2016年08月24日 11:02 弁護士ドットコム
会社の飲み会に参加したら、夫から1週間以上も無視され続けているーー。そんな女性の投稿がネットの提示版で話題を呼んだ。
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女性は21歳で、結婚して1年半の夫(32)と2人暮らし。夫はこれまでも、投稿者が会社の飲み会に参加することを快く思っていなかった。残業続きで仕事が忙しい中で飲み会に参加したとき、「家より仕事が大事なんでしょ」と離婚を切りだされたこともあった。
そのため、投稿者は、参加する飲み会はどうしても参加するものに限り、参加した場合もなるべく遅くならないように気をつけていた。家事もしっかりこなしていたという。 そんな中、投稿者は参加必須の会社の飲み会があったため参加した。2次会まで参加して、帰りが23時を過ぎたところ、夫から「もうお前いらない」と告げられ、無視され続けているという。
投稿者は、「離婚はしたくなく、仕事も契約社員から正社員になったばかりなので辞めたくない」と考えている。参加が必要な飲み会に参加して、帰宅が遅くなったからといって、離婚を求める夫の主張は認められるのか。森元みのり弁護士に聞いた。
「参加必須の飲み会に絞って参加し、家事もしっかりこなしていた中で、帰りが一度23時を過ぎただけで離婚という夫の主張は、やや極端であるように思われます。この1点で裁判所が離婚を認めることはないでしょう」
森元弁護士はこのように述べる。では、どんな事情があれば、離婚が認められる可能性があるのか。
「たとえば、飲み会に極めて頻繁に参加し、その結果として家事や育児がおろそかになり、家族が日常生活に支障をきたす、家計が破たんする。または、深夜の帰宅や朝帰り、外泊なども多く、異性関係も疑われるといった事情があれば、離婚が認められる可能性があるでしょう」
「今回のケースでは、むしろ、そこまで妻の飲み会参加に腹を立て、妻の行動を制限しようとし、話し合いではなく無視や離婚請求といった行動に出る夫の発想のほうに問題があるとみられるのではないでしょうか。
ただ、本件では、お二人とも若く、婚姻期間も短く、お子さんもいらっしゃらないようです。また、妻も正社員になって間もないとはいえ生計を立てる見込みがある中です。夫がどうしても離婚だという主張を貫けば、最終的には離婚が認められる可能性もあります。
しかし、それは、妻の飲み会参加が原因とされるわけではなく、価値観の相違、性格の不一致が原因とされるものです。妻に慰謝料を支払う義務が生じるわけではありません」
森元弁護士はこのように述べていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
森元 みのり(もりもと・みのり)弁護士
東京大学法学部卒業。2006年、弁護士登録、森法律事務所入所。
著書・監修書に、『簡易算定表だけでは解決できない養育費・婚姻費用算定事例集』(新日本法規)『一番よくわかる離婚の準備・手続き・生活設計』(西東社)他。
事務所名:森法律事務所
事務所URL:http://www.mori-law-office.com/