一昔前まで独身者が20代後半ぐらいになると、周囲から「まだ結婚しないの?」とせっつかれることも当たり前の光景だった。でも今の時代、そういう余計なおせっかいも、あまり目にすることはなくなった。
かく言う僕も32歳。結婚なんて考えてもないし、気ままな独身生活が性に合っている。この先も独身でも全く構わない。理由は幾らでも挙げられるけど、やっぱり一番デカいのが、お金の問題だ。(文:松本ミゾレ)
厚労省調査で分かった!独身男性の偽らざる本音
稼ぎを全部自分の好きなことに使えること。これが、僕が未だに結婚をしようとも思わない一番の理由だ。そして、こういう考えを持つ独身男性は、結構少なくない。
昨年10月に発表された「平成27年版厚生労働白書」が、いくつかのネットニュースで拡散されている。白書によると、20~30代の未婚男性会社員300人の41.7%にあたる125人が「生涯未婚でも構わない」と回答していた。
もっと年齢を重ねると「あ~、やっぱ結婚してえわ~」と思う未婚男性も増えるんだろうけど、ともかく全体の4割以上の独身男性で、結婚願望が皆無ということになる。
まあ確かに結婚することで、できることなんてほとんど増えないし、社会的地位のために結婚するなんて前時代的。むしろ結婚すると制約ばかり増えるし、そういうしがらみをわざわざ求める必要性は見当たらない。
しかも結婚式なんて、挙げるだけでも出費が大きいし。この調査結果は諸々様々な理由で結婚に意味を見出せていない独身男性の思いが、集約されているように思えた。
「少子化対策」なんて言っていられる余裕はない
ここで41.7%の「非婚志向」の独身男性について、もうちょっと掘り下げてみたい。というのもこの調査結果では、彼らに「生涯独身でも構わない理由」を聞いていたのだ。
その結果、もっとも意見が集中していたのが、やはり「お金を自分のためだけに使えるから」。うん、そうだよ。そりゃそうだよね。「何が悲しくて、毎月の雀の涙のようなお給金を奥さんとシェアしなきゃならないの?」って話だよね。
ましてや結婚すれば、いずれは子どもを儲けたくなるだろうし。するとますます自由に使えるお金なんかなくなる。
この考えは間違っているのかも知れないし、俯瞰で見れば日本という国の少子高齢化をますます加速させることになるんだけど、そんなこと言っていられないほど、余裕のない生活をしている独身男性がいるのだ。
山ほどある欲しい物の中から、安くで手に入るものを選んで購入する。こういう楽しみぐらいしかない独身男性を、僕は何人も知っている。独身男性が自分のためだけにお金を使いたいという願いを抱える背景には、とてもじゃないけど自分以外の誰かを養う余力がないという現実が隠れている。
もしも仮に、今の僕が結婚をするとなったら、結婚式の費用から新居の手配まで、一気に数百万円を工面することとなる。これは現実的な金額ではない。
熟年婚活者を「後妻業の女」が狙う
結婚式が済んでも、奥さんが「専業主婦がいい」と言ったら、その分、僕は多くの原稿を手がける必要がある。まあ、無理をすれば可能かもしれないが、これもサラリーマンの方なら「無理を言うなよ、毎月の収入なんかそうそう上がらないよ」と言いたくなってしまうもの。
人間、やってやれないことは少ないので、そうは言いつつ、いざ結婚生活を強行すればなんとかなるかもしれないけど、結婚にそもそも明るいビジョンを抱いていない独身男性にとっては酷な話。こんな風に思う人も多いだろう。
「どうして今の自分が、かろうじて満足するだけの生活をしているのに、扶養家族を持たなくてはならないのか?」
独身が気楽だからではなく、現実的な、人間らしい生活を成り立たせるために、独身でなくては難しいという環境の独身男性は大勢いるのだ。
その一方で、歳を重ねてようやく蓄えができたのか、晩年の不安が高まったのか、熟年者の婚活パーティーの開催が目立つようになっているという。それにあわせて、寂しい男性の財産を狙う女性も増えることだろう。
折りしも今月27日には、この熟年婚活を題材とした「後妻業の女」という邦画の公開もスタートする。キャッチフレーズは「あなたの愛とお金、狙われてませんか…?」というものだ。とかくこの世は住みにくい。
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