ドイツの大手自動車技術サプライヤーであるZFが、ベンチュリとパートナーシップ契約を結んでフォーミュラE選手権に参入。両者は独自の車体開発が解禁となる2018/19シーズン(シーズン5)に向けて、パワートレインの開発に向け協業することを発表した。
今回の提携の一環として、ZFはすでに来季シーズン3(2016/17)から現行シャシーとなるベンチュリVM200-FE-02用にZFが所持するブランドであるSACHS(ザックス)のダンパーを供給する。
現規定下では、FEのマニュファクチャラーチームはパワートレインの独自開発が認められているが、フォーミュラのパッケージングに搭載される電気モーター、ギヤボックス、インバーターを備えるパワートレインの一部として、リヤサスペンションに関しても設計開発も許されている。
ZFは2017/18(シーズン4)のパワートレイン開発を助けるのと並行して、その翌年に「フルパッケージ」となり、乗り換えなしのシングルカー運用に切り替わる2018/19用のマシン開発も担当。この開発体制が、パワートレインの最適化に役立つはずだと考えている。
ベンチュリの最高技術責任者(CTO)であるフランク・バルデは、サスペンション供給でも即座に影響が出るだろうと述べつつも、ファースト・プライオリティは完全に新しい、将来のパワートレイン開発であると説明する。
「本当に素晴らしい体制でシーズン3をスタートすることができた。そしてこれは、始まったばかりの長期的プログラムだ」
「我々はダンパーから協業体制を開始するが、それはSACHSが最高品質の製品であるということを知っているからだ。と同時に、ダンパー以外の部分にノータッチである……という意味ではないことも言っておこう」
「我々は、マシンのあらゆる分野でパフォーマンスが改善でき、高めることが可能だと思える、ZFの持つすべての技術を利用している」
「私たちの主な焦点は(マシン全域が完全自由設計となる)シーズン5だ。彼らはすでに我々を支援してくれているし、シーズン4に向けては完全に新設計のパワートレインを搭載する必要も出てくるだろう」
「ZFの持つエレクトロニクスと機械工学の技術に、ベンチュリの専門知識をプラスすれば、1台のマシンでフルレングスのレースを戦うという難しい挑戦に立ち向かうための素晴らしいチームが構築できるだろう」
ZFは現在でも世界で数多くのモータースポーツカテゴリーにパートナーシップ契約を結んでおり、トヨタのLMP1プログラムや、ドゥカティのMotoGPプロジェクト、そしてドイツツーリングカー選手権(DTM)や日本のスーパーGTともアライアンスを結んでいる。