先日、世界ラリー選手権(WRC)デビューを果たし、フィンランドの特殊かつ高難易度のステージに翻弄された感のあったTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラムの勝田貴元と新井大輝。
その雪辱を晴らすべく、今度は8月19~20日に開催されたフィンランド・ラリー選手権第5戦、SM-ラリー・トゥルクのSM1クラスに、慣れ親しんだフォード・フィエスタR5で参戦。
勝田貴元/ダニエル・バリット組はクラス10位、総合11位、新井大輝/グレン・マクニール組はクラス7位、総合8位で、2台揃って完走を果たした。
同ラリーは昨年このプログラムがスタートした際、ふたりが参戦した最初のイベントということもあり、今回が2度目の挑戦。国内選手権ということでSS総距離84km、9SSで争われるコンパクトなイベントではあるが、ステージはフィンランドの特性そのままに、高速かつナロー。
デイ1のSS1からSS3までがナイトステージとなり、前回のWRC同様にレッキでのペースノート作成の重要度が問われた。また、ステージは路面が硬く、出走順によって浮き砂利の影響を受けやすいコース設定ということもあり、タイヤ選択、ブレーキングなど、ドライビング面でのイメージが勝負の鍵となった。
そんななか、新井はラリー開始からフロントランナーに肉薄するタイムを連発し、SS7ではトップタイムをマーク。周囲に鮮烈な印象を残す走りを披露。また、勝田は自身が課題とするペースノート作成を着実に行ったことで安定した走りをキープ。ふたりそろってマシンをポディウムに運ぶことに成功した。
このプログラムのインストラクティングを行うヨウニ・アンプヤは、「ふたりとも良い結果で終わることができた。今のふたりに必要なことは経験で、近道はない」とコメント。
「さまざまなステージを走行することでマシン特性をつかむこと、ペースノートの作り方、タイヤの使い方など、身につけるべきことはまだたくさんある。焦ることなく全てのラリーを完走して距離を積み重ねてゆき、今後につなげて欲しい」と、期待を込めた。
またドライバーのふたりも、こうした海外ラリーでの「走りのイメージ」の重要性について、口を揃えた。
「昨年走った場所でもあったので、イメージを持ってトゥルクに入ることができました。今回はラリーフィンランドで見えたペースノートの問題点をこのトゥルクで改善することが目標でした」と勝田。
「トゥルクはフラットでハイスピードコースだったので、より車速域が高いことをイメージしてペースノートを作ることが課題でした」
「今回もダニエルの助けもあって、ペースノートをしっかり作ることができたと思います。ひとつひとつ積み重ねて、経験値を上げていきたいと思います」
続く新井も「今回は高速域でのペースノート作り、高速域でのクルマの動かし方が課題でした。昨年よりもペースノートはスムーズに作れたと思います。1ループ目は浮き砂利に見舞われ、高速コースでの浮き砂利上でのブレーキング、コーナーリングは難しかったですが、これもラリー。今は何よりも経験を積むために、ひとつひとつのラリーを大事に走りたいと思います」と、コメント。
実戦経験を積みながら2年目に突入したふたり。次戦は9月末のフィンランド国内戦参戦を予定しているが、こうした経験値が積み重なって、ドライビングのイメージが高まっていくはずだ。