ニコ・ロズベルグが、F1に導入される予定の頭部保護システム「ハロ」の実装テストを、ベルギーGPのフリー走行1回目で行った。ロズベルグはハロを装着した状態でベストタイムを叩き出し、「まったく邪魔にならない」と感想を述べている。
ハロを装着したマシンで、インストレーション以上の走行をしたドライバーは、ロズベルグが初めてとなる。金曜の午前中に2周に渡ってスパ・フランコルシャンを走行し、セッションの基準タイムをマークした。
「試すことができて良かったし、ドライビング中は少しも邪魔にならなかったから、うまく作ってくれたんだね。(ハロは)安全性を大きく向上させるものだ。当然ながらマシンを格好良く見せるようなものではなく、外見があまり良くないことは承知している。けれども安全性は大きく向上するので、良いものだと思う」
ロズベルグは、むしろ構造的にはドライバーの頭部にもっと近づけても良いと言う。
「頭上にくる部分は、気にもならない。もっと位置を下げても良いくらいだ」
スパではロズベルグ以外にも、レッドブルのダニエル・リカルド、フォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグ、トロロッソではカルロス・サインツJr.の3人が、インストレーション走行でハロを使用。視認性テストの実行にあたり、各チームはハロの型を独自に制作している。これらのプロトタイプは、実際に導入されるものと同レベルの強度には達していない。
サインツはロズベルグの意見に同意しており、悪い影響は何もなかったと話す。
「最も心配していたのは視界だったが、その部分では何の問題もない。オー・ルージュでも、こんなふうに(首を伸ばして)どこにコーナーがあるのかを確認する必要もなかった。ガレージを出た直後は、目の前に遮るものがあって気になったけれど、1周を走り終えるころには気にならなくなったよ。(ハロの)向こう側を見ることに目が慣れる。そのために、目はふたつあるんだ!」
ただし、乗り降りに関する部分では課題が残ると感じている。
「最大の懸念と改善の余地があるのは、現状ではマシンに乗り降りするのが、かなり難しいということだ。僕はハロは命を守るものだと思っているから賛成だし、支持している。でも改善できるところがあれば、言わなければならない。いまのままでは(ドライバーの)救出は簡単ではない」
一方、ヒュルケンベルグはハロが発表された当初から、懐疑的な意見を表明してきたドライバーのひとりだ。実際に使用したあとでも、含みのある発言をしている。
「違和感があった。あの場所に何かがあることで、限界では走れなくなる。初めての経験だよ。視界としては、それほど悪くない。でも僕はインストレーション走行をしただけだからね」