マクラーレン・ホンダのレーシングディレクター、エリック・ブーリエが、チームは無駄や政治的対立を削ぎ落とし、団結した組織に変わったという。ブーリエは2年半の月日を経て、マクラーレンのチーム転換を試み、名門復活をかけ、仕事のやり方をより合理化させたと語る。
ここまでの道のりは決して早いとは言えないが、ブーリエはマクラーレンに正しい業務の慣例を敷いた。たとえ自分自身は"幸せになるわけではない"としても、チームがF1の表彰台へ戻るために、ブーリエはチームに最善のステップを歩ませなければならない。
「勝つためにレースをしているが、我々はまだ勝てるパッケージを持っていない。これは明らかなことだ。そのパッケージを持ち得ない限り、決して満足することはないだろう」とブーリエ。
「とはいえ、大幅な進化を見せているチームには満足している。ピーター・プロドロモウ(チーフエンジニア)からティム・ゴス(テクニカルディレクター)、マット・モリス(エンジニアリング・ディレクター)など技術面でチームを支えるスタッフは本当によくやっている。わかっているとは思うが、我々は平穏を保てている。特に声を荒げることもない。事が上手く進んでいるときは、基本的に問題になるような話はない」
「我々は新しい息吹を投入するために、お互い支え合って、協力し合う仕事の進め方を取り入れている。それでも、マクラーレンに流れるDNAを変えることなしに新しいモデルに生まれ変わることはない。それは私の願いであるとともに、チームにとっても良いことである。やり方には満足をしている」
「我々は過去と比較することで、新しいマクラーレンのあり方を改めている。ベストな状態を保ち、弱点を改善していくことが大事だ。これまでは非常に政治的なモデルをとっていたマクラーレンだが、今は違う。嘘ではない」と話すブーリエ。
ブーリエはフェラーリに起きたスキャンダル(2007年のスパイゲート事件)を引き合いに出し、マクラーレンからその要素を取り除いたという。
■ブーリエが語る2017年への展望
「私の哲学はロータスでエンストンにいた時や、DAMS時代と変わっていない。スタッフに気持ち良く仕事をしてもらいたいので、快適な環境を用意する。素晴らしいものを作り出すには、それなりの代償を払わなければならない」
「しかし、行き交う複雑なバイパスを取り除く必要がある。そういったものをチーム内とどめておくのはリスクがあるし、フェラーリに起こったこと(従業員がテクニカルデータを流出させたスパイゲート事件)がそれを証明している」
「もちろん、時間をかけて築き上げる必要がある。ロス・ブラウンはフェラーリを数年を費やし勝てるチームを作り、その後のメルセデスでも同様の功績を残した。レッドブルにも同じことが言える」
ブーリエは、マクラーレンに来年度からの成功の兆しが見られるという。
「チームは今、まとまっている。それも小さくまとまっているのではなく、無駄を削ぎ落として洗練された状態にある。チームの雰囲気は良く、柔軟でクリエイティブだ。スタッフを信頼しているし、すべてが来季に向けて順調に進んでいる」
「我々が2年間歩んできた道のりは、非常に目まぐるしいものだった。それでも、今は目標に近づいている」