒689というタイムをマークしてみせる。公式練習でも出なかったタイムに、Q1突破の期待が高まった。いったい順位は……!?

 山野のタイムは、Q1突破となる13番手。ついに目標を達成したが、チームは続く予選Q2に向け気合を入れ直し、坂本を送り出す。期待に応えたい坂本は、慎重にタイヤを温めアタック一閃! 3周目に山野のタイムをも上回る1分59秒230をマークしピットに戻った。結果は8番手。ついに予選シングルポジションを獲得してみせた。この鈴鹿はJAF-GT規定車両が速さをみせるコースだが、ポルシェ911 GT3 Rが属するFIA-GT3規定車のなかでは3番手。チームの努力がついに結実した。

 とはいえ、本番は8月27日の決勝レースだ。事前は終日雨の予報だったが、朝方のうちに雨は止み、午後0時30分のスタート時には路面は乾きつつあった。RRレイアウトでウエットを得意とするExcellence Porscheにとっては若干不利とも言えたが、ドライでの速さもすでに証明されている。堅実にレースを運べば結果に繋がるはずだ。チームを指揮する武田敏明監督は不測のセーフティカー等にも対応するべく、作戦に幅が出る前半を長めのスティントで引っ張る作戦に出た。

 スタートを担当したのは山野だったが、乾ききっていない路面で走りが冴え渡る。1周目からJAF-GT勢に食らいつくと、2周目の1コーナーでは早くも4番手にポジションを上げてみせる。その後7周目にいったん抜いた#2 ロータスにかわされるが、山野は慌てることなく、自分のペースで素晴らしいラップタイムを重ね続けた。

 25周を過ぎる頃になると、前をいく車両たちがピットインを始める。今回は最低で5回のピットインが義務づけられているが、山野はずっとコースに留まり、31周を終えて2番手まで順位を上げて坂本に交代する。坂本も高いペースを保ち続けるが、43周目、130R外側でタイヤカスを拾ってしまい、ふたつポジションダウン。ただ、それでもきっちり上位に食らいつく走りをみせながら、66周を終えてピットに戻った。この時点では2位だ。

 上位陣では非常に多くの戦略が採られたため、レース終了時に何位になるのかは分かりづらい展開が続いていたが、確実に上位フィニッシュできる順位なのは間違いない。山野は順位をトップまで上げ、94周目にふたたび坂本へ。坂本のペースは山野に比べると若干遅れるが、それでも後続をきっちりと抑え128周目、今度は山野へ交代した。

 ただ、レース後半になると、上位をうかがうJAF-GT勢がもともとのピットインの速さに加え、タイヤ2本交換や無交換等の作戦に出る。軽量ならばできる作戦であり、GT3勢には難しいものだ。また、Excellence Porscheが想定していた波乱もほとんどなかった。

 Excellence Porscheは残り13周というところでピットに向かい、坂本にふたたびバトンタッチ。残り周回も少ないこともあり、タイヤ無交換作戦を採用。コースに戻った時点では7番手で、そのままの順位でフィニッシュ。きっちりと長丁場のレースを走り抜き、今シーズン初得点となる5ポイントを獲得してみせた。

 ただ、上位に食い込んだJAF-GT勢に対抗するためには、さらなる速さを磨かなければならない。目指すところは表彰台、そして勝利だ。幸い、チームは5回のピットでパーフェクトな仕事ぶりをみせており、つかんだ自信は大きい。2016年シーズンの残り3戦、Excellence Porsche Team KTRはさらなる上位を目指していく。



Quote.
Naoya Yamano A Driver
予選Q1を突破できましたし、坂本選手もいいアタックをみせてくれて、8番手を獲得することができました。上位グリッドだと序盤も安心してバトルができるんですが、うまく順位を上げることができて良かったです。その後はずっといいペースを保てたと思います。作戦もピットもほぼノーミスでした。次のタイはポルシェ向きとも聞いているので、最終戦までいい流れを作りたいです。

Yuya Sakamoto B Driver
山野選手が予選Q1を突破してくれたのでプレッシャーもあったのですが、8番手も獲れましたし、いい予選だったと思います。レースでも山野選手が順位を上げてくれたのですが、自分のときにあまりペースが上げられなかったので、反省する部分も多いレースだったかもしれません。今回で僕は今シーズンの参戦が最後なのですが、ポイント獲得でチームに貢献できてうれしいです。

Tadashi Fujita Team Principal
今回はマシンにしてもドライバーにしても、タイヤ選択にしてもその他さまざまな条件においても、すべてが総合的にうまくいったのではないでしょうか。ひとつ大きな光が見えたのではないかと思っています。もっと上にいくために、いい経験をさせてもらえたと思います。次戦はタイですが、昨年も入賞していますからね。さらに上位を目指して、チーム力をアップさせていきたいです。

Toshiaki Takeda Team Director
7位で満足している訳ではないですが、今季序盤アクシデントが続いていたことを考えるとクルーもノーミスでしたし、良かったと思います。鈴鹿はテストのタイムも良かったので、そこからさらに気温や路面に合わせた方向のセットで持ち込みましたが、かなり向上させることができたと思います。次戦のタイは今回のデータも活かしつつ、しっかりグリップするクルマを作りたいですね。