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クーリングオフを匂わせ、客が生保レディに性行為強要…どんな犯罪になる?

2016年08月22日 08:51  弁護士ドットコム

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顧客に性行為を強要されたという営業職の女性が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに質問を投稿しました。


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女性は、生命保険の営業として働いています。ある時、男性の友人から、「加入したい」と連絡があったため、休日に新幹線で1人暮らしの友人宅へ向かいました。友人の家に着いたのは19時過ぎ。保険加入の手続きを終えたときは既に新幹線の終電がなく、宿も取っていなかったため、渋々友人の家に泊まることにしたそうです。


すると友人から、クーリングオフを匂わせながら性行為を強要されたそうです。女性は上司に相談も報告もできず、「友人だからと油断していた自分が馬鹿だったと思い泣き寝入り」したそうです。


今回のケースのように、客が営業職の女性に対して、クーリングオフなどをちらつかせて性行為を強要した場合、どのような犯罪になる可能性があるのでしょうか。西口竜司弁護士に聞きました。


 ●強姦罪や強要罪が成立する可能性がある


当然のことですが、このような行為が許されるはずはありません。


まず、女性が恐怖を抱くような言葉で脅して性行為を強要した場合は、強姦罪が成立する可能性があります。また、女性を脅して、義務ではない行為を要求したといえれば、強要罪が成立する可能性があります。


今の刑法では、強姦罪は「親告罪」ですので、被害者が告訴をしない限り、相手を罪に問うことはできません。また、被害者が告訴をしても、性行為を強要されたことを立証できず、相手を罪に問えないことも少なくないと思います。


強姦罪や強要罪が成立しなくても、相手方がひどい言動で脅して性行為を強要したような場合は、不法行為が成立する可能性があります。その場合、民法第709条に基づいて損害賠償請求をすることができます。


強姦罪については、法定刑の引上げや非親告罪化など、法改正の動きが起きています。被害者の権利が守られるよう、適切な改正が望まれるところです。




【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。

事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/