3コーナー手前から2ヘアピン手前の250Rまでの1,070mは路面をすべて剥がして舗装をやり直している。 大分県日田市のオートポリスは、4月に発生した平成28年熊本地震により大きな被害を受け、現在施設を閉鎖しているが、10月1日の営業再開に向け復旧工事が行われており、このほど工事の様子が公開された。
■被災した箇所は順調に工事中
震災により被害を受けたのはパドックビルの壁の亀裂、壁面の崩落、グランドスタンド下の路盤沈下、メインコースセクター2部分の路面およびコースサイド、東西のクリスタルルームなどで、コース監視カメラや排水溝、配管等の損害もあったが、順調に工事は進んでいる。
メインコースはセクター2にあたる3コーナー手前から第2ヘアピン手前の250Rまでの区間1,070mの舗装をすべて剥ぎ、3層構造の最も下の舗装を完了した状態。さらに第1ヘアピン付近ではランオフエリアや縁石や排水溝を含めて工事が進んでおり、9月には滑らかな路面が完成する予定だ。
メインストレートから3コーナーにかけてもコース上にはいくつかの亀裂が生じていたが、こちらには樹脂を流し込んで対処しており、二輪のJSB1000を走らせてみたところ段差などの問題はまったくなかったという。また第2ヘアピンから先のセクター3区間に関してはほとんど地震の被害はなく、ファイナルコーナースタンドも被害はほとんどない状態だ。
パドックビルに関しては、ピットの壁に亀裂が入ったり壁面の一部が崩落していたが、こちらの修復は完了に近い状態。パドックビル裏手のAパドックにも大きな問題はない。レイクサイドコースには一部段差は残るものの、ほぼ現状のままだ。
■10月の営業再開に向け着々。立入禁止エリアも
10月の営業再開時にはメインコースとAパドックおよびパドックビル、そしてレイクサイドコース(ピットガレージをのぞく)を解放。観戦エリアへのアクセスも整備するとしている。さらに今後、クリスタルルーム(西)も順次修復し再び利用できるようにする予定だ。
グランドスタンドはスタンド部分に大きな問題はないものの、裏手が全体的に地盤が沈下しているため、改めて地中の調査が必要とのこと。またクリスタルルーム(東)は当面立ち入り禁止で今後については未定とのことだ。
営業再開後は、まず二輪のスクールが開催され、四輪レース関係では、10月15~16日にゴールドカップ第2戦と第3戦、11月6日には同第4戦、11月19~20日にはスーパー耐久最終戦が行われる予定。スポーツ走行枠は平日も含めスケジュールがホームページに掲載されている。
■アクセスは渋滞も。温泉宿がオススメ
なお、オートポリスへのアクセスは、日田からの国道212号線が26日より片側交互通行となり全面通行止めは解除。由布院方面からのやまなみハイウェイ、熊本方面からのミルクロードは問題ないが、ミルクロードは一部が国道57号線の迂回路となっており通行量が多く時間帯によっては渋滞することもある。
また、菊池方面からの菊池阿蘇スカイラインは当面通行止めのままだ。大津や菊池のホテルは工事関係者の宿泊が多く予約が取りにくい状況だが、オートポリス周辺の日田、阿蘇、小国には温泉宿も多く、こちらの利用をお勧めしたい。
なお、営業再開に合わせ、大分と熊本では復興支援イベントが開催。大分県立美術館では31日まで『Welcome to オートポリス ~スマイルキッズ in OITA~』を開催中。ベネトンF1やGTマシンを展示し、27日には井出有治のトークイベントも開催される。またイオンモール熊本では9月3日に『スマイル・キッズ in 熊本』が行われ、石浦宏明、山本尚貴のトークショーとサイン会が実施され、スーパーフォーミュラマシンも展示される。
再開にあたって高野岳裕オートポリス所長は「地元大分県をはじめたくさんの方々から『心配している』という声を聞いていました。川崎重工からの強いバックアップもあり、営業を再開させていただきます。時間がかかるとは思いますが震災前の状態に戻し、ぜひこちらへ足を運んでいただいてモータースポーツをじかに楽しんでいただきたい。そして地域振興の役に少しでも貢献できれば」と語っていた。