首位争いを繰り広げたZENT CERUMO RC Fとau TOM'S RC F 2016年のスーパーGT第6戦インターナショナル鈴鹿1000kmの決勝レースは、中盤から続いたレクサスRC F同士のバトルを制し、立川祐路/石浦宏明組のZENT CERUMO RC Fが今季初優勝を飾った。
セーフティカー導入でギャップを詰めたau TOM’S RC Fが4回目のピットストップでZENT RC Fを逆転。ここから2台による僅差の首位争いが展開されていった。
au RC Fのニック・キャシディがリードを広げようとするも、直後に雨が降り出し始める。レース序盤に降った雨はパラついた程度だったが、今回は横殴りの強い雨。これにより特に西コースはハーフウエットに近い路面コンディションとなってしまう。これにはキャシディもペースダウンを余儀なくされ、ZENT RC Fの立川が背後に接近する。
そんななか、スプーンカーブでKEIHIN NSX CONCEPT-GTの小暮卓史がスピンして、マシンが出口のグラベル上でストップしてしまう。この影響でスプーンひとつ目からイエローフラッグが振られていたが、この区間で立川がキャシディをオーバーテイクしてトップに浮上した。
黄旗区間での追い越しが疑われ審議対象となったが、結果はセーフとの裁定。ペナルティなどは下されず、バトル続行となる。
一度は交わされたキャシディも負けじと食らいついていき、131周目のシケインで逆転に成功するが、その翌周、ふたたび立川が仕掛けてトップを奪い返す。レース終盤にぼっ発したRC F同士の激しいトップ争いに詰めかけたファンも釘付けになっていた。
緊迫したトップ争いが続くなか、いよいよ最後のピットストップへ。まずは142周を終えたところでZENT RC Fが入り、立川から石浦宏明にドライバー交替。追いかけるau RC Fも翌143周終わりでピットに入るが、今回は逆転は叶わずZENT RC Fが先行。それでもアンカーを務める伊藤大輔もバックマーカーを巧みに使い、逃げる石浦に詰め寄っていく。
一方、後方では4番手争いが白熱。序盤から順調に周回を重ねてきたWAKO’S 4CR RC Fに100kgのウエイトハンデを積むMOTUL AUTECH GT-Rが接近。クラスで1番重いハンデにもかかわらずアンカーの松田次生はアグレッシブな走りをみせ、WAKO’S RC Fの大嶋和也を追いかける。
トップ2台の争いは順位が変わらないまま残り5周へ。このままZENT RC Fが逃げ切るかと思われたが、最後の最後にふたたび強い雨が降り出して、スリックタイヤでの走行が難しい状況となる。
それでも石浦はミスのない走りを披露して、ファイナルラップに突入する。au RC Fの伊藤との差も4秒あったため、大丈夫かと思われたが、最後のシケインでまさかのコースオフ。しかしスピンは免れ、コーナーをショートカットする形でコースへ戻ると、順位を奪われることなく、そのままトップチェッカー。待望の今季初優勝を手にして、GT-Rの連勝を止めてみせた。
2位は11番グリッドから追い上げたau RC Fが獲得。最後までZENT RC Fを追ったが、わずか1.2秒届かず。鈴鹿1000kmの3連覇はならなかった。
3位にはS Road CRAFTSPORTS GT-Rが入った。今回、急きょ参戦することになった高星明誠の活躍もあり、今季2度目の表彰台を獲得した。暫定表彰式には怪我で今大会を欠場した千代勝正も登場し、高星、千代、本山哲の3人で喜びを分かち合っていた。
WAKO’S RC FとMOTUL GT-Rの4番手争いは、残り5周となったシケインで、松田が大嶋のインに飛び込んで、オーバーテイク。その後、一気に差をつけて逃げ切るかと思われたが、最終ラップの西ストレートで突如スローダウン。マシンをコース脇に寄せてしまい、チェッカーを受けることができなかった。最終的にトップから1周遅れの6位完走扱いとなっている。
今年はところどころで速さをみせていたものの、運に恵まれず結果が出ていなかったZENT RC F。チームとしては2014年第4戦SUGO以来の優勝となった。
第1スティントの快進撃に始まり、最後まで大バトルをみせた立川は「正直、こんなに疲れた1000kmは初めて。最初から最後までスプリントで大変でしたが、頑張った甲斐がありました」と満面の笑み。
最後のステアリングを託された石浦も「(最後の雨には)目を疑いました。まさかあんなに降ってくるとは思いませんでした。立川さんの気迫の走りで僕もスイッチ入れてもらえたし、最後まで頑張ることができました」と勝利を喜んでいた。