長時間労働などで社員を疲弊させる「ブラック企業」の対極にあるのが、社員の健康に配慮する「ホワイト企業」だ。ホワイト企業といっても何をもって判断すればいいのか難しいが、このたび参考になる目安が生まれそうだ。
経済産業省は22日、社員の健康管理を経営的な視点で考え、健康増進に取り組む企業を認定する制度を新たにスタートすると発表した。その名も「健康経営優良法人(ホワイト500)」。健康経営を実践する企業の拡大がねらいだ。
「定期健診受診率(実質100%)」などを評価
経産省は2014年度から、従業員の健康管理を経営的な視点で考え戦略的に取り組む上場企業を、東京証券取引所と共同で原則1業種1社「健康経営銘柄」として選定している。「健康経営銘柄2016」には伊藤忠商事や大和証券グループ本社、SCSKなど25社が選ばれた。
さらに今年から新たに開始するホワイト500は上場企業に限らず大企業のうち健康経営を実践している企業を選出し、2020年までに500社を目指す。経産省は健康経営の意義について、こう掲げている。
「企業理念に基づき、従業員への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されています」
ホワイト500は「2016年度健康経営度調査」に基づいて認定されるが、その評価基準は具体的にどのようなものなのだろうか。経産省の担当者に話を聞いたところ、以下の項目等が評価の視点になるということだった。
・定期健診受診率(実質100%)
・「ストレスチェック」の実施
・適切な働き方実現に向けた取り組み
・受動喫煙防止対策(禁煙または完全分煙)
・長時間労働者への対応に関する取り組み
ホワイト企業の隠れた「ブラック行為」疑う人も
米国企業では「健康経営に対する投資1ドルに対するリターンが3ドルになる」という調査結果もあるそうだ。当然ながら労働法令の厳格な順守も求められる。ホワイト500に選出される企業は、労働者にとっても「働きやすい職場」の一つの目安になることは間違いないだろう。
ただし2ちゃんねるには、制度について疑問を呈する声もある。法令を順守して従業員の健康に配慮するのは経営者としてあまりにも当然のことであり、ことさらに「ホワイト」と呼んで国がお墨付きを与えるのは異常だというのだ。
「当たり前のことをホワイト扱いとかどんだけ奴隷国家だよw」
「そんなお墨付きとかどうでもいいだろ。法律違反取り締まればいいんだから」
どんな会社にも過重労働に苦しむ人がいそうという疑いからか、「ホワイト企業のブラック行為に関しては国が責任持ってくれるんでしょうね?」という人も。大企業のみが対象になるという点についても「ホワイト企業の代わりに下請けが超絶ブラックを引き受けてるだけ」と冷ややかな声が漏れていた。
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