ホンダの長谷川祐介F1総責任者は、ライバルであるエンジンサプライヤー、ルノーが驚くべきペースで進歩しており、まだホンダとルノーの間には大きな差があると認めた。
今季、マクラーレン・ホンダは確実にグリッドポジションを上げ、ウイリアムズ、フォース・インディア、トロロッソとトップ3に次ぐ位置を争っている。しかし、長谷川氏は、いまだホンダはパワーユニットの序列で言えば最下位であり、ライバルに追いつくまでには長い道のりがあると述べた。
「私たちはナンバーフォーだ」と、彼は英AUTOSPORTに語っている。「メルセデス、フェラーリ、ルノー、そしてホンダということだ。まだルノーとの差もかなり大きい。実際、彼らの進歩の速さには驚かされている。ルノーはとてもいい仕事をしてきたと思う」
「来年はメルセデスと同等のレベルに到達することを目標にしている。現時点では、それが可能かどうか私にはわからない。だが、それが私たちの目標だ」
現在のエンジンレギュレーションは、少なくとも2020年まで、基本的には変更されないことになっている。長谷川氏はこの期間が満了する前に、F1のパワーユニットは全社ほぼ対等になる可能性があることを示唆した。
「あらゆる面で(メルセデスと)同じレベルに達するには、まだあと2~3年は必要だろう。そして、メルセデスも進歩を続けている。ただ、技術的な見地から言えば、私たちとのパワー差に関して、メルセデスにはもうあまり改善の余地が残されていないはずだ」
「分析によれば、彼らの示す数値には驚くべきものがある。数字の上から言うと、(ホンダも進歩しているのに)パワーの差は今シーズンの初めから変わっていない」
■ドイツGP予選のスピードトラップデータ
1.メルセデス:341km/h
2.ルノー:339.1km/h
3.フェラーリ:337.7km/h
4.フェラーリ(2015):332.1km/h
5.ホンダ:329.5km/h
長谷川氏は、エンジン開発トークンシステムの廃止によって、ホンダが直面してきた「心理的な壁」が取り除かれるだろうと考えている。
「来年はトークンがなくなるので、改善の可能性があると思えばどんな領域でも研究できるし、どの部分を変更するかも選ぶことができる。つまり、より自由に考えられるようになるということだ。これまでは、実際の改良の制限よりも、(できることは限られているという)心理的な壁のほうが大きかった。トークンシステムの廃止で、私たちの心理的な壁も取り払われる」
ホンダは、今後も「サイズゼロ」のコンセプトを維持し、それを進化させることで、ライバルに対するゲインの獲得を目指すという。
「昨年の初めから比べると、私たちのパフォーマンスは向上し続けてきた。来年もこのペースを維持できるだろう。来年のエンジンは、今年のユニットの発展型であり、まったく別のコンセプトによるものではない」
「他社のエンジンと比べても、私たちのほうが改善のペースは速いと思う」