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9時間耐久、SGTドライバーも参戦。後半戦初戦となるスーパー耐久第4戦富士は激戦必至

2016年08月26日 19:31  AUTOSPORT web

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今年は9時間耐久レースで行われるスーパー耐久シリーズ第4戦富士スピードウェイ
富士スピードウェイが舞台のスーパー耐久シリーズ第4戦「SUPER TEC」は、9月3~4日に9時間レースとして開催される。一昨年は7時間、昨年は8時間だったことから、「1年ごと1時間ずつ増やしていって、15年後には24時間レースになっているんじゃないか」という噂もある。いずれにせよシリーズ最長のレースであり、近年では未知の領域に突入することによって、これまでのレース以上に過酷になるのは必至だ。

■早くもチャンピオン獲得の可能性が
 今年のスーパー耐久シリーズは、全6戦で争われる。次戦の富士で早くもチャンピオン決定の可能性が出てきたクラスがある。それがST-3クラスだ。

 開幕から土つかずの快進撃が続く、38号車MUTA Racing TWS IS350の堀田誠/阪口良平組が今回も勝った上で、ランキング2位の15号車岡部自動車DIXCELチームテツヤZ34の長島正明/田中徹/田中哲也/山崎学組が4位以下、そしてランキング3位の62号車DENSO Le Beausset RC350の嵯峨宏紀/中山雄一/山下健太/平木湧也組が3位以下であれば、ラスト2戦を待たずしてクラスチャンピオン決定となる。

 38号車堀田組は今回Cドライバーに、スーパーフォーミュラで初優勝を飾ったばかりの関口雄飛を加えて、まさに勝つ気満々。少なくとも守りのレースとすることはないだろう。あとはライバルの順位次第ということになるが、15号車長島組、62号車嵯峨組ともに前回の鈴鹿で表彰台に上がれていないのが気になるところ。前戦の鈴鹿から2カ月ほどのインターバルがあっただけに、形勢に変化もありそうだ。

 このST-3クラスにはもうひとつ話題があり、加納政樹/本山哲/安田裕信組がフェアレディZでスポット参戦する。しかも、35号車SKT team motoyamaはテクノファーストのメンテナンスで、実績豊富な車両。スポット参戦だけにプレッシャーなく挑んでくる本山たちを、脅威に感じているチームは少なくない。ちなみに本山がスーパー耐久に出るのは、2007年の十勝24時間以来となる。

 ST-1クラスにもチャンピオン獲得の可能性があり、777号車D’station Porsche 991の星野敏/荒聖治/星野辰也/リー・ジョンウ組が勝ち、51号車DIAMANGO BMW Z4の細川慎弥/石原将光/池田大祐/余郷敦組がリタイアすると決定する。

■後半戦から巻き返しを狙うチームも
 その他のクラスには、大きな差が開いていないため、シーズン後半戦のスタートとなる富士戦からタイトル争いは最終戦まで盛り上がりそうだ。

 まずはST-Xクラス。このクラスをリードするのは、開幕から2戦連続で優勝を飾っている24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの内田優大/藤井誠暢/平峰一貴組。そして、その連勝を第3戦で止めた、3号車ENDLESS ADVAN GT-RのYUKE TANIGUCHI/峰尾恭輔/元嶋佑弥が、11ポイント差で続いている。今年はGT-Rが強く、開幕戦では表彰台を独占し、いまだに優勝を逃していない。

 そんな状況において、前回の鈴鹿で2位に入った、89号車HubAuto Ferrari 488GT3のモーリス・チェン/吉本大樹/坂本祐也/吉田広樹組は、今回も台風の目になりそうだ。同様に、マクラーレン650Sを走らせる、22号車Clearwater Racing by Mooncraft Carsのモック・ウェン-サン/加藤寛規/濱口弘/リチャード・ウィー組も気になる存在だ。この2台はコーナリングマシンとして知られ、特にマクラーレン650Sは日本のレース的には未知なる存在でもあるだけに、本領発揮が期待される。

