トロロッソは、1年落ちのフェラーリ製パワーユニットのハンデキャップを克服するため、今後もSTR11シャシーの改良を続けるという。
ドイツGPの予選終了後、カルロス・サインツJr.は2015年型のフェラーリ・エンジンが、彼らにとってハンデキャップになっていることを認めている。もっとも、これは昨年の段階から予想されていたことだった。他の10チームが使用する2016年仕様のユニットがアップデートを受けるたびに、規則により仕様を変更できないトロロッソの2015年型エンジンとの差は、確実に広がっていくからだ。
ホッケンハイムでは特にそれが際立って見え、彼らは2台とも完走したレースでは今季初のノーポイントに終わり、サインツJrが14位、チームメイトのダニール・クビアトが15位だった。
「シーズンが深まるにつれて競争力を失っていくことは、最初から十分に承知していた。他チームのエンジンは、徐々に改善が進んでいくのだから」と、チーム代表のフランツ・トストは述べた。
「私たちとしては、シャシー面の開発で対抗するしかない。それがどこまで有効かは、他チームのパワーユニットがどの程度まで進歩するかによるが、シャシーの改良でギャップを埋めていくことは可能だと思っている」
トロロッソは、ホッケンハイムで新しいエアロパッケージを投入した。夏休み後には、このパッケージのポテンシャルをさらに引き出せると、トストは考えている。
「アップグレードは間違いなく機能した。(ドイツGPでの)成績には満足していないが、あれはアップグレードとは別の要因によるものだった。データでは、あらゆる面で(風洞実験との)高い相関が確認できたし、実際に効果があることも確かめられた。このアップグレードのポテンシャルのうち、まだ引き出されていない部分はシーズン後半戦で発揮されるだろう」
「もちろん、主力は来年のクルマに注がざるをえないが、今年のマシンの小規模な改良は続けていく」
コンストラクターズ選手権において、トロロッソはマクラーレンにわずか3点差まで迫られており、7位転落の危機に直面している。これに関して、サインツJrは「後半戦ではチームのみんながニコニコ顔というわけにはいかないと思う理由はそこにある」と語っている。
「言うまでもなく、今後クルマの大幅な開発は期待できないし、シーズン後半ではドイツGPのようなレースが多くなる可能性が高いからね」
サインツJrによれば、トロロッソが最も希望を持てるのは、シンガポールのようにハイダウンフォースが要求されるコースだという。
「いまや完全にマクラーレンに並ばれている。スパやモンツァのように、ダウンフォースの効率が重要になるサーキットでは、彼らのほうが少しだけ有利だ。けれども、シンガポールのようにダウンフォースの絶対量がものを言うコースでは、僕らのほうが上かもしれない」
トロロッソのシャシーが、グリッド上のベスト3に入ることは間違いなく、それは彼らが再びルノー製パワーユニットを使用する2017年に向けて、良い兆しであるとトストは信じている。また、パワーユニットが同じになることで、レッドブル・テクノロジーズの協力が得られる部分も増えるだろう。
「私は来年のクルマについては楽観的で、今年と同様に高い競争力を持ったものになると考えている。実際、今年のシャシーはとても優れていて、シャシーだけで言えば間違いなくトップ3に入ると思う」
「来季のクルマは、ギヤボックスケースとインターナル、ハイドロリック系、そして規則で許されるその他の部品について、レッドブル・テクノロジーズと密接に協力しながら開発を進めている」