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出火、ガス欠、黄旗中の追い越し疑惑……鈴鹿1000km、GT500アクシデントまとめ

2016年08月28日 22:11  AUTOSPORT web

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スタートから序盤は大きなアクシデントもトラブルもなかったスーパーGT第6戦鈴鹿1000km。それでもやはり、周回数を重ねるにつれ、徐々にサバイバルな展開になっていった。ここではGT500の各チームに起きたトラブル、アクシデントをまとめた。

■#12 カルソニック IMPUL GT-R リタイア
2番手走行中の60周目に2回目のピットストップを終えたアウトラップ、右フロントタイヤ後方から出火して、右ドアが脱落しかかり、S字でストップ。J-P.デ・オリベイラはすぐにコクピットから脱出し、右の助手席側に見えた炎はファイアーマーシャルがすぐに消火。ピットストップ時に補給したエンジンオイルに何かしらの理由で引火してしまったのが出火の原因だという。エンジンオイルの給油口は右フロントフェンダー付近にあるが、「そこから漏れがあったのか、これからクルマをチェックします」とは、島田次郎エンジニア。タラレバでそのトラブルがなければ……「普通に3位以内には入っていたでしょうね」(島田エンジニア)。

■#46 S Road CRAFTSPORTS GT-R
カルソニック GT-Rの出火によるストップでS字にイエローフラッグが出ていた状態で、本山哲が追い越しをしてしまい、10秒ストップのペナルティ。それでも3位表彰台を獲得する速さを見せた。次回のタイ戦には今回欠場した千代勝正が戻る予定。

■#15 ドラゴ モデューロNSX CONCEPT-GT リタイア
PPスタートからタイヤのピックアップの症状などで順位を下げ、82周目にピットガレージに入り、リタイア。エンジンの水温が高くなり、オーバーヒート。兆候はまったくなかったという。飛び石などでラジエターなどの冷却系が破損した可能性もあるが、大きな外傷は見られず原因は不明。エンジンもひとまず本体は大丈夫の様子。

■突然のギヤトラブル、ピット前で電気系の再起動……

■#37 KeePer TOM'S RC F リタイア
86周目のヘアピン立ち上がりで挙動を乱しスローダウン。その後、復調したように見えたが92周目にピットに戻り、リタイア。
「ヘアピン立ち上がりで2速が使えなくなってしまって、ジェームス(ロシター)は2速なしでなんとか走っていたのですけど、ピットインして平川(亮)に代わって出て行った時に5速、6速も調子が悪くなってしまった」と小枝正樹エンジニア。今まで同様のトラブルは出たことがなく、いきなりトラブルが出てしまったという。

■#100 RAYBRIG NSX CONCEPT-GT 7位
115周目のピットストップを終えてピットロードのファストレーンに向かうところでマシンを止め、メカニックがピット前まで戻して、再スタート。エンジン始動の際、制御系か電気系のトラブルが発生して、アクセルが効かない状況になってしまったという。一度、ガレージ前にクルマを戻して、電気系を再起動させてコースへ。その後は問題はなかったという。

■#39 DENSO KOBELCO SARD RC F 8位
第2スティントを担当した平手晃平がピットロードの速度違反でドライブスルーペナルティ。野田英樹監督によると、「2km/hオーバーでちょっと攻め過ぎてしまったんじゃないかな。結果的にポイントは獲得できて大きな怪我にはなりませんでしたけど、チャンピオン獲得を意識してやっているので、つまらないミスをしているようではダメですよね」とのこと。このペナルティによって30秒のロスがなければ5位の可能性も。

■トップ争いの黄旗追い越し疑惑、ファイナルラップでまさかのガス欠……

■#1 MOTUL AUTECH GT-R 6位
6号車のWAKO'S 4CR RC Fをオーバーテイクして4番手で迎えたファイナルラップ、130R手前でストップ。「ガス欠です。ドライバーは本当によく頑張っていたので、申し訳ない。原因は今はわかっていません。ピット側でのデータ上、給油時間も充分、余裕を持って進めていましたけどガス欠になってしまったので、ハードのトラブルのか、クルマ側なのか、原因はこれから調べます」と鈴木豊監督。ファイナルラップで順位は下げたが、100kgを搭載しての6位に「最初に選んだタイヤが合っていませんでしたが、そこから戦略を変えてしっかりできましたし、内容的には強いレースができた。ちょっと最後、足りなかったですけど、今回のような内容を続けていければチャンピオンは獲れると思っています」と鈴木監督。アクシデントがあったにも関わらず、相変わらずの強さを見せた。

■#38 ZENT CERUMO RC F 優勝
129周目のスプーンで36号車au TOM'S RC Fをオーバーテイクした際、モニター上ではイエローフラッグ区間だったように見え、一時、「ペナルティか!?」との疑惑が挙がるも、GTAによる検証の結果、お咎めなしに。36号車と38号車がスプーンに進入したとほぼ同時にスプーン進入のポストでイエローフラッグが出ているが、フラッグが出たこの瞬間は、ドライバーは物理的にはスプーン進入のポスト&フラッグが見えないタイミング。GTAドライビング・スタンダード・オブザーバーの服部尚貴氏によれば、あくまでドライバーが視認できるタイミングでジャッジしているという。「このような検証は毎戦、必ず行っていますので特にイレギュラーなケースではないです」とのこと。
 中継映像でも通過時はイエローフラッグが出ていたが、GTAとしてはイエローフラッグが出ているポストの前を通過した瞬間ではなく、ドライバーがポストのフラッグを認識できる間合いで判断しているという。
 今回のケース、ドライバーは事前のスプーン進入時にはドライバーはオイル旗と白旗を視認して進入せざるを得ないとの判断から、ペナルティの対象にはならなかった。映像を見返せば、36号車もスプーン進入でクリッピングポイントを外し、アウトの縁石に孕んでいる。38号車の立川裕路も、「オーバーテイクする気はなかったが、36号車がはみ出したので」と会見でコメント。
 テレビ中継でもスロー映像が何度も出ていたため、ペナルティを疑う声が出たが、掲示モニターにすぐに問題なしの通知を出し、トップ争いを阻害することはなかった。