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MotoGP第11戦チェコGPプレビュー:テクニカルなブルノを制するライダーは?

2016年08月19日 01:01  AUTOSPORT web

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MotoGP第10戦オーストリアGP ホルヘ・ロレンソ(モビスター・ヤマハ・MotoGP)
今週末、チェコのブルノサーキットでMotoGP第11戦チェコGPが開催される。チェコGPの舞台となるのはチェコ第二の都市であるブルノ。首都プラハの東南約200㎞に位置するブルノサーキットが舞台となる。

 旧東欧圏のチェコだが、レースの歴史は古く、1930年代から市街地コースでレースが開催されていた。ブルノサーキットは1980年代半ばに建設され、1987年以降、世界グランプリのホストサーキットとして、20年以上の歴史を持っている。

 1周5.403㎞のブルノサーキットは、左コーナー6、右コーナー8からなるアップダウンに富んだテクニカルサーキット。コース前半は下りセクション、コース終盤は登りセクションに大別される。

 メインストレートは約600mと短く、切り返しのコーナーや回り込んだコーナーが多いのが特徴だ。パッシングポイントは比較的多く、レース終盤までポジション争いがもつれた場合は、最終コーナーが勝負のポイントとなることが多い。

 昨年のレースではMotoGPクラスでは、ホルヘ・ロレンソ(モビスター・ヤマハ)が優勝、2位にマルク・マルケス(レプソル・ホンダ)、3位にバレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ)が入賞した。

 Moto2クラスではヨハン・ザルコ(カレックス)、Moto3クラスではニッコロ・アントネッリ(ホンダ)が優勝している。

 MotoGPクラスでは、前戦オーストリアGPで5位に終わったマルケスだが、ランキングトップをキープ、ブルノでは2015年2位、2014年4位、2013年には優勝を記録している。今レースでは、確実に表彰台圏内をねらい、チャンピオンシップのアドバンテージを維持したいところ。

「オーストリアは厳しい週末になったけど、可能な限りベストをつくしたし、全てを考えれば、いいリザルトを獲得できたと思う。転倒で痛めた肩はレース中は問題にならなかった。だけど、その後に痛みを感じたから、少し休ませることができたのはよかった。ブルノは好きなコースではないけど、過去にはいいリザルトを獲得した。表彰台を獲得するために、高い集中力を維持し、よい仕事をしなければいけない」とマルケス。

43ポイント差のランキング2位につけるロレンソは、前戦オーストリアでMotoGPクラスで歴代2位となる103度目の表彰台を獲得。この勢いに乗って、2010年と2015年の優勝を含め最高峰クラス8回の参戦で5回表彰台を獲得しているブルノで、ポイント差を縮めに行く。

「昨年のチェコGPではレースの主導権を握った。今年もいいフィーリングを得たい。オーストリアGPを再現するように、もう一度戦い、チャンピオンシップに向けてポイントを挽回しなければいけない」とロレンソ。

57ポイント差の総合3位に位置するロッシは、フル参戦を開始した20年前の1996年の125ccクラスで、グランプリ初ポールポジションから初優勝を挙げた経験を持つ。

 ブルノのMotoGPクラスでは通算5勝を記録しており、ロッシが得意とするコース。4戦振りの優勝、表彰台を獲得と同時に、2009年以来となるタイトル奪回を視野に入れ、ポイントリーダーとのギャップを詰めたいところ。

「2週連続レースができることがうれしい。オーストリアでは表彰台を獲得したかったけど、残念ながらその力がなかった。でも、とにかくいいレースだったと思う。テストの後で少し問題があったけど、レース中はそれほど悪くなかった。ブルノは大好きなトラックだ。昨年はホルヘが僕よりも速かった。今年は僕がうまくやれるか様子をみよう。僕たちはよい仕事をしている。早くコースに出たいね」とロッシ。

ダニ・ペドロサ(レプソル・ホンダ)はランキング4位。ブルノのMotoGPクラスでは、10回の挑戦で2012年と2014年の優勝を含む6回の表彰台を獲得した経験を持つ。ロッシとの19ポイント差を縮め、接近してきた後続とのポイント差を広げに行く。

「後半戦は僕たちにうまく適応するコースを見つけないといけない。当然、ブルノはロングストレートがあり、僕たちへの要求が厳しくなるけど、レースを始めたときからの好きなコースで、いつもいいいフィーリングがあった。ブルノはコース幅が広く、幾つかのコーナーは高速だ。いいタイムをマークするために、ベストな走行ラインで走らなければいけない。信頼感とスピードを増すために、全てのプラクティスを活かすことができるように天候が安定することを願う」とペドロサ。

 ランキング5位のマーベリック・ビニャーレス(スズキ)はペドロサとのポイント差を12ポイントに縮めてきた。

「ブルノは得意なコースで、昨年はポジティブなグランプリだったから、今年も楽しみなレースだ。高速でテクニカルなコースでは、いいパフォーマンスを見せてくれるGSX-RRのシャーシは、コースに適応でき、今年は改良されたエンジンとシームレスギアボックスを使用するので、昨年と比較すれば、これらはポジティブな週末になるように役立ってくれるだろう」とビニャーレス。

