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丸本莉子が高知初ストリートライブで見せた覚悟「現場の雰囲気をみて素の自分を出す」

2016年08月25日 17:21  リアルサウンド

リアルサウンド

丸本莉子

 丸本莉子が8月14日、高知県市内の帯屋町にあるデュークショップ高知店の前でストリートライブを行った。


 同ライブは6月30日新橋駅近くのビジネス街でスタートした、1年をかけて行うストリートライブプロジェクト『丸本莉子ライヴワーク2016~1万人との癒し旅』のひとつ。丸本は2015年に高知県の観光特使に就任しており、その活動の一環として高知県が掲げる『2016奥四万十博』のテーマソングに「がんばる乙女~Happy smile again~」(2016年3月リリースの2ndミニアルバム『フシギな夢の中』収録)が起用され、地元のCMでは多数オンエアされているなど、高知県は丸本にとって繋がりの深い場所だ。


 今回、7月22日に丸本の地元広島の金座街で行ったストリートライブに続き、高知では初となったストリートライブを取材。ライブ後には丸本だけではなく、当日機材が間に合わず急遽PAとしてライブに協力した高知のライブハウス、X_pt.(クロスポイント)代表の西岡隆宏氏、テレビ高知の深夜の音楽番組『ミュージックムーブスリム』を担当する番組ディレクター吉田望氏(株式会社テレビ高知映像)にもインタビューを行った。ストリートでライブを行う際に丸本とスタッフがどんな意識を持っているのか、そして西岡氏、吉田氏から見た丸本莉子の魅力について、興味深い話を聞くことができた。


「ストリートライブはお客さんの入れ替わりが激しい。足を止めてくれた人が少しでも覚えてくれるように、またいつか見たときに思い出してもらえるように『広島県出身のシンガーソングライター丸本莉子です』と、できるだけ名前をMCするようにしています。それは東京でのストリートライブでも同じですね」


 今回のライブでは丸本本人がそう語るように前回の広島でのライブに比べて、自身の名前を伝える場面が多かった。人だかりができている時や観客の流れが多い時、曲間など、タイミングを見定めて挟むMCはインディーズの時から各地でライブを行うことで得た彼女のストリートライブにおける感覚なのだろう。


「ライブハウスやイベントでのライブは時間が限られているけど、ストリートではある程度自分で自由に組み立ててライブをしています。だから普段のライブでは話さないような『暑いですね』ということでもいいから世間話も含めてカッコ付けずに素の自分を出していきたいですね」


 セットリストにおいてもライブの状況を見ながら組み立てていて、この日のライブでは高知に馴染みの深い「がんばる乙女~Happy smile again~」を序盤と最後に披露し、同曲を軸にライブを組み立てていた。


「お客さんが少なかったらカバー曲を挟んだり、現場の雰囲気をみて、オリジナル曲、カバー曲を入れ替えることは多いですね。それから『ガーベラの空』のようなアップテンポな曲でノッてくれている時には次はバラードで緩急をつけてじっくり聴かせるとか、歌っているときに、次の曲を考えながらやっています。今日のセットリストは良い構成でできたと思います」


 その「ガーベラの空」を歌う前には、「初めて作詞家さんの藤林聖子さんと歌詞を一緒に作りました。〈ありったけの夢を かき集め~〉で有名なアニメ『ONE PIECE』の『ウィーアー!』を手がけた方です」と一節歌い観客を乗せ、楽曲に入る流れは絶妙だった。


 また、丸本はMCやセットリストだけではなく、楽曲を披露する際にも細かな意識を持っていることを語ってくれた。


「『やさしいうた』が最近ストリートでは届くなと思っていて。でもこの曲はテンポをもたつかせないように歌う必要があると思っているんです。歌を聴かせるためにテンポを落とすこともあると思うんですけど、『やさしいうた』はテンポを落とすと重くなってしまう。ストリートでは、ファンの方ばかりではないので、曲を聴かせるために言葉だけじゃなくて、テンポも意識しないとだめなんですよね」


 細かなパフォーマンスで、徐々に観客を増やし、大きな拍手で高知での初のストリートライブは包まれた。今回のライブは「70点」と語っていた丸本。「若い人も立ち止まってはくれるけど、すぐに離れてしまう。若い人も聴いてくれるようなカバー曲ももっと取り入れたほうがいいのかな」と次への課題についても話していた。


 また、前述の吉田望ディレクター、X_pt.(クロスポイント)代表の西岡隆宏氏は今回のライブに立ち会い、丸本莉子の魅力についてこのように語った。


「MVは拝見していましたが、実際のライブを見て歌声に引き込まれました。歌声はもちろんですが、丸本さんは壁を感じないというか、人間的にも人を惹きつけるものがあると思います。撮影しながらも歌に癒されました。もっと活躍して全国に届いてほしいです」(吉田望ディレクター)


「丸本さんのライブを見るのは2回目ですが、ステージらしいステージがないとパフォーマンスできないアーティストもいる中、お客さんの顔、様子を見ながら、自分の歌をうまく表現してストリートでも十分アピールできるアーティストだと思います。それと自分の声をよく知ってて、その声で曲を表現するのがうまい。だから歌詞もちゃんと入ってくる。どんなステージに立っても対応できるアーティストですね。全国にファンを広げてください」(西岡隆宏氏)


 着実にファンを増やしながら1万人を歌で繋ぎ、2017年7月1日に行う『ヒーリングサミット2017』に向けて課題を見つけながらひとつひとつトライし、丸本莉子は今後もストリートライブを行っていく。その一日一日を引き続き追いかけていきたい。(取材・文=高木智史)