杉田かおる、杉本彩、国生さゆり――。同じ時代に生まれ、共に芸能界を生き抜いてきた戦友でもあるアラフィフ女優の3人が語り合った8月21日の「ボクらの時代」(フジテレビ系)。話題は仕事、恋愛、家族など多岐にわたったが、トークの締めくくりは、それぞれが語る「親への想い」だった。(文:みゆくらけん)
「働かない母」を憎んだ時期もあった杉田
2013年に再婚した杉田は、いま夫と自分の母親と湘南で暮らしている。肺の病気を患う母親を看病しながら、農業に精を出す毎日を送っているという。これまでの人生を振り返り母親について、子役時代からのマネジメントなど自分を育ててくれた「恩」があるとしながらも、働かない母親に苛立つ日々があったと告白した。
「小さい時から『働かされていた』という気があるから、母に対して憎んだ時期もあったり。もう本当に母は、ずっとパチンコしかしていない人だったから」
母に対する感謝と憎しみ。2つの間で揺れていた杉田だったが、今年の春にやっと気持ちの整理が付いたのだという。仕事も農業も、これまでがむしゃらに頑張ってきた理由――。それがすべて「母親」につながっていたのだと気づいたからだ。
「『私ってなんでこんな頑張っているんだろう』って分からなかったんだけど、お母さんを長生きさせるため。今82歳なんだけど。穏やかにいい人生だったと思ってもらうために私は頑張っていたと結論づいたら、なんかすごい幸せになっちゃって」
すっかりアクが抜けた、穏やかな顔つきでそう語る杉田。自分で作る有機野菜で健康的な食事を作り、母親に食べてもらう。そんな「尽くす幸せ」に生きがいを感じるという。懸命な看病の成果か、倒れた当初、余命半年といわれた母親は、それから3年以上の月日が経ったいまも、娘夫婦と幸せな日々を送っている。
国生は母と「ちょっとまだ甘えてる」関係
杉田の話を聞いた国生は「いい人になったねぇー」としみじみ。自身の親に対する気持ちは「未だに親がいなくなるってことが想像できない」とし、「老いてできないことが増えるとイライラする。ちょっとまだ甘えてるんだと思う」と分析した。
アラフィフになっても親に「甘えている」といえる国生には、歪みがない。なぜなら成熟こそしていないものの、親と子の関係において「子が親に甘える」というのは、互いの目線(立場)が変わらない「真っ当な」「幸せな」状態だといえるからだ。
対して、母親との確執を抱え、2010年頃から絶縁状態にある杉本の場合は、それとは異なる。婦人公論2013年4月10日号別冊で、
「親孝行はやり尽くしたから、絶縁状態のままで母が死んでも後悔しない」
と語り、それから3年後。現在の心境にも変化はない。杉本の場合は「親孝行や自分ができることは全部やり尽くした」という強い想いがあり、「絶縁」という選択に後悔はないようだ。
「何が何でも親子だからって、必ず一緒にいなきゃいけないってなっちゃうと、すごく辛いよね。離れた方がいい場合もある」
杉本は「遠くで幸せになっていてくれたらいい」
離れることで心のバランスが取れ、それぞれがより快適に生きられるならその方が良い。杉田や国生のように、親の老いと向き合うことはできなくても「絶縁」は逃げているのではなく、仕方なしの苦肉の策なのだ。
最後に、愛情がなくなったのではないと強調するかのように、杉本はこう付け加えた。
「遠くで幸せになっていてくれたらいいなって。それを祈るしかない。祈るばかり」
杉田、国生、杉本、同じ時代を駆け抜けるアラフィフ女優は、それぞれ三者三様の価値観を持って、親と向き合っていた。(文:みゆくらけん)
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