 前戦でMotoGP初優勝を飾ったアンドレア・イアンノーネ(ドゥカティ)はランキング6位。ビニャーレスに5ポイント差、ペドロサに17ポイント差に迫った。

「オーストリアで優勝した後、まだその気持ちを表現することが難しいけど、本当に信じられない週末だった。さあ、次はブルノだ。僕たちにとって、とてもよいサーキットだと思う。昨年はテクニカルな問題があったけど、4位でフィニッシュした。これから毎戦表彰台を争うことができるペースがある。当然、僕たちのライバルたちはこのコースで非常に強いと思うけど、もう一度いいリザルトを獲得するチャンスがあると思う」とイアンノーネ。

 そして、ランキング7位のアンドレア・ドビジオーゾ(ドゥカティ)は、前戦でイアンノーネに優勝を持っていかれたが、ブルノでは自身のドゥカティでの初優勝をねらう。

「ワンツーフィニッシュを飾ったオーストリアの後で、ドゥカティはここからの数戦に大きな自信を持っているが、ボクたちは開発の手を緩めることなく、小さな部分まで進歩していかなければならない。ライバルは手ごわいから、ブルノも難しいレースになるだろう。でも、ここ数戦、ボクたちのマシンは全てにおいて進歩している。だからチェコでも戦闘力があると思うよ」とドビジオーゾ。

 インディペンデントチームランキングトップのランキング8位にポル・エスパルガロ(テック3・ヤマハ)。13ポイント差のランキング9位にエクトル・バルベラ(アビンティアレーシング)、ランキング10位にスコット・レディング(プラマック)が続く。

 オーストリアGPの決勝朝のウオームアップセッションで転倒しケガを負ったランキング13位のジャック・ミラー(マークVDS)は、ブルノ市内の病院で精密検査を受け、骨折した右手首と第6胸椎の回復具合を確認、レースへの参戦を判断する。

 ランキング18位のダニロ・ペトルッチ(プラマック)は、オーストリアGP決勝でユージン・ラバティ(アスパー・チーム)を転倒させた危険走行のペナルティにより、スターティンググリッドを3グリッド降格のペナルティを受ける。

 Moto2クラスでは、前戦オーストリアGPで今季2度目のポール・トゥ・ウイン、2戦連続となるシーズン5勝目を挙げたヨハン・ザルコ(カレックス)がランキングトップをキープ。ザルコは昨年のチェコGPでも優勝しており、今レースも優勝候補の筆頭。

 ザルコに34ポイント差のランキング2位にアレックス・リンス(カレックス)が続く。リンスは昨年のチェコGPでは3位に入賞している。ランキング3位をキープするサム・ロウズ(カレックス)は前戦オーストリアでは転倒リタイアに終わり、リンスとのポイント差は21ポイントに広がった。トーマス・ルティ(カレックス)が前戦オーストリアで、最後まで表彰台争いに加わりながら4位に終わったものの、ランキング4位をキープ。

 中上 貴晶(カレックス)はオーストラリアでは7位に入賞。ランキング5位をキープしている。中上は2013年のチェコGPではポールポジションを獲得し、決勝でも2位に入賞した経験を持つ。サマーブレイク中にはブルノでテストも行なっており、今季2勝目に向けて期待が高い。

 Moto3クラスではブラッド・ビンダー(KTM)がランキングトップをキープ。ブルノでは昨年3位に入賞しており、今年も優勝候補の最右翼。ホルヘ・ナバーロ(ホンダ)がランキング2位に続くが、ケガによる1戦の欠場が響き、ビンダーとは67ポイント差となっている。

 ランキング3位のロマーノ・フェナティ(KTM)は前戦オーストリアでチームとの間に問題が発生。チームからレースへの出場停止処分を受けた。今レース、今後も含めて、フェナティのレース活動は白紙の状態にある。

 ランキング4位にフランチェスコ・バニャーヤ(マヒンドラ)、ルーキートップのランキング5位にニッコロ・ブレーガ(KTM)が続く。昨年のチェコGPのMoto3クラスで優勝を飾っているエネア・バスティアニーニ(ホンダ)がランキング6位。前戦オーストリアでグランプリ初優勝を飾ったホアン・ミル(KTM)はランキング7位に浮上した。

 ランキング21位の尾野 弘樹(ホンダ)は他のホンダ勢と共にブルノで事前テストを実施、そのデータを生かして、上位進出をねらう。

 総合21位の尾野弘樹は、総合11位のカイルール・イダム・パウイ、バスティアニーニ、ディ・ジャンアントニアと共に第9戦ドイツGP後に当地に移動。2日間のプライベートテストで調整したセッティングを基に、上位進出を目指す。

 鈴木 竜生(マヒンドラ)はランキング24位。前戦ではノーポイントに終わったが、2年目のブルノでポイント獲得をめざす。