メルセデス・モータースポーツのボス、トト・ウォルフは、ルイス・ハミルトンがフレッシュなエンジンの「在庫」を持つことを可能にした、ペナルティ規定の「抜け穴」を塞ぐべきだと考えている。
ハミルトンは先週末のスパで、3基の新しいパワーユニットを使用し、合計55グリッド降格のペナルティを受けたが、これによってシーズン終了まではエンジンペナルティを受けずにすむ見通しがついた。同様にベルギーGPでは、フェルナンド・アロンソもホンダ製パワーユニットのコンポーネントを複数回交換し、ペナルティとして合計60グリッド降格されている。
これについて、ウォルフは「昨年はジェンソン・バトンが52グリッド分のペナルティを受けたレースもあった。こういったやり方が合法だというのは、ひどくおかしな話だと思う」と述べた。
「ひとつの週末に2基以上のエンジンを使うというのは、本来あるべきことではない。そう考えて、私たちは新品エンジンを蓄えることはできないという規則を決めようとしたが、成立しなかった。提案が他のチームに拒絶されたからだ」
「したがって今回私たちは、複数のエンジンを投入して、降ろしたものはストックしておくことにした。だが、このやり方に何の問題もないとは思っていないし、世間の人にはバカげた話にも聞こえるだろう。この抜け穴は塞ぐべきだと思う」
予選終了後、ウォルフは、スパでは意外に他チームとのパフォーマンス差がなかったことを考えると、エンジン交換のタイミングとしては、次のイタリアGPのほうが良かったかもしれないとも語った。結果として決勝レースは好成績で終えたものの、それまでメルセデス勢はスーパーソフトタイヤをうまく機能させられずに苦しみ、さらに予想外の高温とピレリが指定した高めの最低空気圧の問題も加わっていたからだ。
しかし、ハミルトン本人は、次のレースまで待つという選択はありえなかったとして、そうした見方を否定した。
「モンツァまで待つことはできなかった。使えるエンジンはあと1基という状況で、スパの週末を乗りきれるとは限らない。そして、何とかレースはできたとしても、エンジンを労りながら走らざるを得なかっただろう。そして、レースの途中で壊れてしまうリスクもあった。いずれにしても、もう残り寿命の長くないエンジンなのだから。そんなリスクは冒したくなかった」