ツインリンクもてぎで行われたスーパーフォーミュラ第4戦もてぎ。VANTELIN TEAM TOM'Sのアンドレ・ロッテラーは2位に入り、待望の今季初表彰台を獲得した。
4番グリッドから抜群のスタートを決め、早々に2番手に浮上。ITOCHU ENEX TEAM IMPULの関口雄飛を追いかけたいところだったが、大半にわたってP.MU/CERUMO·INGINGの石浦宏明との接近戦となり、それでも終始安定した走りでポジションを守った。
「第1スティントの最初は僕の方にアドバンテージがあったし、タイヤ交換前もペースを取り戻すことができた。ただ第2スティントも最初は良かったけどラスト4周になってからは苦しくなったね。全体的に石浦の方がスピードはあったと思うし、最後は直後まで迫られたけどポジションを守ることはできたよ」
今シーズンは開幕前のテストでは速さを見せていたが、開幕戦から状況が一変。2戦連続でQ2に進めず、第3戦富士でも好バトルをみせながら4位フィニッシュ。表彰台には手が届かなかったが、これが今回への弾みとなった。
「ようやく表彰台に来れたね。ヨコハマタイヤになって、シーズン前のテストは良かったんだけど、開幕して温度が上がったらメカニカルグリップが足りなくて苦労してしまった。そこから抜け出すのは簡単ではなかったね。富士で表彰台に近いところまでいけて、トップ3でフィニッシュできる自信がついたよ。ただ、まだまだタイヤについて理解する必要もあるし、マシンもライバルから遅れている状態。これからもっと良くしていかないと後半戦もいい結果は出せないと思う」とロッテラー。序盤戦は苦労していただけに、安堵の表情をみせていた
今回の2位表彰台を語る上で、一番のキーポイントとなったのが昨日の予選。Q1の2回目のアタックで90度コーナーからセカンドアンダーブリッジ内で渋滞が発生。ロッテラーは渋滞を回避しきれずDRAGO CORSEの小暮卓史に追突。フロントウイングに加えてサスペンションにまでダメージが及んだ。幸い1回目のアタックタイムでQ2進出を決めたが、インターバルはわずか。Q2でアタックできなければノックアウトが決定するのだが、メカニックが迅速な作業をみせ、残り3分でコースへ送り出し、これが最終的に決勝への結果につながった。
■トヨタエンジンのドライバビリティを武器に
「小暮がほとんど止まった状態でいて、避けることはできなかった。あのような渋滞が起きるのも問題だから、レースコントロールと話もしたし、しっかり解決していかなければいけないと思う。僕のマシンにもダメージがあったから直す必要があったね。正直、あの短時間での修復は厳しいだろうと思っていたんだけど、でも彼らはやってくれた。本当に感謝しているよ。そこから流れが良くなったようにも感じたね」とロッテラー。やはり、Q2のタイムアタックがきっかけとなり、決勝での2位表彰台につながっていった。
この結果を受けてロッテラーは、15.5ポイントでランキング2位。トップの関口とは1.5ポイント差と非常に僅差だが、3位の石浦は15ポイント、4位国本雄資も14.5ポイント、さらに5位山本尚貴は14ポイントと3ポイント以内に5人がひしめいている状態だ。
これについては「計画としては、これから全て勝てれば一番いいんだけど(笑)、そう簡単にはいかないからね。ただ、前半戦と比べると確実にスピードも取り戻してきたし、結果も出るようになった。でも関口も速いし、石浦も速い。また僕たちもまだレベルアップしなければいけないところはあると思っている。スーパーフォーミュラは毎回僅差でタフな選手権であることはわかっている。とにかくベストを尽くして頑張りたい」と、今回のレースを経て得られた自信も少し垣間見えるような表情で語った。
また、ロッテラーは今回から新バージョンとなったエンジンについても手応えを感じているようで、「すごく良くなったね。特にドライバビリティが良くなった。ただ、レースではホンダ勢とバトルをしていないから、実際にどっちが有利かはわからない。でもわずかだけ有利なんじゃないかなと思う」と笑顔でコメントしていた。
昨年は第6戦SUGOで優勝し、第7戦鈴鹿のレース1で連勝。最終的にはチャンピオンに届かなかったが、終盤戦での強さを発揮していた。今年も、この再現ができれば逆転チャンピオンも十分にありえそうだ。