将来のキャリアを描けない仕事に低い給与で従事する「中年フリーター」が問題になっている。新卒時に不景気に伴う就職氷河期に直面し、正社員を諦めざるをえなかった世代だ。そんな彼らも、いまでは40歳前後になっている。
氷河期世代については、これまで男性の問題に焦点が当たりがちだったが、8月20日付け日本経済新聞が「アラフォー独身女性、4割が非正規」で女性の問題を取り上げ、ネットで大きな話題となっている。そこには男性以上に厳しい現実があった。
「氷河期の女はマジで就職なかった」「目から雨が降ってくる」
記事によると、35~44歳の独身女性の労働者数は2015年時点で190万人。そのうち非正規は79万人、41%を占め、2005年と比較すると14ポイントも増えている。
彼女たちが「独身非正規アラフォー」となった背景について、記事は結婚しない女性が全体的に増えたことや、女性事務職が派遣などの非正規に置き換わってキャリア形成がうまくできなかったことをあげる。IT技術の普及の影響もあったことだろう。
横浜市男女共同参画推進協会が行った調査では、35~44歳の独身非正規女性の7割近くが年収250万円以下。回答者からは「20代は正社員だったがリストラ。ずっと非正規で貯金もない」「両親に介護が必要になったり自分が病気になったら破綻する」といった危機感を訴える声があがる。
この記事を読んだ人からは、ネットに当時の就職状況を振り返る声があがっていた。
「学歴関係なく雇ってくれなかったもんな、まじで」
「氷河期の女はマジで就職なかったもんなあ」
運良く結婚できた人は「今フツーのツラして生活しているけど、完全に他人事ではない」と、胸をなでおろしながら同世代の女性たちに同情。絶望のあまり「わはははは、目から雨が降ってくるよ」という書き込みも見られる。
非正規の女性は「結婚意欲が低い」傾向に
その一方で、「なぜ非正規独身の状態でアラフォーを迎えたのか」と疑問視する声もある。結婚をすれば非正規でも共働きで収入が増えるし、専業主婦という選択肢もあったはずというのだ。
結婚については、記事でも言及していた。内閣府経済社会総合研究所の意識調査(2015)によれば、非正規の女性は正規に比べ、結婚意欲が低いのだ。職場に独身男性がいないことや、周囲に正社員の男性が少ないことが原因と見られる。
今から結婚しようにも、アラフォーから相手を見つけるのは難しいという現実もある。結婚相談所を運営する村上れ以子氏はYahoo!個人の記事で、国勢調査の結果を用いて「独身アラフォー女性が10年後に結婚している確率は、1%もない」と指摘している。
「親の介護」が絡むと問題が一気に表面化しそう
結婚の道も薄いとなると、やはり自分の収入だけで生活を支えられるようキャリアの底上げを考えていくしかない。しかし「売り手市場」といわれる昨今でも、アラフォーの正社員化は簡単ではない。そのため企業努力に任せるだけでなく、「国策として対応すべき問題だと思うんですけどね」という指摘もあがっていた。
政府はいま、「同一賃金同一労働」の方針を掲げているが、中身は「非正規労働者の賃金を正社員の8割程度に引き上げる」というもの。しかし非正規のままでは、介護の問題に直面したとき、福利厚生も整わずに仕事を辞めざるをえなくなる。金銭的にも親に頼れなくなれば、この問題は一気に表面化しかねない。
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