FIA-F4鈴鹿ラウンド 第11戦を制した大滝拓也(SRS/コチラレーシング) FIA-F4選手権シリーズの第11戦、第12戦が8月27~28日に鈴鹿サーキットで行われ、それぞれのレースでポール・トゥ・ウィンが達成された。第11戦では大滝拓也(SRS/コチラレーシング)が初優勝、そして第12戦では大湯都史樹(エヴァRT弐号機tanzen Rn-s)が2勝目をマークした。
予選は開始から7分目にS字でクラッシュがあり、いきなり赤旗で計測が中断。ほとんどのドライバーがまだ1周しかしていないなか、ひとり2分8秒台に叩き込んでいたのが大湯だった。
そのまま逃げ切りなるかと思われたものの、再開から間もなく大滝拓也(SRS/コチラレーシング)だけが、大湯のタイムを更新。逆に大湯はタイムアップできず、2番手どまり。しかしながら、セカンドベストタイムではトップだったこともあり、大滝とポールポジションを分け合うことになった。
「まだまだ速いタイムを出してくるドライバーがいると思ったので、プッシュし続けたんですが、ガス少なめで行ったせいでガス欠症状が出てしまって。今日はポールですが、明日は6番手だったのが、ちょっと悔やまれます。でも、ここまで表彰台どころか、最上位は8位。そろそろ結果を残したいですね」と大滝。
大湯は「ベストは尽くせたと思います。ただ、第11戦はモラルハザードポイントの蓄積で、10グリッドダウンなんです。今週はいいリズムができているので、第12戦につなげるためにも、早い段階で上位につけたいと思います」と語った。
また、この赤旗でリズムを崩すドライバーも少なくなく、上位の並びはこれまでとは少々違うものとなっていた。第11戦は大湯のペナルティから、澤田真治(B-MAX RACING F110)が繰り上がって2番手、3番手は高橋知己(点天&イーストアップwith Field)、以下、阪口晴南(HFDP/SRS/コチラレーシング)、宮田莉朋(FTRSスカラシップF4)と続くなか、小高一斗(FTRSスカラシップF4)は8番手に。
第12戦も2番手は阪口、これに高橋、宮田、澤田と続いた一方で、小高はまたも8番手に甘んじていた。予選早々にコースアウトを喫するなど、どうにも走りに精彩を欠いている印象。
また、新たな顔ぶれとして、鈴鹿ラウンドには角田裕毅(AUTOBACS SUTEKINA F110)が登場。2000年生まれ(!)の16歳は、すでに岡山スーパーFJでデビューウィン+2連勝を飾っており、今回も予選では9番手、6番手につけていた。
第11戦の決勝は、鈴鹿1000kmのサポートレースらしく、厳しい暑さのなかでの戦いとなった。「実は今年デビューしてから、一度もスタートで順位を落としたことがないんです」という大滝は絶妙のダッシュを遂げて、1コーナーへのホールショットに成功。
2番手スタートの澤田が出遅れ、順位を落としたのとは対照的に、高橋は早い段階から動き出した印象もあり、4番手阪口も釣られたように動き出したように見られた。
川端伸太朗(SCCEED SPORTS F110)と澤田を含めたバトルから抜け出したのは、高橋と阪口。一方、澤田はシケインでの攻防中、フロントウイングにダメージを負ってしまう。
1周終えたところで、大滝は後続のバトルを尻目にコンマ9秒の差をつけ、スタンド前に戻ってくる。そして2周目には続いていた高橋、阪口が単独走行となっていたこともあり、いよいよ大滝追撃モードに入るかと思いきや、やはりフライングスタートの裁定が下り、ふたりにはドライビングスルーを命じる旗が提示されて万事休す。大滝は、これでより大量のリードを確保する。
2番手に浮上した澤田も、一時は単独走行になるかと思われたが、間もなく迫ってきたのが角田だった。角田は川端、宮田、そして大湯を退け、7周目には3番手に浮上すると、次の周の1コーナーで、澤田を躊躇なくぶった切った。
その後は角田が単独走行となり、フロントウイングを痛めた澤田は、アンダーステアに苦しみながらも、なんとか大湯を抑えて3位でフィニッシュ。
最後は12秒差の圧勝となった大滝は、もちろん初優勝。「後ろでごちゃごちゃやってくれているのをミラーで見つつ(笑)、僕は落ち着いて最後まで走ることができました。SRS-Fで学んだことを振り返りつつ、ロガーでこことここをこういうふうにつなげば、きっといいタイムが出ると、今まで以上に分析していたのがすごく効いたみたいです」と大滝。国立山形大学の現役生であるだけに、そのあたりの学習能力はずば抜けていたようだ。
そしてFIA-F4初レースを2位で終えた角田は、「とにかく当たることだけは避けつつ、でも思いっきり行こうと。すごいバトルになりましたが、楽しかったです(笑)」と戦いを振り返った。
第11戦を4位で終えた大湯は、ポールから挑む第12戦に弾みをつけたたが、日曜日は一転してあいにくの雨模様。だが、この天候変化は大湯にとって大いに味方となった。セーフティカースタートでレースが開始されることとなり、2周の先導の後、いよいよバトルモード突入!
「アクセルオンのタイミングが早く、SCに追いついちゃうんじゃないかと心配でした」と語る大湯に対し、「130Rまでに十分なグリップ感を得られず、それで前の動くタイミングに合わせ切れなかった」と阪口。そのため、コントロールラインを通過した段階で、すでに大湯は1秒のマージンを確保した。
その後方ではまたも激しい攻防戦があり、コースの随所で順位が入れ替わる。次の周のグランドスタンド前に集団の先頭で戻ってきたのは澤田で、以下高橋、角田、小高、そして大滝という順で続いていく。
そのなかから、4周目に澤田が抜け出した。続いて小高も抜け出しそうなムードがあったが、角田に背後につかれた9周目の2コーナーで、縁石に乗って痛恨のコースアウト。あえなくリタイアとなり、角田が4番手に浮上する。
その間にも、ホームコースでの逆転優勝を狙った阪口ながら、水しぶきが激しく上がって視界を奪われる。逆に唯一、視界良好の大湯は、ひとりハイペースでの周回を重ね、じわりじわり阪口を引き離していった。「やっとトップチェッカーを受けられました。今回はドライでもウエットでもクルマが決まっていたので、すごく乗りやすく、チームやメカニックにとても感謝しています」と大湯。
2位は阪口で、3位は澤田、そして角田が4位に。これに高橋、宮田が続いていた。一方、大滝は7番手を走行していたが、最終ラップにマシントラブルが発生、無念のリタイアとなっていた。
なお、この結果、宮田はランキングのトップを死守したものの、阪口が11ポイント差、大湯が14ポイント差にまで迫ってきた一方で、小高は石坂瑞基(HFDP/SRS/コチラレーシング)を挟んで6位に後退、宮田に23ポイントも差をつけられてしまう。
とはいえ、11月にもてぎでの行われる最終大会はご存知のとおり3連戦。最大75ポイントの加算も可能となっており、チャンピオン争いの予想は、まだまだ困難だ。