いよいよ、9月4日にツインリンクもてぎで決勝を迎えるWTCC世界ツーリングカー選手権の日本ラウンド。今回の注目は、やはり緊急参戦することになった道上龍の走り。2013年限りで国内トップカテゴリーのシートを後進に譲ったが、国内モータースポーツを牽引してきたその実力を、ホンダ・シビックWTCCでどのように見せるのか。道上への期待を、かつてのチームメイトや後輩、そしてライバルたちに聞いた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
まずは楽しんで、本来の力を出し切ってほしい
「WTCCは特殊なカテゴリーで、大変なレースだと思います。道上さん自身、久々の大舞台のレースだと思いますし、ホンダのワークス、母国開催でホンダのホームコースなど、いろいろなプレッシャーもあるとは思いますが、まずは楽しんで、怪我のないように、道上さん本来の力を出し切ってもらえるようなレースをしてもらえればなと思います」
(山本尚貴:TEAM 無限/RAYBRIG NSX CONCEPT-GT/現役のホンダを代表するエース格ドライバー)
FF使いの道上さんの走りを見るのが楽しみ
「JTCCでアコードに乗っていたFF使いの道上さんなので、昔の走りをみんなが思い出すような瞬間になると思いますし、僕も最近、道上さんの走りを見ていませんので、そういう意味でもすごく楽しみにしています。道上さんも、楽しんでレースをしてきてもらいたいなと思います。自分がWTCCに参戦した時はトラブルさえなければもっと行けたという手応えがありましたが、WTCCの雰囲気自体はピリピリしているというよりは、みんながレースを楽しそうにやっている。レース中にぶつかったりという激しさはありますが、それを楽しんでやっているというのが、レースを見たら分かると思います」
(伊沢拓也:REAL RACING/RAYBRIG NSX CONCEPT-GT/2013年WTCC日本ラウンドにスポット参戦、レース1で12位、レース2はトラブルで22位)
WTCCに参戦するのを聞いて、本当にうれしかった
「道上さんがWTCCに出るというのを聞いた時は、本当にうれしかったです。今はレースでクルマに乗っていないですけど、速さのあるドライバーだと思っていますし、一緒にチームメイトとしてチャンピオンを目指していた仲でもあるので、WTCCでも優勝を目指して、道上さんの速さを発揮してもらいたいなと思います。(小暮選手自身もWTCCに出たいのでは?)興味がまったくないわけじゃないですけど、今はスーパーフォーミュラとスーパーGTでいっぱいいっぱいです(笑)。ですので、今回は道上さんの走りを楽しみにしています。道上さんがJTCCにアコードで出ていたとき、僕は高校生でサーキットでは見れていないのですけど、ホンダの方からDVDを頂いて、1995年から98年くらいまでのレースは見ました。それに一度、動態保存してあるJTCCのアコードに乗れる機会があって、乗せてほしいですと希望したのですが、その機会がなくなってしまって……ですので、JTCCのアコードにまず、乗ってみたいですね。僕はレーシングカーでFFに乗ったことがないので、本当の難しさは僕は分からないですね」
(小暮卓史:DRAGO CORSE/KEIHIN NSX CONCEPT-GT/スーパーGTで2005年から2009年までチームメイト。現在はスーパーフォーミュラで道上監督のチーム、ドラゴ・コルセに所属)
■しのぎを削った、かつてのライバルたちも注目
FFのレーシングカーの難しさはよくわかります
「WTCCのような海外の大きなレースに出るというのはドライバーとして大事だと思いますし、道上さんもホンダのワークス体制で参戦できるというのは、本当に素晴らしいことだと思います。是非、道上さん、ここにあり、というようなところを見せてほしいですね。やっぱり、JTCCで中子(修)さんとアコードに乗っていた時のイメージがすごくありますし、道上さんなら、FFは慣れているんじゃないかなと思います。僕もFFのレーシングカー(ニッサンGT-R LM NISMO)に乗っていましたので、FFの難しさはよくわかります(苦笑)。FFはやっぱり、いかにタックイン(アクセルを戻した時に重心が前に行き、オーバーステアの挙動が出ること)させて向きを変えて、アクセルを早く踏んでいけるかというのが大事になる。下手したらすぐにアンダーが出るので、難しいです」
(松田次生:MOTUL AUTECH GT-R/元ホンダ出身。国内トップドライバーであるとともにF1解説を務めるレースマニア)
JTCCの時も器用で本当に上手なドライバーだった
「道上が久しぶりにレースに出てくれるのは、すごくうれしい。カートの頃からずっと一緒に同世代としてレースをしてきたし、もともと才能のあるドライバーだと思っていた。特にJTCCの時でも道上はすごく器用で速かった。WTCCは過去にも日本人が何人かチャレンジしているけど、いいチーム体制で、上位争いをしてほしいなと思います。FFはやっぱりちょっと癖があって、乗れるドライバー、乗れないドライバーと分かれるなかで、道上は本当に上手なドライバーだった。だから、今回もいい結果を出せる可能性はあると思っています」
(本山 哲:S Road CRAFTSPORTS GT-R/カート、F3、フォーミュラ・ニッポン、スーパーGTとメーカーを違えて道上と国内モータースポーツを牽引)
後輩たちのためにも、じっくり吸収してもらいたい
「がんばれや! そのひと言ですね。リザルトは大切かもしれないけど、リザルトなんか気にしないで、まずはその経験を後輩たちに活かさないといけないから、じっくり自分の中に吸収してもらいたいなと思います。それで成績がよかったり、いけるチャンスがあったら突っ走って行っちゃったらいいんじゃないかと思います。道上さんをモノ差しにして、いろいろ計算させてもらいます(ニヤリ)」
(脇阪寿一:WAKO'S 4CR RC F チーム監督/道上の父のカートショップでカートを始め、道上を追いかけるようにステップアップ。本山/ニッサン、道上/ホンダ、寿一/トヨタで一時代を築いた)
WTCC日本ラウンドの詳細はこちらから