トップへ

引退後のアスリートを積極雇用 100種類以上のストレッチと接客技術で手に職をつけさせる「Dr.ストレッチ」

2016年08月24日 12:40  キャリコネニュース

キャリコネニュース

写真

日本勢が史上最多の41個のメダルを獲得し、盛会のうちに幕を閉じたリオ・オリンピック。中継で活躍したレポーターや解説者の多くが、選手として名を馳せた元アスリートたちなのも見応えのひとつだった。

コーチや監督などの指導者として、声をかける元選手の姿も見られた。しかし解説者や指導者になれる人たちの数は、競技者全体からみればほんの一握り。引退後の身の振り方を案じるアスリートたちは多い。(ライター:okei)

人柄さえよければ「仕事は会社が教える」

プロ野球界の大スターだった清原和博氏の例を引くまでもなく、引退後の居場所に困るアスリートは少なくない。しかし彼らが競技を通じて心身を鍛えてきた経験を、知名度に頼らない形で社会が活用する道はもっとあっていいはずだ。

そんな中、8月19日放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)は、アスリートたちのセカンドライフを生かすことで急成長する企業を取り上げた。ストレッチ専門店を全国107店舗で展開する株式会社フュービックだ。

「Dr.ストレッチ」は運動不足などで硬くなった身体に、専門のトレーナーがストレッチを施すサービスを行っている。料金は40分4600円。肩こりや腰痛に効くとサラリーマンに評判で、この6年で急速に店舗を増やしている。

黒川将大社長は8年前にケガをした長男にストレッチを施しているとき、このビジネスを思いついた。ビジネスの成長と共に問題になったのが、トレーナー不足。そこで目をつけたのが、元アスリートたちの存在だ。

アスリートはスポーツ以外の経験が乏しいという問題もあり、仕事に慣れにくいといった見方もある。しかし黒川社長は「僕は人柄に注目した。後で仕事のやり方は、僕たちが教えればいいと思っています」と採用のポイントを語る。

海外のプロチームに所属した元野球選手も勤務

「Dr.ストレッチ」ではトレーナーの95%が元アスリートで、海外のプロチームに所属した元野球選手もいる。ケガの影響でやむなく引退したという山本さん(23歳)は、次の就職先に困っていたときこの仕事に出会ったという。

「好きなことに打ち込んできているので、いざ就職となったとき、受け皿が少なかったですね」

待遇面は年収260~550万円と超高収入とはいかないが、入社後は東京・新宿にある研修所で2~10か月の無料研修を受けさせるなど人材育成に力を入れる。店に立つまでに100種類以上のストレッチだけでなく、接客の技術も習得するというから、手に職をつける形にもなりそうだ。

さらに横浜FCなどのプロチームにトレーナーを無償で派遣。トレーナーの技術向上とプロ選手へ引退後の選択肢をクチコミで広めるねらいがある。商売上手な経営者と、自分に適した就職先を見つけたい元アスリートたちの利害がうまく一致しているようだ。

あわせてよみたい:栄光のJリーガーが引退後「メンタルヘルス不全」に