僕は白猫の八太郎と住んでいる。ペットと一緒に暮らす者にとって、夏場は何かと気を揉む季節だ。動物たちは気温と湿度で人間以上に弱ることもあるし、犬の散歩も日中ではアスファルトで足が焼けてしまうから涼しい時間帯を選ばなくてはならない。
あたえる水も、この高温ではすぐにぬるくなってしまう。家を空ける間、ペットの体調が気がかりになって仕事も用事も手につかない飼い主、きっと大勢いることだろう。そんな心配性な飼い主たちにとって救世主のようなグッズが海外からやってきた。(文:松本ミゾレ)
素焼き部分が水分を吸収。製法は企業秘密!
8月19日放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で、こんなグッズが紹介された。水の冷たさを数時間保つ、セラミック製ペット用の水飲みボウルである。
フィンランドの雑貨メーカー、マギッソがリリースしたこのアイテム、使い方は非常にシンプルだ。まずこのボウルを、冷水に1分ほど浸す。するとボウルの表面に無数に開いた穴が即座に水分を吸収し、気化させる。ボウルは全体がしっかりと冷え、これが日差しを浴びてもしばらくキープされるというのだ。
実際に番組では、普通のボウルとこちらのボウルそれぞれに水道水を入れて、日差しの当たる場所で1時間放置している。その結果、前者は水道水がお湯のように熱くなっていたが、後者はまだ冷たいままであった。
表面には素焼きのようなコーティングがなされ、この素焼き部分が一般的なものに比べて水分を2~3割増しで吸収し、冷却効果を高めるという。その製法については企業秘密だ。マギッソのユハーニ・ソーレンCEO曰く、仕事で家を留守にしがちな飼い主の悩みを解決したいという思いがあったという。
特に犬を屋外で飼っている家庭にとっては、水がぬるくなったせいで犬が弱る問題に悩まされてきたことだろう。ペットはかけがえのない家族。こういう問題を解決するグッズがフィンランドから持ち込まれたのは嬉しい限りだ。
菌の繁殖を防ぐ餌用のボウルも
マギッソは、同じ原理を利用した餌用のボウルも販売している。餌を冷たく保つことで雑菌の繁殖を防ぐもので、ウェットフードの食べ残しから来る菌の繁殖が気になる飼い主には心強い味方になるはずだ。
「これらの商品で初めてペット市場に参入し、世界で数十万個の販売を目指す」と語るユハーニCEO。飼い主心理をうまく突く着眼点の商品には、きっと需要はあるはずだ。
なお日本では、10月中旬より販売がスタート。アマゾンでは予約販売も始まっている。普通のペット用ボウルと比べれば高いが、日本の夏場は暑さが尋常ではない。ペットに快適さを提供するためでは、安いものではないだろうか。ペットと暮らす消費者の一人としては、正直これは欲しい。
犬や猫によってはボウルで水を飲むのが苦手な子もいるので、できれば今後ボウルタイプだけでなく、同じ仕組みの給水器なんかもリリースしてもらえると嬉しい。マギッソのようにペットグッズへの新規参入を志すメーカーが、独自の視点でユニークな商品を展開してくれるのは非常に心強い。
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