スーパーGT第6戦鈴鹿の予選後、鈴鹿1000km恒例の前夜祭が開催され、『トヨタGT伝統の系譜』と題されたデモランイベントが開催された。
毎年鈴鹿1000kmの予選後に開催されている前夜祭は、ファンにとってはたまらないイベントが用意されている。今年は『トヨタGT伝統の系譜』と題され、今回鈴鹿で17年規定のレクサスLC500が公開されたことにあわせ、それに至る歴史的マシンを紹介。2002年のJGTCチャンピオンを獲得したエッソウルトラフロースープラ、そして1992年のル・マン24時間で関谷正徳が乗り込み2位表彰台を獲得したトヨタTS010のデモランが行われることになっていた。
また、それに先立ちグッドスマイル 初音ミク AMGの谷口信輝、片山右京監督、ARTA BMW M6 GT3の高木真一、鈴木亜久里監督によるトークショーが行われ、鈴鹿1000kmの見どころやスーパーGTの魅力について熱く語られた。
その4人のトークショーに続いて登場したのは、エッソウルトラフロースープラをドライブするLEXUS TEAM LeMans WAKO'Sの脇阪寿一監督、そして右京監督だ。今回寿一監督は02年にタイトルを獲得した思い出のマシンを、そして右京監督はひさびさにTS010をドライブすることになったのだ。
ふたりは走行に先立ち、TS010から続くトヨタのスポーツカーレースへの挑戦とその困難、さらに現代のGT500マシンの凄まじさ、さらに金曜日に行われたリハーサルの際、寿一監督がTS010をドライブし、3.5リッター自然吸気V10エンジンから来る振動により「思わずずっと乗っていたくなってしまう」という魔法のような感覚を味わったことなど、ファンにはたまらない秘話を披露してくれた。
トークショーの後は待望のデモラン。ブルーとホワイトの2台のマシンは、TRDのスタッフの手により火が入れられ、スープラの低い咆哮とTS010の甲高いV10サウンドが鈴鹿のスタンドに響き渡った。しかし、いざデモランがスタートしようかというとき、なんとTS010が失火してしまう。
TS010は右京監督を乗せたまま、下り坂の鈴鹿のメインストレートを使って押しがけが試みられるが、ピットロード出口付近まで行っても残念ながらエンジンはかからず。20年以上前のレーシングカーを走らせる難しさが出てしまった。
そこで、寿一監督駆るエッソウルトラフロースープラのみのデモランとなったが、いざスタートしようとするも、スープラもガクンと失速してしまう。まさか2台とも……!? と一瞬どよめきが起きたが、これは寿一監督のさすがの演出。無事リスタートすると、本番では無かったスープラのナイトランが実現。スタンドは大きな拍手に包まれた。
最後は寿一監督から、「鈴鹿1000kmの表彰台に立ったドライバーたちにぜひ大きな声援を送って欲しい」とメッセージが。前夜祭は決勝に向けて大きな盛り上がりをみせて幕を閉じた。