トップへ

さくら学院、初舞台『秋桜学園合唱部』ゲネプロレポート グループテーマ活かした個性溢れる内容に

2016年08月27日 15:01  リアルサウンド

リアルサウンド

神崎葵(倉島颯良)、百合沢七海(黒澤美澪奈)

 さくら学院が、8月24日から9月4日の間、赤坂RED/THEATERにて舞台『秋桜学園合唱部』を上演している。本記事では、初日公演日の日中に行われた公開ゲネプロの模様をレポートする。


(関連:℃-ute×DLH×武藤彩未×さくら学院の“対バン”に見る、アイドルカルチャーの可能性と醍醐味


 さくら学院は2010年の結成以来、本格的な演劇に挑戦するのは今回が初となる。“成長期限定ユニット”を謳い、中等部8名、小等部4名の計12名で活動は中学3年生まで。メンバーを「生徒」、ファンを「父兄」と呼び、そのグループ名の通りほかグループにはない徹底した“学校生活”をテーマにしている。


 今回の舞台『秋桜学園合唱部』は、その学校生活のテーマを存分に活かした、さくら学院らしさ溢れる内容となっていた。同公演で12人は架空の学校「私立秋桜学園」の生徒を演じる。メインキャストとなるのは、倉島颯良、黒澤美澪奈の中等部三年の2人。黒澤演じる百合沢七海が、「コスモス」の愛称で知られる、小中一貫の全寮制お嬢様学校「私立秋桜学園」に編入してくるところから舞台はスタートする。学園は、生徒達から“青鬼”と恐れられる生徒会長、倉島演じる神崎葵が、軍隊のような学園生活を統率。七海は、持ち前の明るさと行動力で学園の生徒たちを徐々に変化させていく。そんな中、学園が廃校になることを聞いた七海が廃校を防ぐため、生徒達と共に合唱部を発足し、コンクールでの優勝を目標に、ストーリーが展開していくといった内容だ。


 倉島は凛としたお嬢様キャラ、黒澤は天真爛漫の元気キャラ、と対照的な役回りであるが、物語が進むにつれ、2人の関係性に徐々に変化が訪れる。それと同時に2人の佇まいや顔つきもまるで別人のように様変わりしていく光景は舞台の大きな見どころだろう。さらに、物語は12人の個性豊かな生徒たちにより進んでいく。長瀬陽菜を演じる山出愛子は、葵に関する重要な位置の役であり、本城花蓮を演じる吉田爽葉香は特技であるピアノを実際に弾く場面も見受けられた。舞台内では、さくら学院の楽曲の歌唱シーンも多くあり、流れるような進行は、脚本・演出を手がける亀田真二郎氏(東京パチプロデュース)の腕が光る部分でもある。生徒たちのマイクレスでの合唱の美声もここでは特筆しておきたい。また、舞台にはさくら学院2013年度卒業生の堀内まり菜と佐藤日向も日替わりで登場する。ゲネプロでは佐藤が、物語において大切な役割である櫻井明日香役を好演していた。


 ゲネプロ終わりのカーテンコールでは、黒澤が「私達もずっと前から稽古をしてきて、こうして無事に初日を迎えることができて本当に嬉しく思っています」とコメント。山出は、「私たち、さくら学院は初めて舞台をやらせていただいて、初めてのことだらけでいろんなことを学んだり、失敗して、やっと初日を迎えることができます。千秋楽まで無事に終わって、お客さんに感動をお届けできたらいいなと思います」と述べた。さらに、卒業生の佐藤は「お芝居することはこの12人初めてだったので、舞台が千秋楽を迎えるまでにまた一つになってさくら学院が更に前に進んだらいいなって桜井先輩は思います!」と役になりきり後輩にエールを送った。最後に、吉田は「今日はゲネプロなんですけど、本番でピアノを成功させてお客さんにいい舞台を観せることができたらいいなと思っています」と意気込みを語った。


 本公演は、11日間13公演に渡り上演される。これから生徒たちがアクターとしてどのような新たな一面を垣間見せるのだろうか。そして、さくら学院は、単独公演の中でも寸劇を行うのが特徴の一つでもある。11月12日、13日に千葉・舞浜アンフィシアターにて開催する単独公演『さくら学院祭☆2016』で本舞台の経験がどのように活かされるのかも注視したい。


(渡辺彰浩)