ベルギーGP金曜チーム代表会見は、前列の左右にクレア・ウイリアムズとモニシャ・カルテンボーンと女性ふたりが並ぶ珍しい光景となりました。エンジニアやメカニックも含めて女性の進出が目覚ましい昨今のF1を、あらためて印象づける場面だったと言えるでしょう。
とはいうものの、チーム代表者クラスが集う会見だけに質疑は一筋縄ではいきません。誰も本音は語りたがらないからです。
ホンダのアップデートが、どのくらいラップタイム向上に貢献しているのかと聞かれたマクラーレンのエリック・ブーリエは「もちろん数字は把握しているけど、教えないよ!」とニンマリ。スパ・フランコルシャンに帯同しているマクラーレン・レーシング次期CEOのヨースト・カピートについては「就任はもうすぐ、時間の問題だよ。ただし今週はオブザーバーとしてだから、チームウェアは着ていない」と微妙にボカした答え。実際には9月1日付けで就任すると決まっているのですが……。
ウイリアムズのクレア・ウイリアムズは、パット・シモンズが「トップドライバーと契約する用意がある」と語ったという報道について聞かれて「それは1月に彼が発したコメントで、別のドライバーについてのものです。現在のふたりの働きには満足しています」と聞かれることを想定した上で、しっかりと準備をした万全の回答。「では来季のドライバー発表はいつ?」と聞かれると「今年の終わりまでに!」と冗談めかして、はぐらかします。
ルノーのフレデリック・バスールも、ドライバー発表時期については「クレアと似ていて、今年の終わりまでに」と笑顔。「2~3週間以内か、2~3カ月以内には決定を下すよ」と言いますが、それではまったく答えになっていません……。現在のエースであるケビン・マグヌッセンを残留させるのかどうか、彼がリーダーシップを発揮できるかどうかにかかっているのでしょうか?
「過去の成功を見れば、セバスチャン・ベッテルとレッドブル、ミハエル・シューマッハーとフェラーリなど、ドライバーが中心となりチームを構築していった例が多い。我々も、これからの6~7年はそのようにしなければならない」
そう言いながらも「チーム組織も強化しなければならないし、ドライバーだけの問題ではない」とも。やはり最後に残るのはノラリクラリといった印象です。
会見が終わると、後列に座っていたブーリエとバスールだけが残ってヒソヒソ話。スタッフが「そろそろ退場を……」と促しても、まだ話し合っていました。GP2など手広く手がける名門レースチームのDAMSとART出身の両者だけに意気投合する部分もあるのでしょうが、ブーリエは新CEOがやってきて将来が危ぶまれているだけに、先々に向けた就職活動だったりして……?
もちろん、聞いたって本当のところは教えてくれないんでしょうけどね!