新オーナーを迎えて財政危機を脱したザウバーが、ベルギーGPに新しい空力パッケージを投入した。現在、確認できるだけでもショートノーズ、フロントウイング、フロア、ブレーキダクトと多岐にわたる大がかりなアップデートである。
このタイミングでの投入となったのは夏休み明けということもあるが、むしろハンガリーGP直前に、ロングボウ・ファイナンスがザウバーの株式を購入したためチームに多額の資金が入ったことが大きく影響している。
その証拠に、今回持ち込まれたリヤウイングはハンガリーGPのフリー走行で試されていたもので、開発自体は夏休み前から行われていた。本来であれば、オーストリアGPに投入する予定だったという。しかし資金の目処が立たずオーストリアでの投入は見送られ、ロングボウ・ファイナンスにチームの所有権が移ってから、ベルギーGPでの投入が決定した模様だ。
今回のアップデートで注目されるのは、ノーズの形状を変更(上写真:赤色の矢印)しただけでなく、フロントウイングを吊り下げるステーのデザインも変えて(上写真:黄色の矢印)、後方へ向かう風の流れを一新していることだ。
フロントウイングも、これまでとは完全に異なっている。アッパーフラップは2枚仕様から3枚仕様に(上写真:赤色の矢印)、メインフラップの切り込みも大きくなり(上写真:黄色の矢印)、事実上6枚フラップとなっている。さらにカスケードウイングの内側に立てられていたバーティカルフィンが姿を消して、小型のウイングレットが装着されている(上写真:水色の矢印)。フロントのダウンフォースは大きく向上しているものと考えられる。
ただしケメル・ストレートがあるスパ・フランコルシャンにおいて、レースではダウンフォースを削った仕様のほうが戦闘力が高い。今回ザウバーが持ち込んだ新仕様が必ずしも有利に働くとは限らないため、フェリペ・ナッセも「僕らが求めているエリアでダウンフォースが改善されているかどうかを確認することが今回の重要な目的」と語っている。
ザウバーの新空力パッケージの出来を評価するには、ラップタイムそのものよりも、コーナーが多いセクター2でのパフォーマンスがポイントとなるだろう。