Q&AサイトのYahoo!知恵袋に、こんな相談が寄せられていました。相談者のohesocyuさんは、詳しい背景は書かれていませんが「多少のサビ残は、愛社精神で受け入れなくてはいけないのですか?」という質問を投げかけています。
時間外労働をした場合、時間数にかかわらず残業代を支払わなくてはならないのが日本の法令。いわゆるサービス残業は「賃金不払い残業」で違法です。しかし日本には、サービス残業が慢性化している職場が多くあるのが現実です。(ライター:Makiko.N)
自分の立場を守るため「打算でやるもの」という意見も
サービス残業については、日本労働組合連合会の2015年1月発表の調査があります。20~59歳の男女正規・非正規労働者3,000人に尋ねたところ、4割強の人たちが「サービス残業をせざるを得ないことがある」と回答したとか。
サービス残業時間は、一般社員で月平均18.6時間、課長クラス以上だと月28時間にも及びます。もっと多い人もいるでしょう。こういった実態を受けて、回答者からはサービス残業は必要悪という意見が投稿されています。
「仕事が積もってて、残業時間めいっぱい使っても追い付かないならサービス残業でもなんでもやって済ませるんですよ。仕事ってのは、請け負った以上済まさにゃならんのです。腕が無ければ頭と時間をめいっぱい使うんですよ」(aabbccc1456さん)
帝国陸軍・牟田口廉也中将の「腕もなくなったら足で蹴れ。足もやられたら口で噛みついて行け。日本男子には大和魂があるということを忘れちゃいかん」という言葉を思い出します。
さて、そこまでして残業をする理由はどこにあるのでしょうか。愛国心、いや愛社精神だけでなく、仕事のプロとしてのこだわりでやっている人もいるのかもしれませんが、こんな意見もあるようです。
「いいえ。自分の立場を守るための打算を元にやるものです」(madin_darbyさん)
「その前に、払うものを法律通りに払え」と言えるか
サービス残業をしなければ、上司からは「あいつはやる気を出していない」と叱られ、同僚から「みんなやってるのに勝手だ、迷惑だ」と陰口を叩かれるくらいなら、黙ってサビ残をやるしかないと諦める人もいるのでしょう。
もちろん「コンプライアンスの原則から、受け入れは出来ません」(gpz40065さん)という人もいます。泣き寝入りすれば、現状は改善されません。不満が溜まりに溜まった末、社員の集団提訴で億単位の残業代の支払いが会社に命じられた例もあります。
会社の存続のために犠牲になってサービス残業をしていたはずが、それを別の社員に告発されて過去の残業代をさかのぼって支払うことで、会社が傾いたり潰れたりしてしまっては元も子もありません。ここは最初から正論を貫くべきでしょう。
Nihon2149さんは、上司から「愛社精神を持て」と言われたとき、「その前に、払うものを法律通りに払え」と言い返し、最後に「ブラック企業と言われる方に問題がある」と言ったところ、上司は何も言ってこなくなったそうです。
部下たちに向かって「兵器がない、やれ弾丸がない、食う物がないなどは戦いを放棄する理由にならぬ」と精神論を振りかざした牟田口中将の教訓は、現代日本でもいまだに活かされていないようです。
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