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高校生ドライバー佐藤万璃音イタリア挑戦記 第7回:チームの主要スタッフを本音で紹介

2016年08月30日 20:01  AUTOSPORT web

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レース前の作戦会議。写真左からエンジニアのジャンニ、チーム代表のヴィンチェンツォ、エンジニアのアレッサンドロ、同じくエンジニアのジャンルカ。
今回の本稿では、2シーズン目のイタリアFIA-F4挑戦中の佐藤万璃音を支えるヴィンチェンツォ・ソスピリ・レーシング(VSR)の主要メンバーに関して、17歳の高校生ドライバーからの視点で紹介する。果たして、自分の両親やそれ以上の年齢のスタッフに関して、万璃音はどのような印象を持っているのだろうか?

「まず、ジェシカ・グルームブリッジ。もし彼女が居なかったら、VSRはとうていレース活動ができないと断言します(汗)。チーム全体を見渡し、経理、総務、庶務、広報といった事務仕事のすべてをひとりで切り盛りする大車輪の働きぶりです。ホテル、飛行機、レンタカー、食事の手配なども彼女が請け負います。ちなみに僕らドライバーはふたりが居ない場所では、ヴィンチェンツォを“社長”、ジェシカを“会長”というように親しみをこめて呼んでいます。ヴィンチェンツォよりジェシカのほうが、チーム内では強いポジションです(汗)」


「次にヴィンチェンツォ。八面六臂でチームを支えるジェシカが居るからこそ、彼はレースに全精力を注げていますし、正真正銘の“レース馬鹿”ぶりを発揮できます(汗)。僕はヴィンチェンツォの現役時代こそ知りませんが、インターネットで戦績や経歴を検索して、とてつもなく素晴らしいドライバーと知り驚きました。ミハエル・シューマッハが尊敬するドライバーの筆頭として、ヴィンチェンツォの名前を挙げる理由も理解できました」


「ヴィンチェンツォはドライバーの立場から、的確なアドバイスを与えてくれます。たとえばミサノで開催された2015シーズンのイタリアFIA-F4最終大会、ひどいウェットコンディションの決勝レース3で彼は、僕にドライタイヤでのスタートを強要しました(汗)。それ、無理でしょ!(汗) しかし、ほぼ最後尾からスタートして間もなくコンディションは急激に改善、僕は2位でチェッカードフラッグを受けました。ヴィンチェンツォのドライバーとしての野性的な“カン”が当たったのです」

「続いて、エンジニアの中では最も若いアレッサンドロ・ザネッティ。彼はチームメイトのジェイデン・コンライトを担当しています。僕はアレッサンドロと一緒に仕事した経験こそありませんが、印象的なのは運動能力の高さです。僕を含めたドライバー3人と僕のトレーナー、そして彼の5人でマラソンしたとき、アレッサンドロの走りとタイムはブッチギリでした(汗)」


「もうひとりのチームメイト、シモーネ・クナーチを担当するエンジニアはジャンルカ・グラダッシ。チーム内の愛称は“GT”です。一見怖そうな人ですけれど、じつはものすごく優しくて良い人です。ヴィンチェに信頼され、彼の右腕として長く工場長を務め、コツコツとレースストラテジーやレースエンジニアリングを勉強して、メカニックからエンジニアへの転身を果たしたバリバリのイタリア職人です」

「最後に僕のエンジニアを務めるジャンニ・レジャーニ。白髪が印象的で、日本人がステレオタイプで想像する“チョイワル中年イタリア人”ではなく、スマートで脂が抜けた感じの人です。ジャンニは僕の初めてのテストのときから一緒に頑張ってくれ、経験のまだ浅い僕にも分かりやすく話してくれるので、とても助かっています。社交的で温厚な性格ですが、ときには僕を厳しく指導してくれます」


 VSRのスタッフの多くは過去に日本人ドライバーと一緒に仕事した経験があり、ヴィンチェンツォ自身も日本でのレース経験や日本の自動車メーカーとのレース経験もある。その意味では、ヨーロッパでのレース経験が浅い万璃音がキャリアを積むにはうってつけの環境。もちろん、万璃音も彼自身の成長に合わせていずれは異なるチームで戦わなくてはならない。その来たるべき時期に備えて、いまはストレスを感じない環境を用意してくれるVSRでせいぜい精進しなくてはならない。