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RADWIMPSが『君の名は。』と誠実に向き合った新作もいよいよーー8月24日発売の注目新譜5選

2016年08月23日 13:01  リアルサウンド

リアルサウンド

RADWIMPS『君の名は。』

 その週のリリース作品の中から、押さえておきたい新譜をご紹介する連載「本日、フラゲ日!」。8月24日リリースからは、EXILE THE SECOND、RADWIMPS、[Alexandros]、LiSA、Shiggy Jr.をピックアップ。ライターの森朋之氏が、それぞれの特徴とともに、楽曲の聴きどころを解説します。(編集部)


(関連:RADWIMPSが『君の名は。』で発揮した、映画と音楽の領域を越えた作家性


■EXILE THE SECOND『Shut up!! Shut up!! Shut up!!』(SG)


 2007年に二代目 J Soul Brothersとして活動スタート。2009年にEXILEに参加、その後THE SECOND from EXILEとして活動していた5人がEXILE THE SECONDとして再始動した。EXILEグループ内の配置移動、他のグループとのバランスのなかで(たとえば三代目J Soul BrothersやGENERATIONSに比べ)、表立った活動がなかなか実現できなかった彼らーー近い将来、EXILEの中心となるタレントでもあるーーだが、この秋に開催される初の単独アリーナツアーに向けたシングル3部作は、メンバーのディープな音楽性が存分に発揮された内容に仕上がっている。最新鋭のEDMを反映させたパーティーチューン「YEAH!! YEAH!! YEAH!!」に続く第2弾シングル「Shut up!! Shut up!! Shut up!!」はドープなヒップホップサウンドとダンスホールレゲエのテイストを融合させたナンバー。“先入観や情報だけに頼らず、リアルな自分たちを見てほしい”というメッセージを込めた歌詞からも、彼らの強い決意が伝わってくる。


■RADWIMPS『君の名は。』(AL)


 “RADWIMPSのニューアルバム×新海誠監督の新作『君の名は。』のサウンドトラック”による相乗効果は、こちらの想像を遙かに超えていた。“徹底的に純粋なラブストーリーを伝えるんだ”という意思に満ち溢れた映画『君の名は。』の世界観に強く共感したという野田洋次郎は、おそらく“劇伴作家として、正面から勝負したい”というモチベーションを持って本作の制作に臨んだのではないか。その結果として彼らは、ピアノを中心としたクラシカルなメロディライン、映画のストーリーに寄り添ったサウンドメイクをはじめ、これまでのRADWIMPSの音楽の領域を大きく超える楽曲を作り出したのだ。「夢灯籠」「前前前世」などの歌モノも素晴らしいが(野田のボーカルの幅も自然な広がりを見せている)、それ以上にインスト曲の旋律の豊かさが際立っているのもこのアルバムの魅力。「君の名は。」の世界にどこまでも誠実に向き合うことで生まれた本作はまちがいなく、この後のRADWIMPSの音楽にも大きな影響を与えることになるだろう。


■[Alexandros]『Swan』(SG)


 メンバー全員が高い演奏技術を持ち、アレンジメントにおいても確固としたオリジナリティを備えている[Alexandros]だが、新曲「Swan」を聴いて、このバンドの軸が川上洋平のメロディであることを改めて思い知らされた。緻密かつ繊細な電子音に導かれ、“愛を歌うそぶり魅せられながら”というラインとともに冒頭のメロディが放たれた瞬間、即座に心を掴まれてしまうーーこの問答無用のパワーこそが「Swan」の魅力なのだ。エレクトロの要素を取り入れたアレンジ、抑制と解放をバランスよく共存させたサウンドも見事だが、その中心にあるのはあくまでもメロディ。そのスタンスを全員が共有しているからこそ、[Alexandros]はブレることなく活動を続けていけるのだと思う。インディーズ時代から一貫して「メロディメイクにおいては、何かを狙ったり、意図したくない。あくまでも自然に生まれてくるもの」という趣旨のコメントを繰り返している川上。その天賦の才はまだまだ尽きることがないようだ。


■LiSA『Brave Freak Out』(SG)


 『ROCK IN JAPAN』『SUMMER SONIC』『ANIMELO SUMMER LIVE』などさまざまなジャンルのフェスに出演、フィールドを超えたロックヒロインとしての存在感を強くアピールしているLiSAの10thシングル『Brave Freak Out』はTVアニメ『クオリディア・コード』(TOKYO MXほか)の主題歌。LiSAのアニメタイアップソングは『Rally Go Round』(TVアニメ『ニセコイ:』TOKYO MXほか)以来1年3カ月ぶりだが、本作において彼女は“Lisaに求められるアニソン”のイメージ(高速のビート、アグレッシブなサウンド、突き抜けるようなハイトーンボイスを活かしたメロディなど)を正面から引き受けたうえで、ジャンルの枠に捉われないロックナンバーとして昇華させている。『クオリディア・コード』の謎めいたストーリー性と自らの意志と実力で運命を切り開いてきたLiSAの在り方を重ねた田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN)の歌詞も絶品。アニソンとロックシーンを行き来するというスタンスで活動を続けるなかで独特のポジションを獲得しているLiSAはこのシングルによって、さらなる充実期に入ることになりそうだ。


■Shiggy Jr.『Beautiful Life』(SG)


 『恋したらベイベー -EP』に続く2016年第2弾シングル。アニメ『境界のRINNE』(NHK Eテレ)エンディングテーマに起用された表題曲「Beautiful Life」のサウンドプロデュースには、Aimer、水樹奈々、夢みるアドレセンスなどの作品に関わってきたクリエイターチーム・Integral Clover(agehasprings所属)が参加。Shiggy Jr.らしい高品質ポップをキープしつつ、アニメファン、J-POPファンなど幅広い層のリスナーにアピールできる“わかりやすさ”を体現している。ポップミュージックに深い造詣を持つバンドが陥りがちなマニアックな手触りを丁寧に取り除いてきた彼らだが、アイドルソング、アニメの劇伴などを手掛けたきたIntegral Cloverとのコラボレーションによって、その精度はさらに上がっているようだ。カップリングにはザ・ビートルズの「Hello Goodbye」を収録。原曲のイメージに近いシンプルなサウンドによって池田智子のボーカルの魅力を際立たせるアレンジが素晴らしい。(森朋之)