8月13~14日に開催されたBTCCイギリス・ツーリングカー選手権の第8戦ノックヒル戦で、レース1優勝、レース2、レース3を連続3位表彰台で飾った、シルバーライン・スバルBMRレーシングのベテラン、ジェイソン・プラト。そのプラトがレース後に発言したコメントがオーガナイザーの不評を買い、波紋を広げている。
二度のタイトル獲得経験を持ち、イギリス内でテレビ番組の司会者を務めるなど人気ドライバーのプラトではあるが、今季のマシンであるチームBMR製の新しいスバル・レヴォーグのエンジン評価規定と、成績に応じて加算されるサクセスバラストの運用に関して揶揄する発言を行った。
ノックヒルでのキャリア500戦目の記念レースを勝利で飾ったプラトは、ノンウエイトのポールポジションから挑んだレース1とは異なり、レース2では75kgのサクセスバラストを搭載した状態でスタート。チームメイトのコリン・ターキントンから常にプレッシャーを受けつつ、彼を上回る3位表彰台を死守した。
その戦績に加えて、優勝したレース1でも66kgのウエイトを搭載していた選手権首位サム・トルドフのBMW125i Mスポーツが、彼のFRレヴォーグと同等のラップタイムを刻んでいたことを指摘。レース後ITVのインタビューに答えた際に「このエンジン評価とバラスト調整の新規定は機能していない。今季終了後に再評価を望む」と発言していた。
このプラトの発言に対し、BTCCのオーガナイザーを務めるアラン・ゴウは「緊急のリアクションを要すると感じた」とコメントした。
「先日のラウンドでのジェイソンの愚痴には、びっくり仰天だったよ」と、ゴウ。
「問題の重要な事実は、彼と彼らの現在のパフォーマンスレベルは、運営団体であるTOCAや、すべてのBTCCチーム、そしてエンジン・テクニカル・レビュー・パネル(ETRP)の努力によるものなのだ」
「今季開幕の2イベントで、彼らが主催側に申請したインテークマニフォールド形状では、規定のブーストレベルに見合う性能が見込めないことが判明した。規定では3年間は──インテークマニフォールドを含む──エンジンの主要コンポーネントに関する変更が凍結されているため、本来なら彼らは打つ手がなかったはずなんだ」
「しかし、純粋にTOCAの好意を介して、すべての競合BTCCチームと、そのエンジンビルダーたちが合意したことで、彼らはその規定の放棄とパフォーマンスの修正が可能になるという、ユニークな機会を与えられた」
「そうして採用した新しいマニフォールドとカムシャフトが機能したことでの、4ポールポジション、4勝、15表彰台フィニッシュである……と見るのが妥当だろう」
「まぁ、それでもジェイソンはまだ不満を言うだろうし、今後も『適切なパフォーマンスレベルではない』と発言するだろうと思う。それは単純におかしなことだ。TOCAだけでなく、すべてのBTCCチーム、エンジンビルダーへの“きわどい攻撃”とも言えるね」
プラトのこうした発言は、彼のキャラクターを踏まえた「いつものこと」であるという共通理解があるとはいえ、ゴウは、このユニークな協力と合意がなければ、BTCCスバル・レヴォーグのパフォーマンスは現在のレベルにはなかっただろうと、改めて説明。同時に、TOCAや、チーム、エンジンビルダーが感謝されることはあれど、不平を言われるとは想像もしていなかった、と繰り返した。
「ただし、チームBMRもジェイソンと同じ見解で、その意図を反映したものであった……と言うなら話は別だ。彼らの主張を聞く準備はある」