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第4戦富士戦を前に。参戦数増加のスーパー耐久2016シリーズ、前半戦を総括

2016年08月19日 19:21  AUTOSPORT web

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スーパー耐久シリーズ/3戦を終えてランキングトップをいく24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-R
シリーズとしてはこれまでにない大量の年間エントリーを集め、おおいに話題を集めている今年のスーパー耐久シリーズ。富士スピードウェイを舞台とするシリーズ第4戦「Super TEC」は、初めて65台が結集するレースとなる。

 これだけの台数が並んだスターティンググリッドに、どんな印象を抱くのか今から楽しみでならない。そして、9時間にも及ぶ長丁場に、果たしてどんなドラマが待ち構えているのだろうか?

■さまざまなレーススタイルを採用
 今季のスーパー耐久シリーズは、年間エントリーの台数の多さに対応すべく、新たなレーススタイルが導入された。過去にも例がある2レース開催に加え、鈴鹿サーキットが舞台のシリーズ第3戦ではセカンドチャンス100と銘打たれた、100分間の敗者復活戦を実施。ST-XクラスとST-1クラス以外の4クラスで、無条件に決勝進出を許されるのは、予選上位の3チームのみ。4位以下のチームはあらかじめ按分比例によって定められた順位以内でないと決勝に駒を進めれず、最多台数のST-4クラスの場合、先の3台を除く20台のうち13位までがボーダー。逆に最小台数のST-2クラスは、トップだけしか決勝進出が許されないのだから、まさしくサバイバル戦の様相を呈していた。

 ここまでのシリーズ3戦が行われ、いずれも激しい総合トップ争いが繰り広げられた。ツインリンクもてぎで行われた開幕戦は、6クラス混走の5時間レース。ポールポジションを5号車Mach MAKERS GTNET GT-Rを駆る、藤波清斗/星野一樹/白井剛/青木孝行組が獲得。2番手には22号車Clearwatar Racong by Mooncraft Carsのマクラーレン650Sを駆る、モック・ウェン-サン/加藤寛規/濱口弘組がつけた。今年はST-Xクラスにアジアのチームとの交流が深まっているのが特徴のひとつでもあり、22号車650Sはスポット参戦ながら、その中の一チームでもある。

 決勝は逃げる5号車GT-Rを、24号車スリーボンド日産自動車大学校GT-Rの内田優大/藤井誠暢/平峰一貴組が追いかける展開で開始される。星野に藤井が食らいついて離れず。やがて、ピットで24号車GT-Rがトップに立ち、その後の平峰、内田、そして再び平峰につながれたリレーも完璧に、逃げ切りを果たすことに。

 内田にとって、これがデビューウインとなった。22号車650Sは序盤の遅れが響いて4位に。3号車ENDLESS ADVAN GT-RのYUKE TANIGUCHI/峰尾恭輔/富田竜一郎/柳田真孝組が3位を獲得した。

 2グループに分けられ、それぞれ3時間で争われたシリーズ第2戦、スポーツランドSUGOでは珍事が起こった。出走台数がほぼ半数ずつに分けられ、クリアラップが通常のレースより取りやすくなるだけに、当然周回数で上回るのは、ST-X、ST-1~3クラスの属するグループ1のはず。しかし、実際にレースしてみると、ST-4、5クラスの属するグループ2の方が多かった……。原因はグループ1の決勝にセーフティカーランが多発し、3回合わせて1時間以上もスローペースでの走行が続いたためだ。

 逆に一度もSCランのなかったグループ2は、13号車ENDLESS ADVAN 86の村田信博/小河諒/元嶋佑弥組が113周を駆け抜けて優勝。グループ1は、ピットタイミングで途中トップを譲りはしたものの、最後は難なく逃げ切りを果たして24号車GT-Rが連勝を果たしている。ただし、トータルでの周回数は106周だった。2位はTANIGUCHI/峰尾/山内英輝のレギュラートリオで挑んだ3号車GT-Rで、3位は10号車Adenau SLS AMG GT3のフィリップ・デベサ/マイケル・グリーン/密山祥吾組が獲得した。

 鈴鹿が舞台のシリーズ第3戦は、3連勝を目論む24号車GT-Rがポールポジションを獲得。ウエットコンディションの決勝でも、序盤のレースをリードしたが、やがて雨脚が強くなってくると、一気にペースを上げてきたのがモーリス・チェン/吉本大樹/坂本祐也の駆る89号車HubAuto Ferrari 488GT3。特に坂本がトップに立った後も逃げ続けたものの、代わったチェンにピットレーンの速度超過があり、ドライビングスルーペナルティで遅れを取ってしまう。

 終盤のトップを走行したのは5号車GT-Rは、ゴールまであと5周というところでガス欠症状に見舞われコース脇にストップ。これで3号車GT-Rがトップに浮上、ディフェンディングチャンピオンが今季初優勝を飾ることとなった。2位は89号車488GT3で、3位には24号車GT-Rが入った。