 ST-2クラスは4連覇を狙う、59号車DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤学/後藤比東至/檜井保孝組が開幕戦を制して、好発進を遂げた。しかし、続く第2戦からはトラブルに見舞われ、表彰台に立つのがやっとという状況に。

 その間に2連勝を果たし、ひたひたと近づいてきたのが、6号車新菱オートDIXCELエボXの冨桝朋広/菊池靖/大橋正澄組だ。通算3勝の6号車冨桝組は、初勝利を挙げたのが2012年の富士で相性も抜群。もちろん3連勝を飾って、ここで一気にランキングのトップに立とうと目論んでいる。59号車大澤組も苦境からの脱出を狙って、全力を尽くしてくるだろう。両チームの差は、わずか2ポイントだ。

 23台での戦いとなるST-4クラスは、開幕2連勝を飾っている、13号車ENDLESS ADVAN 86の村田信博/小河諒/山内英輝/島谷篤史組がトップ。第3戦を制した、86号車TOYOTA Team TOM’S SPIRIT 86の松井孝允/井口卓人/蒲生尚弥/大嶋和也組が、7ポイント差で追いかける展開となっている。

 開幕から2戦は86勢が表彰台を独占、特に今までホンダ車が連勝し続けてきた、開幕戦のもてぎでの勝利は大いに話題となった。第3戦でようやく、95号車SPOONリジカラS2000の松井猛敏/中島保典/柴田優作/黒澤琢弥組が2位に入り、牙城を崩してみせた。

 そのS2000が今回のレースにおいて、最大の鍵を握る。これまで圧倒的なエンジンパフォーマンスに対するハンデとして、ブレーキローター、キャリパーの交換が禁じられてきたが、今回から解禁となるためだ。特に富士のレースは長丁場とあって、我慢のブレーキングを強いられていたが、足かせがなくなった以上、ガンガン踏んでくるのは間違いない。

 ST-5クラスで最も気になる存在は、第3戦で優勝を飾った、17号車DXLアラゴスタNOPROデミオSKY-Dだろう。ディーゼルエンジン搭載車両としてシリーズ初優勝の原動力は、何と言っても絶対的な高燃費。9時間レースではどれだけのマージンを生み出すのだろうか?

 一方、優勝こそ開幕戦のみながら、続く2戦をしっかり2位でゴールし、ランキングのトップをキープしているのは、69号車BRP★J’S RACINGホンダカーズ浜松北みきゃんFITの大野尊久/梅本淳一/窪田俊浩組。3連覇に向け、今回は特に確実に高得点を稼ぐ作戦に打って出るはずだ。

 ダークホースは、88号車村上モータースMAZDAロードスターNDの村上博幸/筒井克彦/雨宮恵司/大井正伸組。クラス随一のコーナリングマシンが、セクター2やセクター3でどれほどのスピードを披露するのか注目したい。

■勝負の明暗を分けるピットストップに注目
 なお、今回のレースはピットストップの義務づけが1回増えて5回に変更された。ただ、この回数で留められるクラスはそうは多くないだろう。ちなみに昨年のST-Xクラスは、ほぼ1時間でピットに戻ってきている。今回の9時間レースでは8回ピットに入ってくることが予想されるが、その度にタイヤを交換するとは限らず、そういった戦略の妙が勝敗にかなり影響を及ぼすだろう。また、セーフティカーラン中のピットストップは、今回に限り禁止とされている。

 シリーズ最長となる9時間にも及ぶ長丁場だけに、どんなことが起こってもおかしくない。それは天候変化も含めて……。スーパー耐久シリーズ後半戦の初戦となるスーパーテック。ドラマチックな見ごたえあるレースとなることを期待しよう。

 スーパー耐久シリーズ第4戦の前売観戦チケットは、2日間通し券が3,500円(税込)と比較的リーズナブル。パドックラウンジパス等の特別チケットも販売される。詳細は富士スピードウェイ公式サイト(http://www.fsw.tv/freepage/1428)まで。