フォーミュラEの公式テストが行なわれているイギリス・ドニントンパークで、FEテスト2日目の終了後に、人工知能(AI)が操る自律走行型レースカー『ロボレース』向けのテスト車両が初めて公の場に姿を現し、テスト走行を行った。
電動パワートレーンとAIを含めた自動運転コンポーネントを組み込んだのは、ジネッタのLMP3マシンであるG57。
本番に向けてすでにデザインが発表されているドイツ人デザイナーのダニエル・サイモンが手がけた近未来的フォルムではなかったものの、『DevBot』と名付けられたこのプロトタイプは、エンジニアを1名搭乗させた状態でアウトラップを走行。そのままフライングラップに突入し、コース全周をレーシングスピードで走り抜けた後、スタート/フィニッシュライン上に停車した。
さらにDevBotはもう1周ずつ、2回のレーシングランを見せたのち、エンジニアをピットストレートで降ろすために停車。公式テストで多くの関係者や観客が見守る中、無事に走行を披露した。
今回のテスト成功で、プログラムがドライバーにとってかわり、ほぼ1周を自律走行できることを示したが「コースの安全手順に従うように」という申立てを受けて、最終コーナー出口で"意図的に停車"するようプログラミングされていたという。
本番のロボレースでは完全にコクピットのないデザインのマシンが用いられる予定だが、現時点では開発チームのメンバーがリアルタイムデータを即座に相互参照する必要がある場合や、人間の経験則をプログラムに反映していく必要があることなどから、この(キャノピーとドライバーズシートのある)LMP3シャシーが使用されている。
DevBotは、この公式テストセッションでのお披露目を前に、すでにシルバーストンでプライベートテストを敢行しており、今回はフォーミュラEのサポートイベントとしてシーズン3(2016/17)から開催を予定する『ロボレース』のアピールという側面もあったとみられる。
ただし、このプロトタイプから最終デザインに移行したマシンがいつ走るのか、そして10月から開幕するFEイベントで本当に併催が実現するのかは、いまだ不透明な部分がありそうだ。