8月20日時点で2017年のドライバーラインアップが確定しているのは3チーム。残りの8チームはひとり、あるいはふたりともが未定の状態だ。ここにパドックで飛び交う情報やうわさから、来年、誰が残留し、移籍し、F1から去る可能性があるのかをまとめた。
ラインアップがすでに決定しているのはメルセデス(ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグ)、フェラーリ(セバスチャン・ベッテルとキミ・ライコネン)、レッドブル・レーシング(ダニエル・リカルドとマックス・フェルスタッペン)。
残る8チームについて、チームごとに最新情報を整理した。
■ウイリアムズ
フェリペ・マッサ:未定
バルテリ・ボッタス:未定
ウイリアムズはボッタスとの契約を延長したい意向ではあるが、オプションを行使する場合、サラリーを引き上げなければならず、それがチームにとって問題になる。
しかし3つのトップチームのシートは空いておらず、ボッタス自身、ウイリアムズでやり残した仕事がまだあると発言しているため、両者の契約はスムーズにまとまるかもしれない。ただ、ボッタスにはルノー移籍のうわさもある。
マッサの残留の見込みは極めて低いといわれている。ただ、ウイリアムズにとっては、金銭的な問題は重要であり、大幅なサラリー減額を受け入れれば、残留の可能性はあるかもしれない。ウイリアムズは今年ランキングが少なくともひとつは落ちる見込みであり、そうなればプライズマネーが減額される。ランキングが3位から4位に落ちると、去年のケースでは約700万ドルの違いが出る。
副代表クレア・ウイリアムズが発言しているように、ウイリアムズはジェンソン・バトンを強く望んでいる。しかしバトンは高額なサラリーを要求するとみられ、さらに彼を起用することでもたらされる経済的メリットは期待されたほど大きくないようだ。だがマクラーレンが契約を延長しないことを決めた場合、バトンはサラリーを下げることに同意してウイリアムズのシートを取りにくるかもしれない。
ウイリアムズが他に関心を示しているのはセルジオ・ペレス。彼は多額の資金を持ち込むことが見込まれるため、ウイリアムズにとっては望ましい候補であるが、彼の将来を決めるのはスポンサーであり、その決定を待つ必要がある。
他に候補として挙がっているのは、2014年にリザーブドライバーを務め、現在ザウバーに所属するフェリペ・ナッセ。彼は約1,000万ドルの資金を持ち込めるようだ。また、2013年に所属したパストール・マルドナドがコンタクトを取っているようだが、彼の復帰が実現する可能性は低いとみられている。
■フォース・インディア
ニコ・ヒュルケンベルグ:確定
セルジオ・ペレス:未定
ペレスは来季契約は結んでいるものの、それが行使されるかどうか定かではない。ペレスもチーム側も、ペレスのスポンサーが来季行き先の決定権を持っていると認めている。ルノーとウイリアムズが彼を欲しがっており、サマーブレークの間にスポンサーが選択肢について検討するようだ。
Sky Sportsによると、ペレスは自分自身の心は決まっていると述べており、スポンサーの最終的な決定を3チームが待つことになる。
ペレスが移籍する場合、パスカル・ウェーレインが加入する可能性が高いと考えられている。
■ルノー
ケビン・マグヌッセン:未定
ジョリオン・パーマー:未定
ルノーはペレスを望んでおり、彼の獲得に成功した場合、チームメイトの座には今年前半リザーブドライバーを務めたエステバン・オコンを据えたい考えだ。オコンは今年ルノーでFP1に何度か出場、ベルギーGPでリオ・ハリアントに代わってマノーからデビューを果たす。後半戦の彼のパフォーマンスを見て、ルノーは判断を下すことができる。
他の候補としてはボッタスの名前も挙がっている。
現レギュラーに関しては、マグヌッセンとの契約延長の可能性はあるが、パーマーが残るには早急にいい結果を出す必要がありそうだ。
■トロロッソ
ダニール・クビアト:未定
カルロス・サインツJr.:確定
サインツのチームメイトについては、チーム代表フランツ・トストは、クビアトを残したいと発言しているが、判断を下すのはディートリッヒ・マテシッツとヘルムート・マルコ。クビアトはトロロッソに移籍して以降、精彩を欠いており、ほとんどのレースで予選でも決勝でもサインツに敗れている。
シルバーストンでテストを行ったジュニアドライバーのピエール・ガスリーも候補のひとりと考えられている。ガスリーは現在GP2でランキング2位だ。
■ザウバー
マーカス・エリクソン:未定
フェリペ・ナッセ:未定
エリクソンは移籍の選択肢も検討していると語っているものの、彼の支援者がザウバーの新オーナー、ロングボウ・ファイナンスとかかわりがあるといわれているため、残留の可能性が高そうだ。ただしチーム代表モニシャ・カルテンボーンは、ドライバー決定においてそういった要素を考慮するつもりはないと述べている。
ナッセも残留する可能性はあるが、ウイリアムズ復帰のうわさもある。
■マクラーレン
フェルナンド・アロンソ:確定
ジェンソン・バトン:未定
アロンソのチームメイト候補はバトンかリザーブドライバーのストフェル・バンドーン。チームによると、ドライバーに関する協議は9月以降に行われるという。
2015年にGP2でタイトルを獲得したバンドーンを、マクラーレンはすでに1年待たせている。彼の評価は非常に高く、彼自身、来季は必ずF1にフル参戦するという決意を示しており、彼をこれ以上待たせるのは難しいだろう。しかし2017年にはテクニカルレギュレーションの大きな変更があるため、ベテランのバトンを残すことにも大きなメリットがある。マクラーレン・ホンダは難しい決断を迫られることになりそうだ。
バトンは来年は表彰台争いがしたいと述べており、ウイリアムズが移籍候補となる。また、F1以外の選択肢を選ぶ可能性もある。
■マノー
パスカル・ウェーレイン:未定
エステバン・オコン:未定
ウェーレインは残留する可能性もあるが、同じメルセデスPUを積むフォース・インディアに空きが出れば移籍するかもしれない。オコンもマノー残留の他にルノーへの復帰の可能性もある。メルセデスは、傘下のふたりを他チームで走らせることで、ルイス・ハミルトンとニコ・ロズベルグの契約終了後の選択肢を見極めることができる。
ふたりが移籍した場合、前半戦に乗ったリオ・ハリアント、2015年後半にレースドライバーを務めたアレクサンダー・ロッシなどが候補になるかもしれない。
■ハース
ロマン・グロージャン:未定
エステバン・グティエレス:未定
ハースのチーム代表ギュンター・シュタイナーは、ドライバー発表はヨーロッパラウンド終了後になると示唆している。グロージャンは残留する可能性が高そうだ。彼はフェラーリとのつながりを保つことで、キミ・ライコネンの後任候補として有力な位置にいたいと考えている。また、ハースでさらに1年過ごしながら、ルノーの進歩を見守り、将来の復帰について考えることもできる。
グロージャンのチームメイト候補としては、開発ドライバーでフェラーリが支援するシャルル・ルクレールが考えられる。彼は評価が高いものの、GP3でタイトルを獲得し、スーパーライセンス取得の条件をクリアする必要がある。
グティエレスについては、あるチーム関係者は「残留する可能性は極めて低い」とほのめかしている。グティエレス自身は、来年のプランは決まっており、F1に残ると述べているが、詳細は明かしていない。