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VOCALOIDカルチャーの未来はどう広がる? 明日開催の『初音ミクシンフォニー』に寄せる期待

2016年08月25日 18:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『初音ミクシンフォニー』

 クリプトン・フューチャー・メディアが展開するバーチャルシンガー「初音ミク」をフィーチャした、初の単独フルオーケストラコンサート『初音ミクシンフォニー』の開催が8月26日に迫っている。


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 来年で10周年を迎える初音ミクの名曲が豪華アレンジで展開される、VOCALOIDファン必見の公演だ。既に公開されている演奏曲目(セットリスト)を見ると、黎明期の2007年から09年にかけての名曲メドレーあり、ryo(supercell)やDECO*27という“レジェンドボカロP”の最新楽曲あり、新旧ファンが楽しめる内容になっている。


 本公演のオープニングを飾るテーマ曲「未来序曲」を担当するのはMitche M。2011年8月、ニコニコ動画に投稿した「FREELY TOMORROW」がわずか20日間で100万再生を達成し、ミクがまるで人間のように歌う“神調教”の代名詞になったクリエイターだ。


 本公演の公式パンフレットのインタビューで、Mitche Mは「これから先の未来に向けて作った曲なので、今後の初音ミクのさらなる発展を願って、楽しみにして、前向きな気持ちで聴いてもらえたらうれしいです」と語った。「ハジメテノオト」「歌に形はないけれど」「メルト」など、ボカロファンならピンとくる名曲のタイトルが散りばめられた歌詞が公演への期待感を盛り上げる良曲に仕上がっている。


 また本公演のゲストとして、人気ボカロPの40mPが出演することも決定している。自身も「虹色オーケストラ」として、ボカロ曲にオーケストレーションを取り入れたイベントを主催している彼の楽曲からは、「からくりピエロ」「ドレミファロンド」といずれ劣らぬ人気曲が取り上げられており、期待が高まっていた。


 そんな40mPは公式パンフレットで、コラボレーションを重ねてきたイラストレーター/PV制作者のたまと対談。「初音ミクはクリエイターをつなぐハブのような存在」との言葉で、音声合成ソフトという枠を超えて、人をつなぎ、ひとつの文化を創造したミクに敬意を払った。


 同じくゲストに、VOCALOID「鏡音リン/鏡音レン」のキャラクターボイスを担当する人気声優・下田麻美も登場。「炉心融解」や「ロストワンの号哭」などの名曲を“ご本人”がどう聴くのか、こちらもファンにとっては楽しみだ。


 本公演はVOCALOIDという新しいカルチャーと、オーケストラという伝統ある文化の融合であり、また宅録されたボカロ曲を大勢で演奏するという、さまざまな面で振り幅の広い、チャレンジングな企画となっている。空席は残りわずか。東京国際フォーラムに初音ミクの名曲がどのように響くのか、ぜひ足を運んで確かめていただきたい。(文=橋川良寛)