ジェンソン・バトンは、ホンダ製パワーユニットのアップグレードによる性能向上が誰の目にも明らかになるのは、来月のシンガポールGPからになるだろうと予想している。ICE(内燃エンジン)とターボ/コンプレッサーのアップグレードにより、パッケージとして改善されるのは間違いないとしても、次の2レースが開催されるスパとモンツァのコース特性を考えると、マクラーレンの相対的なポジションが上がるとは考えにくいからだ。
バトンとチームメイトのフェルナンド・アロンソは、いずれも金曜日にスパで始まるベルギーGPのフリープラクティスで、アップグレードされたパワーユニットを使用する。
「これは小さいながらも歓迎すべき進歩だ」と、バトンはアップグレードについて述べた。
「正直なところ、これでグリッド上の位置が上がるとは思わない。ただ、それはこのスパでのレースが、僕らにとっては厳しいものになりそうだからだ。おそらく順位はホッケンハイムのときと変わらないだろう。それでも前向きではあるけどね。そして、モンツァでも状況は同じようなものだと思う」
「だが、シンガポールのようなサーキットへ行けば、ここ(スパ)とは違って、僕らにとってネガティブな要素は少なくなる」
このところホンダが示してきた進歩は、F1復帰初年度の厳しい経験から教訓を得たことによる成果だと、バトンは考えている。
「今年は大きな改善が見られた。それも昨年の経験からいろいろと学んだからだ。彼らの仕事の進め方は、本当に徹底したものだった。ずっと全開で、ノンストップだったんだ。2週間は夏休みを取らなければならないと説明しても、彼らには何のことだかさっぱり理解できなかったようだ。なにしろ、それまでずっと週7日、1日24時間体制で働いてきたからね」
「昨年、僕らはチームとしていくつもの失敗をしたし、メカニカルトラブルもたくさんあった。そして、彼らはそうしたトラブルや失敗の経験から、どうすれば正しくやれるかを急速に学んでいった。今年大きな改善が見られた理由はそこにある」
「もっとパワーがほしいと誰もが思っている。トップレベルのチームと比べると、僕らはいくつかの領域で劣っていて、もちろんパワーもそのひとつだが、問題はそれだけではない」
「僕らは着実に進歩しつつあるし、レースのたびに何かが良くなっているのはうれしいものだ。今回も小さなステップではあるけど、とにかく前へ進んでいることには満足している。これからもこうした進歩を続けていく必要がある」