 その結果、シリーズ前半の3戦を終えた時点でST-Xクラスのトップは、開幕戦以来変わらず24号車GT-Rがキープ。第3戦の優勝で3号車GT-Rが11ポイント差で続き、コンスタントに入賞を重ねる8号車ARS SLS AMG GT3の白石勇樹/佐々木孝太/永井宏明組が目下3位につけている。

■各クラスで目の離せないバトルが展開
 ST-1クラスは年間エントリーこそ2台なのだが、常時出場するのは777号車D’station Porscheの星野敏/荒聖治組だけ。第2戦でリタイアを喫しこそしたが、一騎打ちとなった開幕戦も制しており、すでに2勝をマークしている。

 ST-2クラスは、4連覇を狙う59号車DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤学/後藤比東至組が、体制の大幅な一新にも開幕戦を快勝して幸先のいいスタートを切ったものの、第2戦以降はトラブルが相次いで2位でのゴールが精いっぱい。

 第2戦で2012年富士以来の勝利を飾った6号車新菱オートDIXCELエボXの冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄組は、そのまま勢いに乗って連勝を果たし、59号車WRXに2ポイント差にまで迫ることとなった。3位は20号車RSオガワADVANランサーの下垣和也/松本武士/近藤説秀組ながら、今年はトップチェッカーが少々遠くなっている。

 そして、6クラスの中で唯一開幕戦から負け知らずなのが、ST-3クラスで38号車MUTA Racing TWS IS350を駆る堀田誠/阪口良平組だ。その必勝パターンは、先行逃げ切り。阪口が逃げ、堀田が貯金を守り、最後に阪口がまた引き離すというもの。堀田にミスが激減し、なおかつ阪口がトラブルも未然に回避するのだから、現状スキはいっさい見られず。このままパーフェクトも、決して夢ではなさそうだ。

 一方、2位以下には混戦ムードも。15号車岡部自動車DIXCELチームテツヤZ34の長島正明/田中徹/田中哲也組と、62号車DENSO Le Beausset RC350の嵯峨宏紀/中山雄一/山下健太組は6ポイント差、さらに2ポイント差で14号車岡部自動車KYOSHIN195 Z34が続いている。

 台数だけではなく、車種のバラエティにも最も富んでいるST-4クラスは、13号車86が開幕2連勝でランキングのトップに。第3戦で連勝を阻止し、ひたひたと近づいてきているのが、86号車TOYOTA Team TOM’S SPIRIT 86の松井孝允/井口卓人/蒲生尚弥組。その差は6ポイントにまで縮まった。そして、ランキング3位につけるのはダークホースの55号車SunOasisネッツトヨタ東埼玉86。86のチューニングカーで走られた存在のたしろじゅんが、ワンメイクレースのスペシャリスト小野田貴俊、伊藤毅ともに開幕から2戦連続で表彰台を獲得している。

 一方、第4戦からブレーキローターやキャリパーの交換がついに認められ、逆襲の期待がかかるのがS2000勢。その最上位につけるのは、41号車TAKUMI×HERO’S SSR ings S2000の植松忠雄/井出有治/石川京侍組だ。また、脇阪寿一のフル参戦で話題を集める52号車埼玉トヨペットGreenBrave 86は、目下ランキング7位。第2戦では一時トップを走り、寿一が終盤のタイヤ無交換作戦に打って出るも、表彰台にはあと一歩届かず。そろそろ松田晃司、脇阪薫一とともにスマッシュヒットを打って欲しいところだ。

 そして、フィット3勢の猛攻続くST-5クラスながら、徐々に風穴が開きつつある。ランキングのトップを行くのは69号車BRP★J’S RACINGホンダカーズ浜松北みきゃんFITの大野尊久/梅本淳一/窪田俊浩組で、2位には11ポイント差が。しかし、第2戦では88号車村上モータースMAZDAロードスターNDの村上博幸/筒井克彦組が、そして第3戦では17号車DXLアラゴスタNOPROデミオSKY-Dが優勝。それぞれFR車両、ディーゼルエンジンでのクラス初優勝とあって大いに話題を集めることとなった。第4戦でも台風の目となりそうだ。

 とにかく今年のスーパー耐久シリーズは強豪、役者揃いで例年以上の盛り上がりを見せており、またそれぞれのレースがドラマチックに展開されている。富士スピードウェイでの第4戦が例外となることはなさそうだ。期待される熱き戦いは、9月3日(土)に予選が、そして4日(日)に決勝が、9時間もの長丁場によって行われる予定だ。

 スーパー耐久シリーズ第4戦の前売観戦チケットは、2日間通し券が3,500円(税込)と比較的リーズナブル。パドックラウンジパス等の特別チケットも販売される。詳細は富士スピードウェイ公式サイト(http://www.fsw.tv/freepage/1428)まで。